そもそも犬を飛行機に乗せて大丈夫?

結論からいって、犬を飛行機に乗せることは可能です。
さまざまな条件や制約はあるとしても、犬などのペットの搭乗に対応している場合が多いです。

ただし、日本の航空会社の場合、犬などのペットは客室に持ち込むことはできません。搭乗している間、犬はほかの犬やペットと共に飛行機内の所定の場所に預けられ、着陸を待つこととなります。
(※盲導犬や介助犬など、特別な役割を持つ犬は客室への入場を許可されることもあります)

運航中、犬は飛行機下部の貨物室に格納されます。例えば全日空の場合は、バルクカーゴと呼ばれる機体広報の特別隔離室が犬やペットの搭乗場所になっています。

一方で、海外航空会社の中には、客室に犬やペットを入れたケージの持ち込みを許可しているところもあります(ユナイテッド航空のアメリカ国内線や、デルタ航空の一部路線、アシアナ航空など)。

犬を飛行機に乗せるときの手続き・料金

犬の搭乗手続きは、搭乗する空港ごとに行いますが、手続きの方法や搭乗の条件は、利用する航空会社により変わってきます。また、乗る便が国際線か国内線かによっても、必要な手続きが異なる場合があります。

自分の乗る便についてあらかじめチェックしておきましょう。
以下に主要な国内航空会社のルールや手続き、料金をまとめてご紹介します。

ANA(日本航空)

■国内線
<手続き方法>
出発時刻の30分前までに手荷物受託カウンター(ペットお預かりカウンター)にて手続き。
出発前日前までインターネットでの事前予約も可。

<搭乗条件>
1年以内に狂犬病予防注と混合ワクチンの接種を済ませていること

<料金>
6000円(一部路線は4000円)

<預ける際の注意点>
・IATA(国際航空運送協会)の規定に適合したケージに入れて預ける
※空港での貸出サービスあり
・首輪やリードは外した状態で預ける
・5/1~10/31の期間、短頭犬種の預かりは中止
※該当犬種:ブルドッグ系(ブルドッグ、フレンチブルドッグ)、ボクサーシーズー、テリア系(ボストンテリア、ブルテリア)、スパニエル系(キャバリアチベタンスパニエル)、ブリュッセルグリフォンチャウチャウパグペキニーズ

■国際線
<手続き方法>
・インターネットからダウンロードできる同意書に必要事項を記入し、当日持参する
・当日出発空港のチェックインカウンターに同意書を提出

<搭乗条件>
・犬を入れるコンテナの3辺(縦・横・高さ)の合計は292cm以内。コンテナの総重量が45kg以内
・その他出入国のルールによってさまざまな条件あり

<料金>
25000~40000円(搭乗区間によって変動)

<預ける際の注意点>
・輸出検疫証明書、健康証明書、輸入証明書など、犬の入国に必要な書類は事前に漏れなく手配しておく
・5/1~10/31の期間、短頭犬種の預かりは中止
※該当犬種:ブルドッグ系(ブルドッグ、フレンチブルドッグ)、ボクサー、シーズー、テリア系
(ブリュッセルグリフォン)、スパニエル系(キャバリア、チベタンスパニエル)、ブリュッセルグリフォン、チャウチャウ、パグ、狆、ペキニーズ)

JAL(全日空)

■国内線
<手続き方法>
・お預け前の確認内容をチェック
・同意書の準備
・出発時刻の30分前までにチェックイン

<搭乗条件>
犬とケージを合わせた重量は32kgまで。ほかの預かり荷物と合わせた総重量は100kgまで

<料金>
3000~6000円(路線により変動)

<預ける際の注意点>
・ケージに給水器(水漏れや破損の恐れがないもの)を設置可能
・乗り継ぎがあり、乗り継ぎ時間が長い場合は、出発空港で手続きを行うことで犬に餌や水をあげることができる
・ブルドッグ、フレンチブルドッグは預かり不可

■国際線
<手続き方法>
・搭乗前に貨物室スペース確保のため事前予約を行う
・同意書の準備
・当日出発空港にて、搭乗120分前までにカウンターにて手続きと必要書類の提出

<搭乗条件>
・生後8週目以上
・妊娠中ではない
・条件を満たすクレート(ケージ)を用意できる

<料金>
路線によって変動(出発空港チェックイン時に案内される)

<預ける際の注意点>
・ブルドッグ、フレンチブルドッグは預かり不可
・輸出検疫証明書、健康証明書、輸入証明書など、犬の入国に必要な書類は事前に漏れなく手配しておく
・事前申込内容により、搭乗が認められない場合もある

スカイマーク

<手続き方法>
・事前にインターネットなどでダウンロードできる「同意書」を印刷、記入
・当日空港にて、出発の60分前までにカウンターにて申込と同意書を提出

<搭乗条件>
・ケージのサイズは51cm×69cm×48cm以内
・短頭犬種の預かりは不可
※該当犬種:パグ、シーズ-、ボストンテリア、ペキニーズ、狆、ボクサー、ブルドッグ、チベタンスパニエルなど

<料金>
5000円

その他LCC

ピーチ、ジェットスター、バニラエア、春秋航空といったLCC(格安飛行機)は、ペットの搭乗不可となっています。
LCCは持ち込み荷物や機内サービスを制限することで航空券の価格を押さえているため、やむを得ない部分があるでしょう。

犬を飛行機に乗せるための準備

搭乗に必要な手続きやルールを理解したら、次に確認したいのは犬を飛行機に乗せるための事前準備です。

犬を入れるケージやクレートを用意

各航空会社のルールに沿った規格、サイズのものを用意します。ない場合は、空港でレンタルしているものを借りられることもあります。

犬自身や飼い主の匂いが付いたものをケージ内に入れる

長時間暗くて狭い貨物室でも、犬ができる限り安心して過ごせるように自身や飼い主の匂いが付いたタオルや毛布などをケージに入れます。
細長いタオルや布類で、犬の身体に巻き付く恐れのあるものはNGです。

犬の暑さ・寒さ対策

夏季や冬季は、飛行機への乗り降りときの温度変化が大きくなることがあります。暑さ、寒さによる体調不良が心配なときは、クールマットや温感マットなどを準備しておきましょう。

長時間おとなしく過ごせるようしつけはしっかりと

しつけができていない場合、犬に負担をかけるだけではなく、搭乗自体をお断りされる可能性もあります。
搭乗の予行練習として、当日使用するケージやクレート内で過ごすトレーニングをしておくことが望ましいです。

搭乗前には排泄を済ませ、十分な水分補給を

一度預けてしまうと、乗り継ぎがない限り到着までケージから出ることができません。排泄及び給水はしっかりと済ませておきましょう。
また、航空会社のルールにより給水ボトルの設置が認められている場合は、適切な規格のものを用意しましょう。

犬を飛行機に乗せたときのリスク

搭乗前に必ず確認してほしいのが、犬を飛行機に乗せることのリスクです。
人間でも運航中の気圧の変化や大きな音、機体の揺れを苦手とする人がいますが、犬も同様かそれ以上のストレスや身体への負担を抱えることになります。

高温、低温への注意

航空機へ乗り降りするとき、外気にさらされることにより適温よりも高い、もしくは低い温度にさらされる危険があります。

普段と異なる環境におかれることによるストレス

飛行中の貨物室内は真っ暗です。さらに離着陸時の騒音や上空での機体の揺れも発生します。

気圧の変化などによる身体機能への影響

気圧の変化は犬の身体に負担をかけ、特に耳の機能に悪影響を及ぼす恐れがあります。

死亡のリスクはゼロではない

事実、海外の航空会社などにおいて飛行機の搭乗によるペットの死亡事故が発生しています。

犬にとって、貨物室内の環境は決して快適なものではありません。犬が心・身体の両方にリスクを抱えるということは、飼い主として十分承知しておきましょう。

飛行機への搭乗を控えるべき犬の特徴

犬種やサイズの条件を満たしていたとしても、飛行機への搭乗によるリスクが高い犬もいます。
不幸な事故を防ぐためにも、自分の飼い犬は下記のような項目に該当しないかどうか、確認しておきましょう。

・持病や疾患を抱えている
・食欲や元気がない
・下痢、嘔吐の症状がある
・生後8週目以下の子犬
・妊娠中の雌犬
・高齢犬
・搭乗の時間中ケージやクレートの中でおとなしくできない、極度の無駄吠えがあるなど、しつけができていない
・分離不安症
・暗く狭い場所にストレスを感じやすい
・過去飛行機に搭乗した際に、体調不良や心身の不安定などの異常が見られた
・ブルドッグなど、特定の短頭犬種は夏季の搭乗を控える
※ANAは時期により、一部短頭犬種の預かり制限あり。JAL、スカイマークは特定犬種の預かりは一切不可となっている。

上記に加えて、各航空会社からのアナウンスも注意深く見ておきましょう。

まとめ

犬を飛行機に乗せるときの手続き方法や注意点について解説しました。
特に手続き方法については、利用する航空会社や路線により、条件が大きく変わることが分かります。都度変更になる可能性もあるため、チケットの購入前に逐一チェックすることをおすすめします。

愛犬と飛行機に乗る際は、事前準備とリスクへの理解が何より大切です。これらをクリアしたうえで、愛犬との快適な空の移動を楽しみましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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