そもそも犬のワクチンってなに?

ウイルスや細菌などが体内に侵入して増殖することを、感染と言います。
重症化すると危険な感染症を予防するために、ワクチンがあります。ワクチン接種をしておけば、その感染症にかからなかったり、かかったりしたとしても軽症で済むのがメリットです。
ワクチンを接種している犬が増えれば、発症した犬から犬へ感染症が広がる危険性を減らすこともできます。

人と犬では感染するウイルスや細菌が異なるものもあれば、共通して感染するものもあります。犬のワクチンには、単独、あるいは複合感染によって致死率の高い感染症に関しては開発されて接種が可能です。
ワクチンを接種しないと散歩中などに、主に感染症を発症した犬の排泄物などへの接触で感染症にかかるリスクが高まります。
一生涯、自宅の敷地からほとんど出ないという犬を除いては、後述する「コアウイルス」の混合ワクチンを接種しておけば安心でしょう。
ワクチン未接種の犬は、ペットホテルやドッグランやしつけ教室を利用できないケースもあります。

ただし、人間用同様、副作用がないとは言えないことや、ワクチンを接種してから抗体ができるまでにある一定の期間を必要とすることは頭に置いておきましょう。

犬のワクチンにはどんな種類がある? 防げる病気は?

ワクチンで予防できる感染症は次のとおりです。

犬パルボウイルス感染症

伝染力が強く、治療が遅れると子犬の9割は死亡します。嘔吐と下痢が続き、脱水症状などを起こします。

犬ジステンパー

免疫力の弱い子犬では罹患すると死亡率が高い感染症のひとつ。
主には高熱、嘔吐、下痢、目ヤニや鼻汁が出る、元気消失といった症状が見られます。最終的には脳までウイルスが達して、神経系が侵されると行動の異常やけいれんが起こります。

犬伝染性肝炎

犬アデノウイルスⅠ型の感染によって発症する感染症。2~8日の潜伏期間を経て急性の肝炎を発症します。高熱、食欲不振、鼻水が主症状ですが、子犬では症状をほとんど示すことなく突然死をする場合も少なくありません。

犬コロナウイルス感染症

軽度の胃腸炎で済むケースが多い成犬と違い、子犬では犬パルボウイルスとの混合感染で症状が重くなります。下痢や嘔吐が見られ、脱水症状に進行すると命を落とす危険性も高まります。

ケンネルコフ

犬アデノウイルスⅡ型と犬パラインフルエンザウイルスなどへの感染が原因となって発症する病気で、犬伝染性咽頭気管炎とも呼ばれます。
主な症状は咳で、日常生活では元気に過ごしていることもめずらしくありません。咳が数日間で収まれば問題ありませんが、混合感染を起こすと肺炎になり、高熱を出す危険性があります。

レプトスピラ感染症

人と動物の共通感染症のひとつ。感染源は主にドブネズミが持つレプトスピラ菌で、尿から排出された菌が子犬や人の皮膚に触れるなどして感染します。
レプトスピラ菌には複数の種類があり、感染した菌によって症状が異なります。肝臓が侵されると腹部の皮膚や目の結膜、口の粘膜などに黄疸が現れます。消化器が菌に侵されると血便や嘔吐が見られ、泌尿器が侵されると尿をしなくなったり尿毒症になったります。

狂犬病

人にも感染する人獣共通感染症のひとつで、発症した動物から咬まれることで感染します。致死率ほぼ100%の恐ろしい感染症です。単独ワクチンの接種で予防をします。

ワクチンには、単独のワクチンと混合ワクチンがあります。
単独感染や複合感染によって重症化する危険性がある、犬パルボウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルスは「コアウイルス」と呼ばれています。
2~11種類まである混合ワクチンは、製薬会社によって製品の種類が異なるため、おおざっぱに説明するとコアワクチンが含まれているものを少ない数のものとして、数が多いものにはレプトスピラなどが加えられていると言えます。

犬のワクチンは毎年接種する必要がある? 子犬に受けさせる時期は?

子犬にはまず、母体移行免疫が失われる生後45日以降に初回の混合ワクチンを接種させると良いでしょう。
すでに母犬が感染症に対する免疫を獲得していて、初乳を子犬が十分に飲めていた場合、母体移行の抗体が子犬の体内に残っている間にワクチンを接種しても効果がないからです。

生後6~8齢で初回、以後3~4週目で2回目のワクチンを接種できれば理想的。2回目のワクチン接種時にも母体移行免疫が残っているかもしれないと考え、2回目の接種からさらに3~4週間後、3回目のワクチンを打つケースも少なくないでしょう。
母犬がワクチン未接種であったり、初乳をほとんど飲めなかったりした子犬には、早期に初回のワクチン接種をさせるほうが感染症予防には効果的です。
ワクチン接種後、平均的には2週間前後で抗体を獲得します。

混合ワクチンの接種プログラムが終了したのち、狂犬病ワクチンを子犬に接種させて、自治体に犬の登録を行うのが一般的です。
日本では狂犬病予防法に基づき、91日齢以上の犬は、1年に1回の狂犬病ワクチンの接種(3,000円前後)が義務付けられています。

混合ワクチンは、子犬のワクチンプログラム終了後1年で再接種、その後は1~3年ごとの間隔で接種をするとコアワクチンに関しては高い免疫力が保てるでしょう。
愛犬の生活スタイル体質や地域の感染リスクなどを獣医さんと相談しながら、何種の混合ワクチンをどのような頻度で接種するか決めるのをおすすめします。
検査費がかかりますが、抗体価を検査したのち、抗体が切れているワクチンのみ単独で追加接種をさせても良いでしょう。

犬のワクチンに副作用はある? どんな症状が起こりうる?

日本小動物獣医師会(2007年調査)によると、ワクチンを接種した犬は200頭に1頭の割合で何らかの副作用が見られたと言います。ワクチンによって死亡する確率は3万頭に1頭とも言われています。

副作用には、全身に重篤な症状が現れるアナフィラキシー・ショックから、浮腫、発疹、嘔吐や下痢などがあります。
アナフィラキシー・ショックの初期症状としては、歯茎の色が白くなる、歯茎を圧したのち元の色に戻るまで2秒以上かかる、心拍数が早まる、呼吸が荒くなる、ぐったりとするといった様子が見られます。
副作用が生じた場合に早期に動物病院で対処をしてもらえるように、ワクチンの接種はなるべく午前中に行い、その後30分間は動物病院かその近くに留まって愛犬の様子を見ておきたいものです。
ワクチン接種後、自宅に帰ってから愛犬に体調不良が見られた場合も、なるべく早期に動物病院を受診するようにしてください。

ワクチンには、生きているウイルスなどを使った生ワクチンと、死んだウイルスなどを使った不活化ワクチンがあります。
老犬や持病があるなどの理由から免疫力が低下していると、とくに作用の強い生ワクチンは体に負担がかかる恐れがあります。そのようなケースでは、獣医さんと一緒に、ワクチンを接種させるかどうかを検討するのがおすすめです。

まとめ

日本の法律では接種が義務化されている狂犬病ワクチンと、飼い主さんの任意で接種する混合ワクチンがあります。
免疫力が弱い子犬には、混合ワクチンの接種による感染予防が重要だと言われています。その後の追加接種に関しては、かかりつけの獣医さんと相談しながら愛犬の体質やライフスタイルや生活環境にベストマッチするプランを考えてあげましょう。

執筆者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。
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