犬にハウスを覚えさせる意味・必要性

ハウスとは、クレートやキャリーなどとも呼ばれ、犬に入ってもらう場所です。
東日本大震災以降、特に注目されたしつけが、ハウスに入って落ち着いて過ごしてもらう「ハウストレーニング」。
災害時に避難をするときだけでなく、電車や自動車での安全な移動や、ドッグホテルでの宿泊、動物病院に行くときなど、多くの場面で役に立つ、とても大切なしつけです。

「狭いところに閉じ込めるなんてかわいそう!」と思われる方もいますが、そもそも祖先が巣穴で暮らしていた犬達にとって、程よい大きさの個室であるハウスは自分だけの秘密基地。
落ち着いて過ごせる大切な場所となります。しかし、急に押し込められたら嫌いになってしまいます。いざというときに無理やり押し込まなくてもいいように、日頃から楽しい場所になるように練習しておきましょう。

ちなみに、ハウスを教え始めるのはいつからがいいと思いますか? 答えは「いつからでもOK」です。
子犬でも、成犬からでもできるようになります。まだハウスができない犬は、さっそく今日から練習しましょう。

犬のハウス選び・おすすめの設置場所

まず大切なのは、愛犬のハウスの選び方。3ポイントを確認しましょう。

1.ハウスの中で伏せても体が曲がらない奥行き。
2.ハウスの中で立ち上がっても頭が当たらない高さ。
3.ハウスの中で体の向きを変えられる広さ。

子犬のときに買ったものはたいてい大きさが足りません。成長とともに買い替えることになるでしょう。

クレートの形は、横の扉が開くようになっていることが条件です。うさぎ用のクレートは出し入れが上の扉からしかできない物もあるため、犬には不適切です。

設置場所は、快適なところがおすすめ。部屋のどこか端のほうなど、壁につけて置いておくと落ち着きます。
ダメな例としては、人が出入りする玄関の付近などは、刺激が多くて犬も気を抜けません。また、直射日光が当たりっぱなしや、クーラーが当たりっぱなしなど、温度が快適でない場合もリラックスできません。

犬にハウスを覚えさせる方法・手順

用意するもの

・クレート
・ご褒美
※犬の爪の大きさくらいに小さくちぎったおやつかドッグフード1食分。日頃の食事を、ただ何もせずにお皿であげるのはもったいない! ハウストレーニングやしつけの練習に使いましょう。

ハウスの練習方法

1.扉を開けた状態のクレートの中にご褒美を20粒以上入れておく。
2.決して扉は閉めずに、自分からクレートに入るのを待ち、体半分でも中に入ったらその状態でさらにご褒美を何粒か入れる。数日間は後ろ足が入らずに、前のめりで頭だけを入れる状態が続くかもしれません。はじめはみんなそうですから安心して続けましょう。

3.後ろ足まで入るようになってきたら、入った状態のときに入り口やクレートの横の隙間などからどんどんご褒美を追加。
4.自分からクレートに入るようになったら、ご褒美をクレートに入れながら、少し扉を閉めてすぐ開ける練習を何度か繰り返す。
5.だんだん閉めた状態でいる時間を長くしていく。はじめは数秒くらいから、いずれは数時間もクレートに入っていられるように練習を繰り返していく。目隠しでクレートを覆う布をかけると落ち着きやすい。

ポイント

・数日~1週間かけて気長にやるのがポイント! 成犬でクレートが苦手な子は、数カ月かかった子もいます。
・はじめは毎食のごはんのすべてをハウストレーニングに使うくらいのイメージでいましょう。
・怖い思いや嫌な思いをさせてしまったら、練習が後戻りしてしまいます。「おやつがもらえて、なんてステキな場所なんだろう」と思わせることが練習の目的です。
・後ろ足を残して頭だけクレートに入れている犬を見て、「早く入りなさいー!」と無理やりお尻を押し込むと、クレートが苦手になってしまうこともあります。はじめてのクレートにドキドキする子も多いので、気長に練習しましょう。
・散歩後など疲れているときのほうが、ハウス内でのんびりしてくれやすいですよ。

犬にハウスを覚えさせるコツ・注意点

いくつかよく聞かれるコツと注意点をお伝えします。

Q:おやつがないとやりません。

A:私たち人間もタダ働きは長続きしないように、犬たちも毎回無料で働かされてはやる気がなくなってしまいます。ハウスが大好きになるまではたくさんのご褒美をあげましょう。上手になってからも、ご褒美ゼロではなく、ときどきはあげましょう。

Q:うちの犬が集中しません。

A:集中させるために、ドッグフードだけではなく、大好きでたまらないステキなおやつを用意しましょう。

Q:中に入らないときはどうすればいいの?

A:ハウスの大きさが小さすぎたり、まだハウス自体に慣れていなかったりすると、なかなか体全体をハウスの中に入れることは難しいかもしれません。ハウストレーニングが、たった数分でできてしまう子もいれば、数カ月かかった子もいます。1日のご飯の1/3をハウスに入れて与えてみるなど、ハウスが好きになるきっかけを作ってみましょう。

Q:ハウスの中に長く入っていられません。

A:ハウスがまだ快適な場所になっていないのに、閉じ込められてしまうと、ワンちゃんも楽しい気持ちにはなりません。嫌がらない範囲の時間で、少しずつ時間を伸ばしながら、練習していきましょう。

まとめ

日頃のしつけの基本となるハウス。いつでもどんなときでも、飼い主さんがハウスの合図を出したらハウスができるように、練習しておきましょう。落ち着いてハウスができる犬は、安全で幸せな生活がで送れますよ。
 執筆者プロフィール
ドックトレーナー / PERRO株式会社 代表取締役
国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー。
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、犬と人の心をつなぐレッスンを広めている。
しつけ方教室を始め、イベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。

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