犬が穴掘りをする理由①本能、習性

巣穴作り

犬の祖先といわれるオオカミは、穴を掘り、巣穴を作って生活をしていました。その名残で、犬も穴掘りをするといわれています。寝る前にベッドやソファなどを掘るのは、巣穴作りをしているとみていいでしょう。強風や雨、敵から身を守ってくれる家(穴)の中で安心してゆっくり眠りたいという、本能による自然な行動です。寝床を整える意味もあります。

マーキング

自分のニオイをつけるために穴掘りをしている場合もあります。
犬の肉球には汗腺があり、触れたものにニオイをつけ、マーキングすることができます。
前足で穴を掘る行動だけでなく、排泄後にする後ろ足で地面を蹴るような動作も同じです。これは排せつ物を隠そうとしているのではなく、土などを後ろへ蹴り散らし、自分のニオイを広げているのだといわれています。臭いを広げる臭覚マーキングと、地面を蹴りあげている姿を相手に見せる視覚的なマーキングを同時に行っています。

習性

ダックスフンドビーグル、テリア種など、かつては巣穴に住む獲物を捕まえる狩猟犬として活躍していた犬たちは、穴掘りを好む傾向にあるようです。
動物や食べ物、植物の匂いなどをきっかけに穴掘りをし、掘っているうちに楽しくなり、習慣化する子もいるようです。
同じ穴掘りでも寝る前の寝床準備とは違い、遊びの延長で行われる行動です。
ドッグランや土のあるところで、狩猟犬に分類される犬たちが、興奮しながら夢中になって穴を掘っている姿は良く見られます。また、穴掘りをしたあとに、鼻でお気に入りのおもちゃやオヤツを埋めようとするしぐさをすることがあります。これは、獲物を隠そうとしているのかもしれません。

犬が穴掘りをする理由②感情表現、ストレス

楽しい、満足している、という感情の現れ

ボールを取りに行ったり走り回ったりするのと同じように、運動や遊びのひとつとして穴掘りをします。犬が楽しそうに穴掘りをしている姿を見て、まったく穴掘り経験のない犬が、真似をして遊びだすということもあります。
ご飯の後のお腹いっぱいになったという満足感や安心感から穴掘りをする犬や、何かに満足してテンションが上がった結果、思わず穴掘りをしてしまう犬もいるようです。

暇、かまってほしい、という感情の現れ

ただ単に、することがなく暇だったから、退屈だったから、という理由で、暇つぶしのためにしている場合もあります。
以前に穴掘りをしたときの飼い主さんの反応を覚えていて、気を引くためにする犬もいます。愛犬の穴掘りを見て、かわいいと喜んだり笑ったりした経験があれば、愛犬はかまってほしくて掘っている可能性があります。

ストレスを感じている

運動量が足りていない、飼い主さんとのコミュニケーションやスキンシップの時間が少ないなどで、不満がたまり、ストレスが原因で掘っている可能性もあります。
穴掘り行動は、ストレスや不安を感じた時に出す、カーミングシグナルの一種ともいわれています。カーミングシグナルとは、自分を落ち着かせたいときや、相手に「落ち着いて」「攻撃しないよ」「怖い」「遊ぼう」などのメッセージを、体の動きや耳・口・しっぽなどを使ったサインで相手に伝えようとすることです。

常同障害

ストレスを解消できずにいると問題行動は常同障害へと悪化します。常同障害とは、同じ行動を強迫的に繰り返すことで、不安やストレスを紛らわそうとする状態のことです。穴掘りでしたら、必要のないシーンで、必要な程度を上回るレベルで行われ、繰り返されます。犬は、繰り返すことでストレスを解消しようとしているのです。

犬が穴掘りをする理由③暑い、寒い

土の中は、風通し良く、夏はひんやり、冬は暖かく感じる最高の場所です。愛犬が庭で夢中になって穴掘りをしていたら…… 暑い日であれば涼をもとめて、寒い日であれば暖をとるための行動かもしれません。
穴は深く掘るほどに冷たくひんやりとします。夏の暑い時期であれば、体温調整が苦手な犬の本能行動として、なんとか暑さを和らげたいと、穴を掘っているのかもしれません。

犬の穴掘りの対策

止めさせる方法

犬は本能的に穴を掘る動物です。犬種によっては、その習性が強く残っているものもあります。本能や習性による自然な行動を完全にやめさせるのは難しいといえるでしょう。
しかし、庭をあまりに荒らされるのも、大切な家具を傷つけられるのも、困りますよね。掘られないようにする方法はあるのでしょうか。

止めさせる場合の注意点

まずは愛犬が穴掘りをしている理由を探りましょう。
本能や習性によるもので、気になるほどの頻度でなければ、やめさせるのではなく、穴掘りを楽しめる別の場所か、代わりのものを提供してあげましょう。
お庭でしたら、掘られたら困るところには行けないよう柵をつけるか、掘っていいところに柵を設置して、思いっきり穴掘りを楽しめるスペースを用意しましょう。

室内での穴掘りは、傷を付けられたり壊されたりしてもかまわない敷物やタオルを与え、そこで穴掘りの真似をしてもらいます。ソファや飼い主さん用のベッドなど、傷つけられたくない家具で掘ってしまっているのであれば、いらなくなったタオルなどを上からかぶせて対応しましょう。
穴掘りを楽しめる犬用ベッドやおもちゃなどもあるようです。グッズを活用してみるのもいいですね。

もし飼い主さんの関心をひこうとしているのであれば、やめさせるのはそう難しくはありません。穴掘り中は反応をせず放っておきましょう。そのうちにしなくなります。

することがなく暇を持て余して掘っているのであれば、一緒に遊ぶ時間を作ってあげましょう。この場合、運動不足とはまた別の問題となります。飼い主さんも一緒に遊べるおもちゃを用意し、誘ってみてください。

気を付けなければならないのが、ストレスによる行動だった場合です。
穴掘りをやめさせるのではなく、まず、ストレスの原因を突き止めましょう。原因を解消し、愛犬のストレスや不安をなくしてあげるのが第一です。原因が解決されれば、問題行動も改善されます。

ストレスの原因として多いのは、運動不足、飼い主さんとのスキンシップ不足、長時間のお留守番や環境の変化などです。原因対策をできずにいると行動は悪化しますので、早期発見と早期対応が重要となります。
日頃から、愛犬の様子をよく観察し、カーミングシグナルを見逃さないよう、気をつけましょう。
常同障害は犬の強迫性障害といわれています。長く強いストレスや不安、恐怖などを感じることにより発症します。改善が見られなかった場合には、専門的な治療をうけられることをおすすめします。

まとめ

飼い主としては、ある程度の穴掘りは覚悟し、容認してあげるべきなのかもしれません。その一方で、ストレスによる問題行動である可能性も否定できません。お散歩以外の遊ぶ時間は取れているか、さびしい思いをさせていないか、愛犬との時間をいまいちど見つめ直してみるのも良いかもしれません。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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