猫の恋は年2回?

春が近づくと、夜中にどこからか猫のうなるような鳴き声が聞こえてくることはありませんか? 春の風物詩とも言える猫の鳴き声は、異性へのアプローチ。猫の恋の季節がやってきた合図です。

猫の恋の季節とは「繁殖期、発情期」のことですが、年に約2回訪れます。
繁殖期と発情期はよく混同されますが、猫の場合、2~3カ月の繁殖期内に、2~3週間程度の発情のサイクル(発情期)が数回繰り返されます。

◇主な繁殖期
・2~4月上旬(春先)
・6~8月(夏)

猫の繁殖行動は日照時間の長さに誘発されるため、主に日照時間が長い春や夏に起こります。
だからと言って冬に発情しないわけではありません。住む場所(緯度によって日照時間が異なる)や、猫種、栄養状態によっても発情の時期や期間、頻度は変わります。

猫の恋愛は女子主導~オスの発情はメス次第

実は、発情期はメス特有のもの。オスに明確な発情期はなく、メスの発情に誘われるように繁殖行動が引き起こされています。つまり、猫の恋愛はメス主導なのです。なお、猫に限らず人間以外のほとんどの哺乳類は、猫と同じように発情期があります。

猫の場合、メスは生後約7~10カ月で発情期を迎え(早い場合、生後3、4カ月)、オスは生後6~10カ月で繁殖行動ができるようになります。

メスの発情のメカニズム~交尾の時だけ排卵

ここでふと、「うちの子、生理になったことあったっけ?」と不思議に感じられる飼い主さんもいるかもしれません。猫は人間とは違って生理はありません。交尾をした時にだけ排卵が起こる「交尾排卵」動物なのです。

一方、人間は交尾に関係なく周期的に排卵が起こる「自然排卵」。妊娠の準備をするため子宮内膜が厚くなりますが、妊娠しなければ子宮内膜は不要になるため、剥がれて生理出血となります。

つまり、猫のように交尾の時だけ排卵する「交尾排卵」動物は、子宮内膜が不要になることがないので生理出血がないのです。

多くのメスの発情期は2~3週間で1周し、交尾と妊娠がなかった場合は、繁殖期間内に発情期を何度か繰り返します。

愛の劇場~メスの発情サイクルは4ステージ~

1. 発情前期(1~20日間) フェロモンに誘われてオスがやって来る?

女性ホルモンのエストロゲンが分泌量が増えて活発になると、猫の恋の本能が目を覚まします。
猫のアプローチは激情型。メスは発情期特有の行動を始めます。

・体をくねくねして床や人にこすりつける
・いつもとは明らかに違う「アオーン」という大きな鳴き声をあげる
・しっぽを高く上げて、尿を噴射する「スプレー」行動をする(スプレー尿には、オスを惹きつけるフェロモンが含まれています)

オスがメスの鳴き声やスプレーのフェロモンをキャッチすると、オスにも発情が始まります。
・メス猫の鳴き声をまねたり、スプレー行動でメスにアピールする
・多くのオスが1匹のメスのフェロモンに集まり、喧嘩が勃発することもある

1匹を多数で争うなんて、恋の決闘のようですが、たとえ戦いを制したとしてもメスに受け入れられないのが悲しいところ。発情前期のメスは、マウンティング(オスがメスの背中に覆いかぶさる行為)は許しても、交尾を許すことはありません。オスはひたすら我慢するのみ。まさに猫の恋はメス主導。メスは強し! ですね。

この時期は、オス、メスともに異性を求めて放浪したい気持ちになるものです。猫を飼っている人は脱走に注意しましょう。

2. 発情期(4~14日間) 肉食系の本領発揮

この時期になると、メスはようやくオスの交尾を受け入れるようになります。メスの誘惑もより激しくなるのが特徴。お尻を高く持ち上げて体をゆらゆらさせています。

◇猫の恋は弱肉強食……ではない?
メスに接近できるのは、恋の決闘に勝利したオスの特権です。勝ち残ったオスは隙あらば交尾しようとメスにつきまといますが、いくら強くても、メスの好みに合わなければ容赦なくフラれます。選ぶ権利はあくまでメス。試合に負けても勝負に勝った、ということも起こりうるのです。

◇猫の豆知識
「交尾排卵」の猫は、交尾のたびに妊娠するため、複数のオスの子を同時に妊娠することが可能です。

3. 発情後期(1~3日間) 寄せては返す恋心……

発情後期になると、活発だった発情行動は収束に向かっていきます。メスはオスを受け入れることを止め、交尾も許しません。

4. 発情間期(5~10日間) そして、恋は終わりを迎える

メスの発情行動は完全に収まり、オスへの関心は完全に薄れ、冷たい態度をとるようになります。もし、オスがメスのお尻を嗅ごうとすれば、きつく叱られることになるでしょう。

繁殖力が強すぎる! 年間20匹も産めちゃう?

交尾すればほぼ確実に妊娠できる猫は、非常に繁殖力が強い生き物です。

多産で、多い時は一度の出産で8、9匹くらいまで産むこともあります。(猫は乳首が8つあるので8匹同時に授乳も可能です)妊娠期間は長くて70日。年に2~4回ほど出産するので、1匹で年間およそ10数匹以上産める計算になります。

野良猫がなかなか減らないのは、猫が繁殖力が強いからです。殺処分される不幸な猫をなくすためにも、地域猫のTNR活動(野良猫を捕獲、去勢・避妊手術を受けさせて地域に戻す活動)は非常に重要です。

去勢・避妊手術のススメ

大きな鳴き声、スプレー、喧嘩や放浪・脱走など、発情期間中の行動は飼い主にとって頭の痛い問題です。しかし、発情は生理現象なので、猫が自分でコントロールできるものではありません。発情の間は落ち着きがなくなり睡眠時間も減るため、猫(特にメス)にとってもつらく苦しいものなのです。

望まない繁殖を防ぐために、そして問題行動を改善するためにも、去勢・避妊手術は有効な方法です。生殖器系の病気のリスクがなくなるなどメリットもあり、繁殖の必要がなければ去勢・避妊手術をおすすめします。

手術の適切な時期

一般的には、オス、メスともに発情期前に行います。一度発情期を経験すると、スプレー行為がおさまらないことがあるからです。

適切な手術時期の目安は、「生後5~6カ月頃(発情前かつ、手術に耐えうる体に成長している)」とされています。ただし、手術で麻酔を使うほか、性成熟は個体差が大きいため、健康状態や発育状況によって適した時期は異なります。

あらかじめ獣医師の診察を受け、手術時期について相談してみましょう。ちなみに、筆者の猫たちは生後6カ月で去勢・避妊手術を受けました。

手術の内容

◇去勢手術
精巣を摘出する手術です。比較的軽い手術で短時間で終わるので、日帰りも可能です。

◇避妊手術
卵巣と子宮を摘出する手術で、お腹を開くため去勢手術より大きな手術となります。1日から数日の入院が必要で、1週間後に抜糸します。

手術費用はいくらかかるの?

手術費用の目安は、去勢手術は10,000~30,000円、避妊手術は20,000~40,000円程度です。

◇参考/筆者の猫の場合
・去勢手術/15,000円
・避妊手術/25,000円
・入院費/1泊 3,000円

手術後のケアについて

◇入院生活がストレスになる猫も
我が家のオスたちの去勢手術は何の問題もなく終わりましたが、メスは初めての入院生活が怖かったのか、避妊手術後一週間ほど便秘になり、引きこもってしまいました。神経質な猫は、できるなら早めに迎えに行くなどの配慮が必要だと感じたものです。

ただし、入院期間は獣医によって判断が違うようで、日帰りを勧める獣医もいれば、入院を勧める獣医もいます。また、手術内容によって術後の経過が変わるので、猫を預ける獣医によく相談してみると良いでしょう。

◇肥満に注意
一般的に、去勢・避妊手術をすると肥満になりやすいと言われています。術後はダイエット食に切り替えたいところですが、生後6カ月はまだ成長期の子猫なので、安易に切り替えるわけにもいきません。そこで我が家では、成長期が終わるまでは食事は変えず、遊ぶ時間を組み込むことで運動量を増やして肥満対策をしました。

1歳を過ぎれば成長期は終わり。食事は室内飼い用や去勢・避妊猫用のキャットフードに切り替えましょう。

去勢・避妊手術をして実感したこと

飼い主目線での良かったことはいつまでも子ども気分で飼い主を親のように慕ってくれること。
(一般的に猫は去勢・避妊手術をすると、子猫らしい部分が残るので、いつまでも子どものような性格のまま過ごすと言われています)
また、オスのおしっこ臭がかなり軽減したのも助かりました。

しかし、健康な体にメスを入れるということは、動物としての尊厳に関わることでもあります。改めて、私が責任を持ってこの子たちの一生を幸せにしてあげないといけないな、と再認識しました。

最後に

猫の恋愛はメス主導。子孫を残すための本能とはいえ、相当な「肉食女子」っぷりに驚かれた人もいるのではないでしょうか。
春先によく耳にする激しい鳴き声の裏では、お目当てのメス猫を射止めるために、オス猫達の戦いや、人間顔負けの激しい恋の駆け引きが行われているかもしれません……

また、多産で繁殖力が非常に強い猫は、放っておくとねずみ算的に子猫の数が増えていきます。猫を飼うということは、繁殖の問題も常に隣り合わせにあるということ。一生を預かる飼い主として、どうしたら猫の幸せを守ることができるのか、避妊・去勢手術の必要性についてもぜひ一度考えてみてくださいね。

参考文献/猪熊 壽ほか編集委員著(2003)『イラストで見る猫学(KS農学専門書)』林 良博監修, 講談社.

猫のブリーダーについて

魅力たっぷりの猫をあなたも迎えてみませんか? 

おすすめは、ブリーダーとお客様を直接つなぐマッチングサイトです。国内最大のブリーダーズサイト「みんなの子猫ブリーダー」なら、優良ブリーダーから健康的な子猫を迎えることができます。

いつでもどこでも自分のペースで探せるのがインターネットの魅力。「みんなの子猫ブリーダー」では写真や動画、地域などさまざまな条件で理想の猫を探せるほか、多数の成約者の口コミが揃っています。気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

※みんなの子猫ブリーダーに移動します