マンチカンの基礎知識

愛らしい見た目で人気のマンチカンですが、誕生から現在までの歴史を紐解いていくと、実はたくさんの謎がある猫なのです。
そんなマンチカンの歴史や、猫種としての特徴、性格などの基礎知識を紹介します。

突然変異で誕生した「新種」猫

マンチカンが最初に発見されたのは、1940年代のイギリスです。突然変異で短い足の猫が誕生し、話題となりましたが、第二次世界大戦が起こる頃にはその姿は見られなくなります。
マンチカンが再び注目を浴びるようになったのは、1980年代です。1983年、アメリカのルイジアナ州に生まれた短足の子猫がブリーダーのもとで繁殖されるようになり、マンチカンブームが巻き起こりました。名前の由来は、英語の『マンチキン(小さい、子ども、という意味の単語)』から来ています。

1991年、マンチカンがキャットショーに登場すると、さまざまな論争が巻き起こるようになります。長足に交じって短足が生まれるのは遺伝的疾患であるため、疾患を持つ猫を繁殖にすることに疑問を持つ人たちもいたのです。
その後、さまざまな場所で短足の猫が発見されるようになり、短い足の猫を繁殖するために近親交配のリスクも減少していきました。
マンチカンが新種として認められたのは、1995年のこと。マンチカンの人気はますます高まり、今日の日本においても、非常に人気の猫となりました。

体高、体重、平均寿命

成猫になったマンチカンの体高は、約15~20cmが平均値とされています。足の長さによってばらつきがでますが、ほかの猫と同程度か、やや小さめです。
TICA(世界最大規模の猫の血統書発行機関)では、マンチカンの体重は約2~4kgと規定されています。
ちなみに2014年にカナダで生まれたマンチカンは、体高13.6cm。「世界一体高が小さい猫」としてギネスの認定を受けました。
ペット専門の保険を取り扱う「アニコム損保」の調査によると、ペットとして飼われているマンチカンの平均寿命は11.2歳です。猫全体の14.2歳と比べるとだいぶ短い印象ですが、寿命は種の特性だけでなく、飼育環境にも大きく左右されます。

「短足」と「長足」の違いって?

歴史でも述べたように、もともと短い足のマンチカンは突然変異で生まれたものです。
繁殖が進んだ現代においても、短足で生まれてくるマンチカンの子猫は全体の2~3割ほどにとどまります。
ほとんどは、ほかの猫のような長足か、長くも短くもない中足として生まれきます。これは、短い足のマンチカンが生まれる過程で、「短足×長足」の個体を掛け合わせているためです。
「短足×短足」の掛け合わせは死産になる確率が高く、危険であるとされます。

どんな性格?

初心者でも飼いやすいと言われるマンチカンですが、どんな性格の猫なのでしょうか?

①穏やかで賢い
マンチカンは、穏やかで比較的おとなしい猫です。頭がよいため、ほかの猫と問題を起こすこともあまりありません。多頭飼いしたい方にはうってつけの猫でしょう。

②好奇心旺盛な遊び好き
おとなしい性格とは裏腹に、マンチカンには好奇心旺盛な一面もあります。
短い手足をちょこちょこと動かして走ったり、ジャンプしたり、活発に動き回る姿はとてもかわいらしいものです。
短足のマンチカンでも筋肉は発達しているので、驚くようなジャンプ力を見せることもあります。猫じゃらしなどで遊びに誘うと、喜んで飛びついてくることでしょう。

③人懐っこい甘えん坊
犬と比べると「クール」とか、「ツンデレ」などと表現されることも多い猫ですが、マンチカンはよく人慣れし、飼い主に甘えることが大好きな猫です。
また、初対面の人にも友好的な個体が多く、ちんまりとした手足で甘える姿は人々をメロメロにしてしまいます。マンチカンが人気なのも、納得ですね。

毛色のバリエーションは?

マンチカンは、さまざまな猫種と交配されてきた歴史から、非常に幅広いバリエーションの毛色を持つ猫です。その種類は、単色から複数のカラー、柄(ぶち)の入り方も多種多様です。

<マンチカンの毛色>
・レッド
・クリーム
・ホワイト
・シルバー
・ブラック
・ブルー
・キャリコ(三色の毛が生える「三毛猫」)
・カメオ(赤系の毛にシルバーが混じったもの) など

被毛の種類は?

マンチカンには、長毛種と短毛種どちらも存在します。毛の色や長さによって猫種の特徴や性格が変わることはほとんどありません。
長毛・短毛どちらを選ぶかは見た目の好みに合わせてOKですが、被毛のお手入れ方法は異なるため、注意が必要です。

瞳の色のバリエーションは?

マンチカンは毛色と同じく、瞳にもさまざまなバリエーションがあります。
よく見られるのは、ヘーゼル(若干茶色や黄色がかった緑色)、アンバー(黄色がかった茶色)、グリーン(青緑色)です。左右で瞳の色が変わる「オッドアイ」という個体も存在します。

また、成長の過程で、子猫の時と瞳の色が変わることもあります。そして、光の入り具合によって印象が変わるのも、猫の瞳の特徴と言えるでしょう。

マンチカンの子猫を迎えよう

マンチカンを迎える前にまず押さえてほしいのは、「どのように子猫を迎えるのか?」、「健康的な子猫の迎え方」、「子猫を飼育する環境やグッズの準備」の3点です。
マンチカンと一緒に暮らしたいプレ飼い主さんに向けて、子猫の迎え入れから飼育スタートまで解説します。

マンチカンの価格相場は約18万円

生体販売価格の相場は、約18万円。ペット市場では「マンチカンらしさ」が求められるため、足が長い個体と比べて、足が短い方がより値段が高くなります。
また、キャットショーのチャンピオンを親に持つマンチカンも、血筋がよいとされるため高値が付けられます。

マンチカンはどこで迎えるのがいいの?

①ペットショップから迎える
猫を飼いたいとき、まず思い浮かべるのはペットショップという人も多いのではないでしょうか。ペットショップとして数えられるのは、猫を専門的に扱う店舗からホームセンターに併設しているような店舗までさまざまです。
全国各地に店舗があり、気軽に猫を見学しやすいのはペットショップならではのメリットでしょう。

一方、なかには、劣悪な環境で子猫を販売するペットショップが存在しているのも事実です。猫は月齢が低い方が高値になりやすいことから、生後間もない時期から子猫を販売する業者もいます。
また、マンチカンのような人気の猫種は、乱繁殖されてしまうこともよくあります。
一般的にはNGとされる「短足×短足」の掛け合わせで生まれた子猫だとしても、それをペットショップの店頭で見抜くことは困難です。
もちろん良識あるショップが大半ですが、正しい目で子猫を見極めることができない初心者には、ペットショップからのお迎えは少々ハードルが高いかもしれません。

②マンチカンのブリーダーから迎える
2つめは、専門のブリーダーから迎え入れることです。
「繁殖の専門家」と言うと、初心者飼い主さんには何だかハードルが高く感じられるかもしれませんが、実はブリーダーならではのメリットがたくさんあります。

良質なブリーダーからは、健康状態のよい猫を譲り受けることができるケースが多いです。
猫舎に見学に行くことができるのであれば、子猫が生まれ育った環境や、場合によっては親猫や兄弟猫を見せてもらえることもあります。
また、マンチカンを専門的に繁殖させているなど、経験豊富なブリーダーは、猫種に対する知識も豊富です。
初心者飼い主さんに、猫の飼い方のコツや、エサの選び方など、色々とアドバイスしてくれることもあるでしょう。

近くに気になるブリーダーが見つかったら、ぜひ一度見学に行ってみることをおすすめします。
その際、動物を取り扱う業者は必須となる「動物取扱業者登録番号」や、「動物取扱業標識」があるかも確認しておきましょう(ペットショップの場合と同様に、悪徳ブリーダーも存在します。くれぐれも注意を)。

③里親制度を使って迎える
元の飼い主の事情で飼えなくなった猫を引き取って育てるのが、里親制度です。
無償で引き取り手を探している場合がほとんどですが、保護団体から引き取る場合は、それまでにかかった治療費などを請求されることもあります。

里親制度でタイミングよく希望の猫と出会えるかどうかは、運次第。特にマンチカンのような人気の猫種は競争率が高く、里親に出されて間もなく引き取り手が見つかるようなケースも多数です。
里親制度は、あまり猫種や猫の月齢にこだわりがない人に向いていると言えるでしょう。

健康な子猫を見分けるポイント

マンチカンの子猫を選ぶときに重要なことは、健康な個体を見極めることです。
もともと疾患や持病がある子猫は、こまめに動物病院に連れていったり、お世話にコツが必要だったりすることがあるため、初心者飼い主さんには不向きと言えるでしょう。
インターネットでマンチカンの子猫を販売しているショップやブリーダーも存在しますが、猫を飼うときには必ず対面して、抱っこしてみてから決めることをおすすめします。
具体的には、以下のようなポイントをチェックしましょう。

・抱っこしたときに、骨格や筋肉をしっかり感じられるか
・活発に動いているか(ぐったりしていないか)
・ケガや傷はないか
・目ヤニや耳垢が付いていないか
・鼻、歯が汚れていないか
・肛門付近が汚れていないか(汚れがひどい場合は、寄生虫の感染などの恐れあり)
・相場と比べて極端に安く販売されていないか(重大な欠点が潜んでいる恐れあり)

子猫を飼い始める前に必要な準備は?

マンチカンと一緒に暮らすためには、猫が心地よく過ごせる住環境を作ってあげることが不可欠です。具体的にはどんな準備をしておけばいいのか、チェックしておきましょう。

■猫用のトイレと猫砂
まず必要になるのはトイレの設備です。
猫は決まった場所に排泄をする動物で、しつけによりトイレを覚えていきます。猫の居住スペースには、猫の数プラス1のトイレを用意します。
猫砂は、トイレの中に入れて使うもので、猫の排泄物を吸収する役割があります。
鉱物由来のもの、紙、木材、ペットシーツタイプのものなど、種類はさまざまです。それぞれメリット・デメリットがあるので、トイレを設置するスペースや使い勝手、猫の好みによって選ぶのがいいでしょう。

■エサとエサを入れる容器
子猫のうちは、成猫よりも多くの栄養分を必要とします。子猫の成長や月齢に合ったエサを選びましょう。また、エサ入れはいつでも清潔に保てる陶器製やステンレス製のものがおすすめです。

■爪とぎ
猫にとっての爪とぎは、爪の伸びすぎによるケガを防止するほか、日ごろのストレスを解消する意味もあります。
子猫のうちにしっかりと爪とぎの場所ややり方を教えてあげると、家具に引っかき傷を付けられることもなくなります。

■寝床
猫が安心して眠れる場所を作ってあげることも、飼い主の役目です。専用のベッドのほか、ふわふわと柔らかい毛布やクッションを用意してあげましょう。

■キャリーケース
子猫のうちは、動物病院にかかることも多くなるものです。いざというときに困らないよう、猫の体格に見合ったサイズのキャリーケースを準備しておきましょう。

マンチカンの飼い方

人にも猫にも友好的で、比較的飼いやすいとされるマンチカン。
健康的にブリーディングされた子猫であれば、暑さや寒さに強く、極端に病気にかかりやすくなることもありません。
あまり手のかからない猫種ではありますが、ちょっとした飼い方のコツを学んでおくことで、マンチカンとよりよい暮らしを送ることが出来ます。

マンチカンのエサの選び方は?

猫のエサを選ぶときには、まず「月齢に合ったもの」をチョイスするのが大前提。そのうえで、猫それぞれの特徴に合うものを探しましょう。

胴長短足のマンチカンは、ほかの猫よりも関節炎やヘルニアのリスクが高い猫です。肥満など、四肢に大きな負担がかかるような状態は、避けなければなりません。
室内飼いの成猫~シニア猫は運動不足に陥ってしまうことも多く、エサの与えすぎ・カロリーの摂りすぎが続くと、そのまま肥満に一直線!
マンチカンの四肢の骨や関節をいたわる意味でも、低カロリーのエサを選ぶといいでしょう。
理想は、白身魚などを主原料とした、低カロリーかつ高たんぱくのフードです。

そのほか、猫の健康を考えるうえでは、「消化吸収の良いもの」や「余計な添加物が含まれていないもの」も重要なポイントです。特に、マンチカンは穀物の消化吸収が苦手とされています。
被毛のツヤのなさが気になるときには、「被毛に栄養を与えてくれるもの」を選ぶと、見違えるようになるでしょう。

住環境整備のコツ

マンチカンは、短い手足に似合わず(?)とても運動量が多い猫種です。走ったり、跳ねたり、活発に動き回り、遊ぶことが大好きです。
室内飼いの場合は運動不足がストレスになることもあります。肥満防止の意味でも、意図的にマンチカンが運動しやすい環境を作ってあげるのがよいでしょう。
具体的には、体のサイズに合った高さのキャットタワーを設置したり、猫じゃらしなどの動きのあるおもちゃを用意したりして、猫と遊ぶ時間を作ることです。

マンチカンをしつけるコツ

穏やかな性格で、賢く頭がよいとされるマンチカンは、人間の環境に溶け込むことが得意な猫です。マンチカンの子猫を迎え入れたら、早いうちにトイレや爪とぎといったしつけを済ませるようにしましょう。

一方で、好奇心旺盛で活発な一面も持ち合わせているため、時にはそれがエスカレートして、とんでもないイタズラに発展してしまうことも?!
何かイタズラをしたときは、速やかにその場で叱りつけ、「やってはいけないこと」を教え込むことが重要です。
頭ごなしに大声で叱ったり、叩いたりすることは逆効果。賢いマンチカンには、静かに諭すように、教え込むことが有効です。
マンチカンをしつけるうえでは、「その場で注意する」ということがポイントになるでしょう。

日々のお手入れのコツ

マンチカンをお手入れするうえで重要なのは、日々のブラッシングです。
もともと人とのコミュニケーションを好む猫なので、子猫の頃から慣れさせておけば、嫌がらずお手入れさせてくれるようになります。
お手入れの頻度は、被毛の種類や抜け毛の量により調整しますが、特に換毛期は毎日欠かさずお手入れしましょう。

マンチカンは長毛種・短毛種どちらも存在するので、被毛の種類によってブラシを使い分けるなどの工夫が必要です。
特に毛が細くもつれやすい長毛種には、スリッカーブラシが必須です。まずはスリッカーブラシで毛を解きほぐしてから、コームで表面を整えましょう。
短毛種は、長毛種と比べて楽にお手入れできます。ラバーブラシなど皮膚を優しく刺激できるタイプのものを使用すると、ブラッシングとマッサージが同時に行えます。

また、シャンプーの頻度は月に1度、多くても2週に1度が目安です。専用のシャンプーを使用し、皮膚に泡が残らないようしっかりとお湯ですすぎましょう。

かかりやすい病気

純血種であるマンチカンには、特定に病気かかりやすい傾向があります。
遺伝的にある程度仕方ない病気もありますが、飼育環境の改善や日々のお手入れで防げるものもあります。
そして、猫の病気を理解することは、1日でも長くマンチカンと幸せな日々を過ごすことにもつながるのです。

<マンチカンはこんな病気に注意!>
■骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)
正しくブリーディングされたマンチカンは、健康上の問題がないとも言われていますが、その特徴である短い足は、「軟骨異形成(なんこついけいせい)」という遺伝的疾患により生まれたものだとされています。軟骨異形成で作られた短い手足に過度な負担がかかると、間接炎を引き起こす原因にもなります。
骨の疾患は遺伝するため、親猫に疾患があると、子猫もそれを引き継いでいる可能性が高まります。子猫を選ぶときには、まず親猫に問題がないか、チェックしておくと安心です。

■椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)
足が短いということは、それだけ四肢の骨や関節に負担がかかりやすくなるということです。椎間板ヘルニアを発症すると、激しい痛みで体を動かすことに苦痛を感じます。
できるだけ体に負担がかからないように、住環境の工夫が必要です。

■猫伝染性腹膜炎(ねこでんせんせいふくまくえん)
「コロナウイルス」という病原菌が原因で引き起こる病気で、重症化すると死に至る危険のある恐ろしい病気です。
初期には、発熱や食欲減退の症状が見られることがあります。少しでも様子がおかしいと思ったら、すぐに動物病院へ。

■毛球病(もうきゅうびょう)
毛づくろいのときに飲み込んだ被毛がおなかの中で絡まり、内臓を痛めてしまう症状です。
長毛種のマンチカンは、特に注意が必要です。大量に毛が抜ける換毛期は、いつもよりも念入りに被毛のお手入れをしましょう。

マンチカンと幸せな暮らしを送ろう

短い手足が愛らしいマンチカンは、賢く人懐っこい性格をしているので、非常に飼いやすい猫種といえます。

しかし、短足ゆえに、ヘルニアや関節炎につながる肥満に気を付けなければならないなど、飼育するうえで注意すべきポイントも少なくありません。お迎えするときには、悪徳業者を避ける必要があるでしょう。

マンチカンをこれから飼おうと考えている方は、ぜひこの記事でしっかりと予習を行い、万全の状態でお迎えをしてあげてください。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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