犬に玉ねぎが危険な理由

犬にとってなぜ玉ねぎが危険なのか、簡単にご説明します。

原因物質は有機チオ硫酸化合物

玉ねぎ中毒は、ネギ属植物に含まれる催溶血物質、「有機チオ硫酸化合物」が原因で起こります。
ネギ属植物は玉ねぎのほかに、長ねぎ、にら、にんにく、らっきょうなどがあります。

なぜ中毒がおこるのか

ひとことで表すと、「有機チオ硫酸化合物が赤血球に酸化障害をおよぼすため」です。要するに、貧血状態になります。
もう少し詳しく説明すると、有機チオ硫酸化合物は、赤血球内にある「還元型グルタチオン」を介して、強い反応を起こすのです。
赤血球に「還元型グルタチオン」を高濃度にもつ犬ほど症状が重くなるため、遺伝的に柴犬秋田犬は、玉ねぎ中毒になりやすい犬といわれています。
ちなみに、試験管内での実験では、犬以外の動物も含めた赤血球の感受性の結果も出ています。高い順に「トップは猫、次いで犬、家畜動物、モルモットやハムスターなどの齧歯(げっし)類、人」というデータがあります。

犬の玉ねぎ中毒の症状

どのくらいで症状がでる?

赤血球内で酸化障害が起こると、「ハインツ小体」という物質が作られます。この「ハインツ小体」が最初に形成されるのは、玉ねぎを摂取してから6~24時間というデータがあります。

どんな症状があらわれる?

・嘔吐、下痢
中毒による嘔吐や下痢。食べた直後ではなく、数時間後に起こることもあります。

・貧血
貧血の症状としては、急速に元気がなくなる、ふらついている、歯茎が白くなっているなどがみられます。

・血尿
壊れた赤血球の成分が尿と排出されるため、血尿がでます。
赤茶っぽく、醤油色といわれることもある血色素尿です。この血色素尿は、玉ねぎ中毒で貧血になった場合には必ず出るといわれています。食べてしまった可能性があれば、6~24時間の尿は確認しましょう。

玉ねぎを食べてしまったときの注意点は、特に変わった様子がなくても、血液検査により貧血が判明する場合があることです。
食べたことがわかっているときは、獣医師に相談することをおすすめします。

犬にとって危険な玉ねぎの量

どのくらい食べると危険?

一般的に「体重1kgあたり15gくらい」というデータが目安のようです。
しかし、この数字は試験管内での実験結果です。生きている犬の体に同じ現象と同じ量が当てはまるかというと、難しいところです。
「1kgあたり15g」にまったく満たない量で中毒を起こしてしまうケースや、その反対もあり得るでしょう。
犬は玉ねぎをどれくらい食べると中毒になってしまうのか、致死量はどれくらいなのか。「個体差があるのではっきりしたことは分からない」というのが答えになると思います。

加熱しても危険

中毒症状を引き起こす成分は、加熱しても壊れたり減少したりすることがないといわれています。むしろ加熱調理したものは玉ねぎの臭みがとれ、誤食の可能性が高くなるかもしれません。
ひとくち食べただけの場合や玉ねぎが入った料理の煮汁を舐めただけでも、中毒症状を起こす犬もいます。

犬が玉ねぎを食べてしまったら

自宅での処置

まずは口の中を見てみましょう。まだ飲み込んでいない玉ねぎが残っているかもしれません。残っていれば取り出してください。
その後、可能であれば、歯磨きシートなどで口の中を拭き取りましょう。歯や歯茎についた玉ねぎエキスを拭き取るだけでも効果的だといわれています。

しかし、一番大切なのは、落ち着いて状況確認をすることです。歯磨きなどを行うのも難しい状況であれば、無理はせず「いつ、どのような状態の玉ねぎを、どのくらい食べたのか」を、病院で報告できるようにしっかり確認しましょう。

玉ねぎを食べてしまった場合、中毒症状が出るのは数時間後になります。時間によっては真夜中になるしれません。明らかに食べたとわかる場合には、とくに変わった様子がなくても、一度病院に相談することをおすすめします。

病院が開いていない時間帯の出来事だった場合でも、家での応急処置は「口の中の確認」と「歯磨き」だけにしましょう。素人による催吐処置は危険です。
受診までに嘔吐、血尿、元気がなくなるなど中毒らしき症状が出た場合には、獣医師に見てもらうために撮影した写真や動画、血尿のついたトイレシートなどを準備しておくといいかもしれません。

病院での対処法

玉ねぎ中毒の解毒薬はありません。
摂取してからの時間が短ければ、催吐処置や胃洗浄が行われます。
摂取してから数時間以上経っている場合は、血液検査。貧血や黄疸の症状がみられた場合には、対症療法が行われます。
貧血がひどいときは輸血を、貧血の進行をとめるビタミンE、ビタミンCの投与やステロイド投与を検討することもあるようです。

まとめ

犬が玉ねぎを好むことはほとんどなく、拾い食いだったり興味からの誤食だったりと、アクシデントでの摂取が主であると考えられます。
愛犬がうっかり食べてしまうことがないよう、まずは誤食予防のための対策を取りましょう。もし食べてしまっても慌てず、落ち着いて状況確認を行い、獣医師の指示をあおぐようにしてください。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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