犬にお座りを覚えさせる意味

そもそも、なぜお座りを覚えさせる必要があるのでしょうか? その重要な理由の一つは、犬の動きを止めることにあります。
人間の子どもをイメージしてください。子どもが電車の中で走り回ると、周りの人に迷惑ですよね。
そんなときに「ここに座っていて」と、イスに座らせることができたらどうでしょう。子どもは立っているよりも「イスにお尻を付けておく」という役割があると、その場で落ち着くことができるのです。周囲の方にも迷惑をかけません。
犬も同じです。飼い主さんからお座りと指示されて、お尻を地面につけることができれば、その場で落ち着けます。

例えば、お座りはこんなときに役立ちます。

・散歩中によその犬とすれ違うときに、リードを引っ張って向かっていこうとする。
・よその人に跳びつこうとする。
・ご飯のときに、お皿にジャンプする。

こういったときにお座りができれば、私たちにとっても犬にとっても快適ですよね。
「ダメでしょ!」と怒るのではなく、なにをしたらいいのかを教えてあげればいいのです。

ちなみに、お座りを教え始める時期は、いつがいいと思いますか? 答えは「いつからでもOK」です。
子犬でも、成犬からでもできるようになります。まだお座りができない犬は、さっそく今日から練習しましょう。

犬にお座りを覚えさせる方法

まずは室内の事前準備をしましょう。

1.練習場所となる室内を片付けます。学校の教室と同じで、周囲に気になるものがあると練習の邪魔になります。床に転がっているおもちゃなど、整理しましょう。
2.犬の爪の大きさくらいに小さくちぎったおやつかドッグフード30粒以上。

お座りを2ステップで教えていきましょう。

ステップ1 お座りの「手の合図(右手を10㎝上に持ちあげる指示)」を教えよう

1.左手の中に10粒のおやつをにぎる。
2.犬の正面に座る(大型犬の場合、犬の正面に立つ)。
3.左手の中から1粒のおやつを右手にとる。
4.右手を犬の鼻先に近づける。
5.右手のおやつをなめさせながら、犬の鼻先から真上に10㎝程度動かす。3秒以上かけてスローモーションのようにゆっくり動かすのがポイント。この手を上にあげる動きが、今後のお座りの「手の合図」になります。
6.犬が床にお尻を付けたら、「いいこ」と言って、すばやく右手のおやつをあげる。跳びついたり、前足で右手を引っかいたりしてきても、動かずに待つのがポイント。お座りをしたときだけ反応してあげることで、お座りをすればいいことがわかります。
7.左手のおやつがなくなるまで、3~6の手順を繰り返す。
※ステップ1を3セット以上練習しましょう。
※ステップ1が10回連続でできるようになったら、次のステップへ。

ステップ2 「お座り」の声の合図を教えよう

1.犬の正面に座り、「お座り」と言ってから0.5秒後にお座りの「手の合図」を出す。
2.犬が座ったら「いいこ」と言っておやつをあげる。
3.1~2を3回繰り返し、4回目で「お座り」とだけ言って少し待つ。「手の合図」は出さない。何度も「お座り」と言うと犬が混乱します。1回だけはっきりと「お座り」と言いましょう。
4.犬が座ったら「いいこ」と言っておやつをあげる。
5.1~4を繰り返す。

犬にお座りを覚えさせるコツ・注意点

いくつかよく聞かれるコツと注意点をお伝えします。

Q:指示語は「英語(sit)」「日本語(お座り)」どちらがいいのか?

A:どちらでもOK。犬は何語なのかはわかりません。大切なのは家族で統一した言葉であること。
「おすわりして!」「すわって」など、ばらばらはNG。「ポチちゃん、おりこうだからお座りしてね」などの文章もNG。単語だけで「お座り」とはっきり言いましょう。

Q:失敗したときはどうすればいいの?

A:手順をよく見直して、うまくいかないときは前のステップに戻りましょう。応用の前に基本が大切です。
失敗が繰り返されると、今までできていたこともできなくなってしまいます。
さらに、怒ることは一番NG。怖い思いをさせては、トレーニングも飼い主さんも苦手になってしまいます。

Q:うちの犬が集中しません。

A:犬の集中力は短いです。まずは1回の練習は1分以内でやってみましょう。集中させるために、大好きなおやつを用意してもいいでしょう。

Q:家ではできても、外ではうまくできません。

A:慣れた家の中でできても、刺激の多い外でできるとは限りません。屋外の静かな場所から始めて、徐々に刺激の多いところで練習してみましょう。

Q:声の合図をなかなか覚えてくれません。

A:犬は言葉の聞き取りはあまり得意ではありません。しっかりお座りの「手の合図」ができてから、「声の合図」の練習をしましょう。気長にコツコツやることがポイントです。

まとめ

日頃のしつけの基本となるお座り。いつでもどんなときでも、飼い主さんがお座りの合図を出したらお座りができるように、練習しておきましょう。そんな姿を見た周囲の人たちは「おりこうなワンちゃんね」と笑顔になってくれますよ。
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 執筆者プロフィール
ドックトレーナー / PERRO株式会社 代表取締役
国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー。
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、犬と人の心をつなぐレッスンを広めている。
しつけ方教室を始め、イベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。

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