猫のアニマルセラピーがもたらす絶大な効果

猫好きにとって、猫とたわむれる時間は至福の時間。どんなに疲れていても嫌なことがあっても、自然と笑顔になりますよね。

動物とのふれあいで癒されることを、「アニマルセラピー」といいます。紀元前400年ころ、負傷した兵士のリハビリに馬が用いられていたという記録があり、これが世界発のアニマルセラピーだとされています。現在でも乗馬療法は身体的リハビリに有効だとされ、世界各国で行われています。アニマルセラピーを導入すれば、高齢者の通院回数が減少し、医療費が1350億円も削減されるという推計も発表されました。

アニマルセラピーは病院の緩和ケアやリハビリの補助などで実績があります。難しく考える必要はなく、「落ち込んでいたけどペットの猫と遊んだらどうでもよくなった」などといったことも、立派なアニマルセラピーの一種。猫を飼うだけでアニマルセラピーが受けられるなんて贅沢ですよね。

実は、猫が人間に与える健康効果は科学的に実証されています。ふわふわの手触りやかわいいしぐさで私たちを癒してくれる猫は、病気の予防や治療、ストレスの解放にも一役買ってくれていたのです。

まずは勉強、ヒトはストレスを感じると……?

脳がストレスを感じると、「ストレスホルモン」が分泌されます。

ストレスホルモンが分泌されると、まずは筋肉に優先的にエネルギーが供給されます。敵(ストレス)と対面したとき、逃げるか戦うかしなければならないので、そのために体を準備するのです。心臓や肺が急ピッチで動き、呼吸数や脈拍数は増加、体温や血圧も上昇。優先度の低い胃などの消化器官は機能を低下させ、耳が聞こえにくくなったり視野が狭くなったりもします。
いわゆる「火事場の馬鹿力」といわれる状態です。

この反応はごく短時間で落ち着きますが、ストレスを感じている状態が長期になると、体が「耐える」状態に変化します。

脳の活動を最優先させ、即座に生死と関係ない機能は低下させます。免疫抑制作用や抗炎症作用を抑えるため、病気にかかりやすく傷は治りにくく、老化への加速度が急上昇。飢餓状態に備え、筋肉を分解してエネルギーにし、血糖値が高くなります。体は疲れても脳が活発なため、不眠にもなりがちです。端的にいうと、脳の活動エネルギー確保のために「スキル全振り」の状態ですね。

短期なら問題ないでしょうが、これが長期になると……、考えただけでも恐ろしいです。

もふもふ触るだけで得られる! 猫の健康効果

猫と暮らしていると、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
オキシトシンにはストレスホルモンの分泌を抑制する効果があります。幸福感が増して他者への信頼や安心、関心が高まるため、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」などと呼ばれることも。リラックス効果があり、ストレスの多い現代人に必要なホルモンですね。

オキシトシンはスキンシップによって分泌されるホルモン。それも、スキンシップで「心地よい」と感じると分泌されます。人間同士でも、もちろん猫以外のペットを触っても分泌されますが、犬よりも猫を触ったほうが量が多いそう。猫のほうが触り心地がいいからではないかとされています。
ただし、オキシトシンは猫の動画を見ただけでも分泌されるそうです。「うちの子はあまり触らせてくれない……」という飼い主は、猫の動画を見てオキシトシンを分泌しましょう!

さらに、アメリカのミネソタ大学心臓病研究所で行われた調査で、猫を飼っている人は心臓発作のリスクが30%、脳卒中のリスクが40%も低減するということがわかりました。これもオキシトシンの効果で血圧が安定することに理由すると考えられますが、なぜか犬の飼い主には目立った発症率の減少が見られなかったそうです。

ゴロゴロ聞くだけで得られる! 猫のリラックス効果

猫をなでていると、「ゴロゴロ」「グルルル」と音を出すことがありますね。実は猫がどうやってゴロゴロ慣らしているかはいまだに解明されていません。生後2日程度で出せるようになるため、母猫と子猫の間の親愛のコミュニケーションだとされています。
気分によって高低がありますが、周波数25~150Hzの低周波です。

猫がゴロゴロ音を出すときは、リラックスしているときや幸せなときが基本ですが、ストレスを感じているときも鳴らします。動物病院で診察中にゴロゴロ慣らしているときは、医師に懐いているのではなく、自分をリラックスさせるための可能性が高いでしょう。

猫のこのゴロゴロ音は人間にも効果があります。もともと低周波音は筋肉を刺激して収縮させるため、肩凝りや腰痛治療の治療、筋力トレーニングなどに用いられていました。最近では骨折の治療にも効果があることがわかり、有名なスポーツ選手が低周波治療で早期に回復したことでも知られています。

フランスでは理学療法士が猫のゴロゴロ音の効果に注目して治療に取り入れたり、猫カフェを「セラピーが受けられる場所」と紹介したりしています。ちなみに、フランスではゴロゴロではなく「ロンロン」と表現されるそうです。

猫のゴロゴロ音が聞き放題!?

日本でも、猫がゴロゴロ慣らす動画の再生数がぐんと伸びたり、ゴロゴロ音だけを集めたCDが販売されたり、健康効果を求めているわけでなくても猫のゴロゴロ音は人気です。
なかでも猫好きの注目を集めているのが、猫のゴロゴロ音を延々と聞き続けられるサイト。音を出す猫の状態をカスタマイズすることもでき、「不思議な中毒性がある」といわれています。
Purrli The Internet has a Cat

まとめ

猫と触れ合うと癒されるのは猫好きなら当然の事実ですが、科学的にも不安や恐怖を解放し、リラックスさせてくれることがわかりました。血圧を下げたり腰痛を軽減したり、病気の発症リスクまで減少させる効果があります。

猫を飼っているだけで毎日癒され楽しませてもらっているのに、健康にもなれるなんて。猫の力は本当に偉大ですね!

参考文献 日本アニマルセラピー協会「アニマルセラピーについて」 http://animal-t.or.jp/animal-assisted-therapy/aat01-what-is-animal-assisted-therapy/

みんなの介護「超高齢化社会の『今』がわかる ニッポンの介護学」 https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no40/

Cat Owners Have Lower Heart Attack Risk, Study https://www.medicalnewstoday.com/articles/98432.php

NEKOPEDIA http://nekopedia.jp/purring/

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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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