猫も夏バテになるってホント?

猫の夏バテと聞くと、「猫も人間のように夏バテになることがあるの?」と驚かれる方もいるのではないでしょうか。
砂漠地帯やジャングルに生息していたリビアヤマネコをルーツとする猫は、温かい場所を好む傾向があります。しかし、高温多湿な部屋に長時間いたり、脱水気味になったりすることで、夏バテを引き起こしてしまうことがあります。

温かい場所を好む猫ですが、その体は熱を逃がしにくい構造になっています。
理由のひとつは、猫の体は汗腺が発達していないこと。そのため、人間のように汗をかいて体温を下げることはできないのです。
ではどのように熱を逃がすのでしょうか? 実は、猫なりにさまざまな工夫を凝らしているのが分かります。

①伝道…冷たい床や家具に体を寄せて、体温を下げる

②対流…涼しい風が当たるところに移動する(ただし、ひげにクーラーや扇風機の風が当たることはあまり好みません)

③気化…グルーミングで被毛を舐め、水分が気化するときの「気化熱」で体を冷やす、パンティング(ハアハアと舌を出した激しい呼吸)をする

④放射…太陽光を避けて日陰などに移動する、体を大の字にして表面積を広げる

このような行動が見られたら、猫が暑さを感じて体温を下げようとしているサイン。
これらの方法で熱が下がり切らないほど暑さを感じると、猫は夏バテを引き起こしてしまうのです。

猫の夏バテの症状

気温の上昇により体温調整がうまくいかなくなったり、温度差の大きさに体がついていけなくなったりすることで、猫は夏バテになってしまいます。
飼い猫に以下のような症状が見られたら要注意! 注意深く様子を見守り、症状が悪化するようなことがあればすぐに動物病院へ連れていきましょう。

ごはんを食べなくなった、食べる量が減った

いつも食べているごはんを食べてくれない、食べる量が極端に減った……というのは、夏バテによる食欲不振の症状です。
食欲不振が続くと、毛ヅヤが悪くなる、痩せるなどで見た目や体重に変化が表れることもあります。
もし一切食事を受け付けなくなることがあれば、早めに病院を受診しましょう。

水を飲まなくなった

夏バテによる食欲不振になると、水さえも飲まなくなる場合があります。
もともと猫は体の構造上ゴクゴクと水を飲む生き物ではありませんが、それでも極端に水分が減ると脱水症状を引き起こす危険も。注意して観察しましょう。

ぐったり動かなくなる、疲れたようにだらりとしている

暑さにより食欲が落ちると、体のさまざまな部分に支障をきたすことになります。
いつも以上にじっと動かない時間が増え、「もう動くのも辛い……」といったようにぐったりする様子があれば、それも夏バテのサインかも知れません。

下痢や嘔吐を繰り返している

猫の夏バテでは消化器系に異常をきたすケースが多いですが、体調不良が下痢や嘔吐といった症状として現れることもあります。
こういったケースでは、「まだ大丈夫だろう」という自己判断は非常に危険です。
下痢や嘔吐を繰り返し、重度の脱水状態になってしまうと、最悪の場合、命を落とす恐れがあります。このような症状が見られる場合には、できるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。

夏バテになりやすい猫の特徴は?

夏バテになりやすい猫は、どんな特徴を持っているのでしょうか?
一般的に原産地が暑い地域の猫は暑さに強く、寒い地域の猫は暑さに弱いと言われています。一方、比較的暑さに強いとされている猫でも、日本の夏のように体に熱がまとわりつくような「高温多湿」の気候には適していない場合もあります。
飼い猫が以下のような特徴を持っていたら、夏バテには特に注意する必要があるでしょう。

長毛種

いわゆる被毛が長く、全身がフサフサとした毛に覆われているタイプの猫です(反対に毛が短い猫は「短毛種」と呼ばれます)。
長毛種の猫は体温を外に逃がしにくい構造を持っているため、熱がこもりやすくなってしまいます。

長毛種の例:スコティッシュフォールドノルウェージャンフォレストキャットペルシャメインクーンマンチカンラグドールヒマラヤンアメリカンカール

短頭種

短頭種(たんとうしゅ)とは、いわゆる「鼻ぺちゃ」な猫のことをいいます。先天的な特徴として鼻の穴が小さく、気道も狭いため、「短頭種気道症候群」という、呼吸がしづらくなる症状が出やすくなります。
短頭種は舌をハアハアと出して呼吸するパンティングが苦手なので、体温が下がらず夏バテや熱中症にかかりやすいのです。

短頭種の例:エキゾチックショートヘア、ペルシャ、チンチラ、ヒマラヤン、スコティッシュフォールド

肥満体型の猫

肥満気味の猫もまた、暑さに弱く夏バテしやすいと言えます。
夏場の暑い時期にダイエットをはじめるのは猫にとっても大きな負担となり、かえって体調不良を引き起こす恐れがあります。ダイエットをするのであれば、本格的に気温が上がる前にはじめるのがよいでしょう。

シニア猫

体のあらゆる機能が衰えるシニア猫もまた、元気な成猫と比べると暑さに弱いといえます。
とはいえ、冷房で過剰に冷やしすぎるのもシニア猫にとっては負担になります。一定の室温を保ち、「暑すぎず、寒すぎず」の快適な環境づくりが必要ですね。

猫の夏バテ対策

猫の夏バテ対策として、飼い主はどんなことに気を付けるとよいのでしょうか?
日ごろから実践できて、夏バテ防止に役立つ方法をご紹介します。

たくさん水を飲ませる

水分不足は夏バテの大敵です。喉が渇いたらする水を飲めるように、普段より水の設置場所を増やすなどの対策をとりましょう。
また、水を暑い場所に置きっぱなしにするのはよくありません。こまめに水を取り替えたり、絶えず水が循環する流水型の給水器を使ったりして、常に新鮮な水が飲めるようにしてください。
また、いつもドライフードを食べているなら、水でふやかしたり、ウェットフードを混ぜたりすれば、食事からも水分を摂ることができます。
凍らせたペットボトルをトレーの上に置いておくと、表面に発生した水滴をなめるという猫もいるようです。暑さ対策にもなるので、試してみてはいかがでしょうか。この方法を試す場合は、ペットボトルの8分目まで水を入れて凍らせてください。

食欲を増やす工夫をする

夏バテで食べる量が減ると、体力もどんどん衰えていってしまいます。
ごはんをなかなか食べてくれないときは、嗜好性の高いトッピング(缶詰などのウェットフード)を添えるなどして、猫の食欲をかきたてる工夫をしましょう。

猫にとって快適な室内環境づくり

猫が快適と感じる温度は、26℃~30℃とやや高め。25℃前後のときはクーラーなどの冷房器具を使う必要はありませんが、30℃を超えてくると要注意です。
昼間は遮光カーテンなどで室内に直射日光が入らないようにするだけで、温度を1~2℃下げることができます。

また、猫の部屋は閉め切らず、ある程度自由に行き来できるようにしてください。飼い主が在宅している状況であれば、網戸にして外の風を取り入れられるようにするのも有効です。ただし、脱走対策はしっかりと行うようにしましょう。

ひんやりグッズを使う

冷感素材のマットやベッド、アルミ製の平たいマットなど、ひんやりグッズをうまく活用する方法もあります。
こういったものは猫によって好みが分かれますので、可能であればさまざまなタイプのグッズを試してみるといいでしょう。

まとめ

以上、猫が夏バテになる理由や症状、対処法に関する解説でした。
大切な猫には、いつでも元気でいて欲しいもの。夏場は暑さ対策をしっかりと行い、猫と一緒に辛い季節を乗り切りましょう!
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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