さくら猫とは?

さくら猫とは、飼い主を持たない地域猫(野良猫)で、片耳の先端をV字にカットされた猫を指します。カットされた耳がまるで“桜の花びら”のように見えることから、さくら猫の愛称が付きました。
沖縄県石垣島の市長と猫愛護団体の理事長、猫専門雑誌の編集長の会談の中ではじめて「さくら猫」という呼び名が使われ、以降全国的に広まることとなります。

「猫の耳を切るなんてかわいそう」と思う人もいるかも知れませんが、耳のカットは動物愛護事業の一環として行われていることです。
さくら型の耳を持つ地域猫は、人の手によって保護され、避妊去勢手術を施されています。まだ手術を受けていない猫たちと区別する意味で、耳をカットしているのです。

さくら猫は性別を問わず存在しますが、実は性別によりカットする耳が異なっており、オスは右耳と決められています。さくら耳は、オス・メスを見分けるための“目印”にもなっているのです。

また同様の活動において、耳をさくら型ではなく水平にカットするケースもあります。
いずれにせよ、カットされた耳は特定の飼い主を持たない地域猫が「避妊去勢済み」であることの大切な目印なのです。

TNR活動とは?

TNR活動とは、公益財団法人どうぶつ基金による動物愛護活動です。Trap(トラップ/捕獲)・Neuter(ニューター/不妊手術)・Return(リターン/返す)の頭文字をとって、TNRと呼ばれています。

TNR活動の方法

TNR活動は、「地域猫の保護」、「不妊・避妊手術の実施」、「猫をもともとの場所に返す」の3ステップで行われます。

まずは猫を傷つけないよう、捕獲機を使って保護。そして信頼の置ける獣医さんのもとで不妊・避妊手術を行い、手術を行った目印として耳をカットします。猫の体調が戻ったら、捕獲場所に返し、もとの生活に戻るよう促します。

TNR活動では、対象となる手術をすべて無料で行っています。

どうして「さくら耳」にするの?

わざわざさくら耳にカットするのは、一度手術を受けた猫を再度捕獲することを防ぐためです。手術の麻酔は少なからず猫の体に負担をかけるので、そのリスクを軽減することが必要になるのです。

また、手術済で繁殖の可能性がないことを地域の人々に知らせるのは、地域猫としての生活を守ることにもつながります。

逆に言ってしまうと、首輪を付けずに外飼いされている猫は、野良猫と勘違いされてTNRされるリスクがあるのです。そうならないためには、しっかりと首輪を付け、外れないように注意する、極力外飼いをやめるといった対策も必要になります。

TNR活動の背景と目的

TNR活動はどうして行われるようになったのでしょうか。

猫はとても繁殖力の強い動物です。生後半年ほどで繁殖期を迎え、年に3回、1回に5~7匹もの子猫を産みます。そのため、不妊手術を受けさせないままでいると、飼い主を持たない猫が爆発的に増えることとなります。

こうして増えた猫は、地域の環境にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。
そして取られる対策は、殺処分という残酷なものです。現在の日本では、十数万匹の猫たちが殺処分されており、社会問題の一つとなっています。

TNR活動は、野良猫の増加を防ぎ、失われてしまう動物の命を減らすという意味で、非常に重要な意味を持つのです。

TNR活動にかかる費用は?

一般的に、猫の避妊去勢手術にはオスで10,000~15,000円、メスで20,000~35,000円ほどの費用がかかります。TNR活動は無料で野良猫たちの手術を行っていますが、これは協力してくれる獣医さんたちのご厚意により成り立っているものです。

1日130円、毎月4000円の支援で、毎月1頭の猫の手術ができるとされています。TNR活動に理解を示し、どうぶつ基金への支援を行うことで、一般市民である私たちも地域猫を守る活動への協力ができるのです。

さくら猫はかわいそう?

耳をカットされている猫の姿を見て、「痛そう」、「かわいそう」と思う人は少なくないでしょう。はたして、さくら猫は本当にかわいそうなのでしょうか?

耳カットはかわいそう?

さくら猫の目印である耳カットは、避妊去勢手術とともに全身麻酔をかけて行われます。手術は猫の意識がないうちに行われますので、痛みを感じることはほとんどありません。

耳カットをしないままリリースされた地域猫は、目印がないために誤って再捕獲され、全身麻酔と再手術をされてしまう恐れがあります。
メス猫の場合、手術済かどうかは見た目で分かりにくいケースもあり、「いざおなかを開けてみたら、すでに子宮がなかった」ということも。

こういった手術は猫の体に大きな負担をかけるものであり、猫にとって不必要な手術が行われるほうが“かわいそう”なのではないでしょうか。

避妊去勢手術はかわいそう?

「猫に本来備わっている生殖器官を取るのは人間のエゴではないか」、「健康な猫を手術するのはかわいそう」と考える人たちもいます。

先ほども説明したように、猫はとても繁殖力が強い動物です。
野良猫同士が繁殖すると、あっという間に子猫が増え、鳴き声や排泄物で近隣住民へ迷惑をかけるようになります。そのように増え過ぎた猫は保健所に通報され、殺処分の対象となります。
もちろん保護猫の譲渡活動は全国各地で続けられていますが、それでも追いつかないぐらい殺処分が増えているのが実情なのです。

TNR活動による手術は、“無為に処分される猫が増えることこそがかわいそうで、残酷である“という考えのもとで行われています。
これ以上むやみに猫の頭数を増やすことなく、今生きている猫たちを最後までかわいがり、命を守るための手術、それが「さくら猫」の存在が意味するものなのです。

さくら猫は飼えないの?

もし自分の周りで飼い主のいないさくら猫を見つけたら、家で飼うことができるのでしょうか?

さくら猫とはいえ、避妊去勢手術と耳カットをされていること以外は、ほかの地域猫と変わりありません。保護して飼うことも問題ないといえるでしょう。
もともと野良猫として生活していた猫なので、人慣れするまでは少々時間がかかるかもしれません。トイレのしつけも根気強く行う必要があります。

猫を保護するときは、できるかぎり専用の捕獲機を使いましょう。
保護に成功したら、すぐに動物病院へ。同居猫がいる場合は病気感染のリスクがありますので、必ず病院での検査を受けさせてください。

地域猫のなかには、いわゆる“餌やりさん”にごはんをもらっている場合もあります。
猫が急に姿を消すと餌やりさんに心配をかけることになりますので、可能な限り猫の安否を知らせてあげるのがおすすめです。

まとめ

以上が耳をカットされた「さくら猫」についての説明でした。

猫を保護し、手術を行うTNR活動は一見かわいそうなことに見えますが、活動の背景をたどれば、増え続ける地域猫や野良猫の命を守るための重要な活動であることが分かりますね。

TNR活動を行うための募金を行ったり、さくら猫を保護して飼ったりすることは、私たちにできる支援方法の一つです。興味がある方は、この記事を参考にぜひさくら猫への理解を深めてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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