噛まないように犬をしつけるのは当然のことだけど……

犬を飼っている飼い主の悩みで、多いものが「吠え癖」「粗相」「噛み癖」の3つです。吠えたりトイレを失敗したりするのも飼い主の負担は大きいですが、噛んでしまう場合はケガや細菌感染といった健康的な被害があり、他人を噛んでしまったら賠償などのリスクも考えられます。

環境省の報告によると、平成26年度に日本で起きた咬傷事故は4364件。そのうち野犬は60件のみで、ほとんどが飼い犬です。報告されていない事故がないとは言い切れないため、実際にはもっと多いでしょう。
事故が起こる状況はさまざまですが、噛まないように犬をしつけしているからといって、必ずしも安心とは限りません。

ひどく驚いたり危険にさらされたりしたときなどは、しつけられた犬でも噛んでしまうことがあります。もしものときのために、対処法を知っておきましょう。

もしも犬に噛まれてしまったらどうする?

犬に噛まれてしまったら、まず大量の水で傷口をしっかり洗いましょう。このときの水は水道水で構いません。
少量の出血なら洗い流している間に止まりますが、出血がひどい場合は噛まれた傷口をハンカチなどでしばらく押さえてください。できれば傷口を心臓より高い位置に上げましょう。

犬から人間に感染する菌はたくさんあります。犬の感染症として有名な「狂犬病」は日本国内では50年以上発生しておらず、「破傷風」も予防接種が義務づけられているため感染の可能性は低いです。しかし犬が常在菌として持つ病原体はそれだけではなく、さらに免疫の落ちている人や高齢者、子どもは注意が必要です。
傷口を洗ったら、どんなに小さな傷でも病院を受診してください。受診科目は外科や皮膚科、形成外科などです。

消毒液は使っても使わなくてもどちらでも構わないとされています。家に消毒液がないからといって薬局に買いに走るより、一刻も早く病院を受診したほうが有効でしょう。特に傷口を固めるタイプの消毒液は治療を妨げるので使わないでください。

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愛犬が他人を噛んでしまったらどうする?

飼い犬が人を噛んでしまった場合、多くは気が動転して何をしていいかわからなくなるのではないでしょうか。

飼い犬が人を噛んでケガを負わせた場合、被害者が告訴すれば過失傷害罪に問われ、30万円以下の罰金または科料に処されます。さらに、動物愛護管理法によって人に迷惑をかけないように定められていて、賠償責任があるのは飼い主だと民法で定められています。

飼い犬のトラブルはすべて飼い主の責任です。念のため、すべきことや手順を考えておきましょう。

①噛まれた人を病院へ

何より優先するのは被害者の治療です。傷口を洗う応急処置を行い、病院を受診してもらいましょう。
噛んでしまった愛犬を放置するわけにはいかないので、まずは係留を。つなぐ場所が確保できなければ飼い主が犬を押さえます。興奮状態の犬に飼い主まで噛まれないように注意してください。

持病などによってはかかりつけ病院があるため、被害者に確認します。特に指定がない場合やかかりつけ病院が遠方の場合は近隣の病院を受診しましょう。タクシーを呼ぶのが一般的ですが、ケガの程度が大きいときは救急車を呼んでください。

飼い主は被害者に付き添うのが理想です。犬を預けられる人が一緒にいるなら預けて同伴し、いない場合は家に戻すか、安全な場所に連れて行ってください。付き添えるときもできないときも、被害者とは必ず連絡先を交換しておきましょう。

②支払いは全額飼い主が

被害者を治療する医師に、犬の予防接種の内容や時期を伝えましょう。

治療費の支払いについては被害者が加入する健康保険を使用する場合と、使わずに全額自己負担で支払う場合があります。健康保険を使った場合、窓口で支払うのは3割の自己負担金ですが、後ほど被害者の加入する健康保険組合や協会から7割の立替金が請求されます。どちらにせよ、加害者である飼い主が全額負担することになります。

飼い主が支払うべきものは

飼い犬が人を噛んでしまったら、民法の不法行為に当たるため、飼い主はケガの治療費、病院への交通費を支払う義務があります。加えて仕事を休んだ休業補償や慰謝料など損害賠償を請求されるケースは珍しくありません。

損害賠償は数百万単位に及ぶことがあり、ときには訴訟に発展する場合も。犬を飼うなら、こういったときのために「個人賠償責任保険」に加入しておくと安心です。保険会社が間に入って金額について話し合いをしてくれるほか、損害賠償の保証や相談に対応してくれます。
火災保険やクレジットカード、自動車保険、ペット保険などに付帯できるので調べておきましょう。

健康保険を適用させる場合

病院によっては健康保険が適用できないと言われることがあるようですが、被害者が加入しているなら使用可能。日本は国民皆保険ですべての国民が何らかの公的医療保険に加入していることになっているため、健康保険が適用にならないケースは珍しいです。

犬に噛まれた治療は1回で済むことはほとんどありません。毎回加害者(飼い主)が付き添って支払いをするのは難しく、後で全額請求するとしても被害者が毎回10割を負担するのも大変でしょう。
ただし、健康保険を使用して治療する場合は、被害者から加入する健康保険組合や協会に連絡と書類提出が必要です。

・第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届
・負傷原因報告書
・念書
・損害賠償金納付確約書・念書
・同意書

窓口で被害者は3割の自己負担金を支払い、後に飼い主へ請求します。残りの7割は健康保険の組合や協会から後日飼い主へ請求されます。

全国健康保険協会 第三者行為による傷病届等について

③保健所に連絡・獣医師を受診

飼い主は24時間以内に所轄の保健所に「飼い犬の咬傷届」を提出する義務があります。保健所への届け出ということで不安になるかもしれませんが、心配しすぎずに飼い主としての務めを果たしましょう。保健所から聞き取り調査がありますが、今後の咬傷事故予防のために指導されるといったイメージです。
なお、被害者と被害者を治療した医師も保健所へ届け出なくてはなりません。

48時間以内に飼い犬に獣医師の診察を受けさせる義務もあります。検査のうえ、狂犬病やそのほかの感染症にかかっていないという検診証明書を発行してもらいましょう。検診証明書は保健所と被害者に提出します。

④被害者との話し合い

謝罪はすぐに行い、都度様子伺いもすべきですが、治療が一段落したら被害者との話し合いの場を設けましょう。

飼い犬が人を噛んだ場合、告訴されれば飼い主は刑事罰に問われますし、場合によっては愛犬を殺処分するよう請求されてしまうこともあります。被害者の痛み、仕事や生活への支障などは数値化するのが難しいです。誠意ある態度で真摯に謝罪しましょう。
話し合いの際には飼い犬の使用環境の改善策などを提示することも必要です。和解が成立したら、その旨を文書で残しておきます。

被害者の感情や性格、噛んだ状況などによって話し合いがうまくまとまらず、告訴されたり多大な損害賠償金を求められたりすることもあります。そうならないように、保険会社や弁護士、行政書士などにアドバイスを受けたり間に入ってもらったりすると安心ですね。

まとめ

人を噛まないようにしつけるのは飼い主として当然のことですが、不測の事態が起こることだってあります。もしも噛まれてしまったら、どんなに小さな傷でも必ず病院を受診してください。
愛犬が人を噛んでしまったら、責任を負うのは飼い主です。噛まれた被害者はもちろん、飼い主も犬も大きなダメージを受けます。飼養環境を整えてしっかりしつけするとともに、個人賠償責任保険の加入検討や、やらなければならないことのチェックはしておきましょう。

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