犬がマウンティングする理由

マウンティングは、犬がほかの犬や人に自分の腰を押し付けて、腰を振るようにする行為です。
まるで交尾をするような仕草に、びっくりされる飼い主さんもいるかも知れませんね。
ちょっと恥ずかしい行為に見えるマウンティングですが、実は犬にとっては自然なこと。
マウンティングには、「上下関係の誇示」、「遊び(じゃれあい)」、「発情による性的行動」、「ストレス」といった理由があるのです。

上下関係の誇示

もともと犬は群れのなかで生活してきた動物で、上下関係を重要視する性質があります。犬にとってのマウンティングは、「自分が上である」ことを示す意味があるのです。
オスがするイメージが強いマウンティングですが、実はメスも同様の行為を行うことがあります。
また、マウンティングには犬の「支配欲」や「独占欲」が含まれるケースも多いものです。

遊びによるもの

子犬同士のじゃれあいや、飼い主に対する愛情表現がマウンティングに表れることもあります。このときの犬は、イキイキとしてとても楽しげな様子に見えます。
このときのマウンティングは、「上下関係」や「支配欲」に関係なく行われるものです。

発情による性的行動

発情期を迎えたオスに見られる行動です。未去勢のオスは、メスのフェロモンに誘われてマウンティング行為に及びます。
去勢によりマウンティング欲は収まりますが、完全はなくならないことも多いようです。

ストレス

飼い主に構ってもらえないことや、ヒマを持て余すことによるストレスが、マウンティング行動に繋がることがあります。
飼い主のそばでぬいぐるみに対して行うものや、飼い主の腕や足に対して行うものは、飼い主の気を引きたい、構って欲しい気持ちの表れです。

犬がマウンティングをはじめる時期は?

犬のマウンティングは、子犬が成長する過程においてはじまります。
成長の具合や個体差によって違いはありますが、だいたい6カ月前後からはじまる場合が多いようです。
メス犬の場合は、ヒート(犬の生理)が起こる頃からマウンティングをはじめるケースもよく見られます。
もっと早い場合は、生後2~3カ月からマウンティングがはじまった……なんてことも。

一方で、生後6カ月を過ぎてもマウンティングを行わない犬もいます。これは犬の性格の違いによるもので、比較的おとなしい犬は「マウンティング欲」が薄い傾向にあります。

犬のマウンティングはやめさせるべき?

ほかの犬や人にマウンティングする姿は、あまりいいものに見えませんよね。
愛犬のしつけのうえでも、マウンティングはやめさせるべきだと言えます。犬のマウンティングは放っておくと癖になり、エスカレートしてしまうこともあります。

犬同士でマウンティングする場合

犬は社会化する過程でやっていいこととダメなことを学んでいきます。ただ単にじゃれあっているだけでも、エスカレートすると相手の犬にケガをさせてしまうことにもなりかねません。
また、無用なマウンティングは、ほかの犬の飼い主に不快感を与える行為でもあります。犬を社会化させて人間の生活に馴染ませるためにも、犬に対するマウンティングはやめさせるべきでしょう。

人間に対してマウンティングする場合

飼い主にマウンティングをする場合、「自分の方が上だ」という犬の気持ちが表れていることがあります。
犬より下に見られると、しつけができない、コントロールができない、犬がわがまま放題になる……などと悪いことづくめです。
犬にマウンティングをされたときは、しっかりと「NO」を突き付けてください。飼い主として、毅然とした態度でやめさせるべきでしょう。

ぬいぐるみやクッション、タオルにマウンティングする場合

この場合のマウンティングは単なる遊びであることも多いですが、やはり犬の思うままにやらせていいものではありません。
ぬいぐるみに対するマウンティングは、犬の支配欲を助長させ、ほかの問題行動に発展してしまったり、ときには摩擦によって出血したりすることもあります。

犬のマウンティングをやめさせる方法は?

初心者飼い主さんで、「どうやったらマウンティングをやめさせられるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
マウンティングする犬には、原因となるものを取り除くこと、そしてしつけにより「マウンティング=いけない」と教え込むことが大切です。
最後に、マウンティングする犬への正しい対処法をパターン別に紹介します。

人間にマウンティングする場合

飼い主に対してマウンティングする犬に対しては、主従関係をはっきりさせて「飼い主>犬」であることを教えましょう。
過度な甘やかしや、犬の言いなりになるのは、犬のわがままを助長する原因です。犬との信頼関係ができるまでは、一貫した態度でしつける必要があります。

また、「無視する」、「相手にしない」といったしつけ方法もあります。
マウンティングされた手足をふりほどき、無言で犬の側から離れる、ほかの部屋に行くなどの行動をとることで、「マウンティングしても遊んでもらえるわけではない」と理解させます。
「マウンティングをする=嫌がられる、嫌われる行動」だと、犬に知らしめることが大切です。

ほかの犬にマウンティングする場合

外出する際には、必ずリードを使用してください。犬がほかの犬にマウンティングをしようとするときは、すかさず「ダメ!」と叱ってリードを引っ張り、ショックを与えましょう。
ドッグランなど、ノーリードの施設の場合は、常に飼い犬から目を離さないことが重要です。

ぬいぐるみやクッションにマウンティングする場合

飼い主の側でマウンティングをするときは、「ダメ」、「いけない」と短く叱り、やめさせます(叩いてやめさせるのはNGです)。その後、ぬいぐるみやクッションを犬の手元から遠ざけるのがいいでしょう。
無理にぬいぐるみやクッションを取り上げようとすると、怒った犬に噛みつかれることがあります。まずは違うおもちゃを使って気をそらし、離れたところでマウンティング対象を取り除いてください。
マウンティングをやめたときは、「いい子だね」としっかり褒めてあげましょう。

未去勢の子犬の場合は、マウンティング行動がはじまる前に去勢をしてしまう方法があります。個体差はありますが、子犬の頃に去勢した犬は、マウンティングを行わないケースも多いものです。
一方で、犬によっては去勢後もマウンティングが残ってしまうこともあります。その場合は、飼い主との信頼関係づくりや、正しいしつけが重要になるでしょう。

まとめ

以上、犬のマウンティング行動の理由と対処法の説明でした。
突然の愛犬の行動にびっくりされる飼い主さんもいるかも知れません。マウンティングをやめさせるために大切なことは、犬との信頼関係作りと、それに基づく正しいしつけです。
マウンティングから問題行動に発展してしまう前に、飼い主として冷静な対処で、「マウンティング=いけないこと」と教えてあげましょう。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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