猫の毛が抜ける3つの理由

大なり小なり猫の毛は必ず抜けるもの。しかし、その理由は必ずしも自然なものとは限らず、場合によってはすぐに対策が必要なこともあります。
猫の毛が抜ける代表的な理由3つを確認してみましょう。

春と秋なら換毛期

猫の被毛はシングルコートとダブルコートに大別できます。
ダブルコートは柔らかく短いアンダーコートと、コシがあって長いオーバーコートの二重構造。オーバーコートは水を弾いたり、紫外線から皮膚を守る役割があります。アンダーコートの役割はおもに保温で、柔らかく短めの毛が密集しています。

厳密に言えば、シングルコートの場合もオーバーコートとアンダーコートの二重構造です。ダブルコートとの違いはオーバーコートとアンダーコートの長さがだいたい同じであること、ボリュームも少ないこと。

量に違いはあれど、どんな猫でも抜け毛はあります。しかし、ダブルコートの場合は体温を調節するため、春と秋に大量にアンダーコートが抜けます。この時期を「換毛期」と言い、多くの飼い主が悩まされる時期です。

ちなみに、シングルコートとダブルコートで代表的な猫は、下記の種類などが挙げられます。

<シングルコート>
シンガプーラ
ベンガル
メインクーン
・シャム (サイアミーズ)
・バーミーズ  など

<ダブルコート>
アメリカンショートヘア
ノルウェージャンフォレストキャット
ペルシャ
スコティッシュフォールド
マンチカン  など

なお、雑種は個体によって毛質が異なりますが、日本の雑種猫はダブルコートであることがほとんどのようです。

部分的に抜けるなら病気かも

換毛期でもないのに抜け毛が増えるようなら、皮膚病かもしれません。
顔や耳のふちの毛が抜けるなら疥癬(ヒゼンダニ症)、首から背中、しっぽのまわりが抜けていればノミやダニのアレルギー性皮膚炎の可能性があります。また、食物アレルギーで脱毛することもあり、そのときは額や目の上の毛が抜ける傾向があるようです。

皮膚病の場合は毛が抜ける以外にも、猫がかゆがったり赤くなったり、発疹が見られるなどの症状を併発するのが通常。部分的に猫の毛が抜けていたら、猫の様子をよく観察してください。

ほかに、ホルモン異常や腎臓病、糖尿病でも猫の毛が抜けることがあります。この場合も脱毛以外にも症状が現れていることがほとんどなので、普段から猫の異変は見逃さないようにしましょう。

気になることがあれば、すみやかに獣医師に相談してください。

もしかしてストレス?

人間はストレスで毛が抜けることがありますが、猫も同様にストレスが原因で脱毛する場合があります
猫がストレスを感じるポイントは触られすぎたとき、引っ越しなどで環境が劇的に変わったとき、新しく自分以外の猫が迎えられたときなど多種多様。

猫はストレスを感じたとき、それを癒そうとさまざまな行動を起こします。そのひとつがグルーミングです。普段から猫は長時間毛づくろいをしますし、軽いストレスなら体をなめることで解消できます。
しかし、いつまでもストレスの原因が取り除かれないと、グルーミングが過剰になってしまうことがあります。このときのグルーミングはなめるというより引きちぎるといった感じ。毛が切れたり、ざらざらした舌で皮膚を傷つけたりすることで脱毛状態になってしまうのです。

皮膚が傷ついているなら治療が必要ですが、まずは猫のストレスの原因を見つけ、対処することが重要です。

毛が舞い散らないブラッシングのコツ

猫の抜け毛の一番の対策法はやはりブラッシングです。
猫の毛が抜け落ちて部屋が汚れる前に、ブラシで取り去ってしまいましょう。短毛の場合はラバーブラシ、長毛の場合はピンブラシを使うのがおすすめです。猫がブラッシングを嫌がらないように、子猫のうちから定期的にブラッシングしてください。

このとき、ただ猫の体をブラッシングすると、抜けた毛がふわふわ舞ってしまうことがあります。事前に濡らしたタオルやウェットシートなどで猫の毛を軽く湿らせておくと毛が飛び散りにくくなりますよ。ブラッシングスプレーなどのグッズがあれば、そちらも有効です。

基本的に猫は洗う必要がないと言われていますが、換毛期であまりに抜け毛が多い場合、シャンプーするのもいいでしょう。ただし、中途半端に毛玉やもつれがある状態で洗ってしまうと、さらに絡まりがひどくなることがあります。しっかりブラッシングしてから濡らすようにしてください。

くれぐれも、排水溝の詰まりには注意しましょう。

猫の抜け毛を掃除する裏技

どんなにブラッシングしても、ある程度猫の抜け毛が部屋に散らばるのは避けようのないことです。ならば、効果的な方法で掃除しましょう。

一番簡単なのは掃除機で吸い取ってしまうこと。しかし、ただ掃除機をかけても、猫の抜け毛は空中に舞って吸いきれません。
まず初めに部屋の空間に水をスプレーして、湿度を上げます。こうすることで毛が風で飛ばされにくくなります。排気があるタイプの掃除機の場合、できれば本体を持ち上げて掃除すると、さらに床の毛が舞いません。

普段から空気清浄機を使うのも毛が散らかりにくくおすすめです。

カーテンやカーペットなどの布製品についた毛は粘着テープが便利。また、範囲が広いときや繊維に絡まって取れにくいときはゴム手袋を使いましょう。手にはめて布製品をなでると、毛が浮き、手袋にくっつきます。そのあとに掃除機をかければ完璧です。

最後に、バケツに水を張って洗濯用柔軟剤を5~6滴混ぜ、雑巾などに含ませたら固く絞って床や棚を拭き掃除しましょう。静電気の発生を抑え、ホコリはもちろん毛の付着を防止します。
猫は強い香りが苦手なので、無香料の柔軟剤を使うか、猫のいない場所のみに使ってください。

まとめ

猫の抜け毛が増える一番の原因は換毛期です。換毛期以外に抜け毛が増えた場合は病気やストレスの可能性があるため、動物病院を受診したり、獣医師に相談してください。

換毛期は避けようがありませんが、効果的な対策で軽減できます。猫を飼っている限り、抜け毛の問題は切っても切れないもの。猫も人も快適に暮らすため、普段からお手入れや掃除に気を配りましょう。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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