ネコだけじゃなく、犬にとっても引っ越しはストレスになる

玄関にたたずむ犬
「犬は人に付き、猫は家に付く」ということわざがあるように、犬は飼い主になつき、 猫は住んでいる家に執着するイメージがあります。でも、それって本当なのでしょうか? 

引っ越しは犬にとっても、日常が大きく変化する出来事です。なかには移動のために、普段乗ったことのない車や電車、飛行機などに初挑戦する子もいるでしょう。はじめての経験や環境の変化から生じる愛犬のストレスサインに注目し、フォローしてあげることが大切です。

このサインが出たら要注意 犬のストレスサイン

粗相してしまった犬

粗相をする

環境の変化に戸惑い、引っ越し後はトイレトレーで排泄をしなくなったり、排泄を我慢してしまったりすることがあります。

原因の一つに、新居に慣れていないため、トイレの場所がわからなくなってしまうケースが考えられます。その場合はトイレトレーニングを一からやり直す必要があるでしょう。

家具とトイレトレーを以前と同じような配置で置くなどの配慮をしてあげると、犬も戸惑いが少なくて済みます。

夜鳴き

いつもと違う状況に不安を感じてはじまるのが夜鳴きです。せっかく新居に引っ越してきたのに、「あの家の犬、うるさいわね」とご近所トラブルに発展するのは避けたいところ。でも、「かわいそうだから」と飼い主が何度も見に行くと、「夜鳴きをすれば人が来てくれる」と学習してしまうので気を付けましょう。

まずは何に向かって吠えているのかよく観察し、その原因を減らしてあげましょう。ケージで寝かせているならバスタオルで覆って音を聞こえにくくしたり、カーテンを閉めて部屋を暗くしたりすることも有効です。

食欲不振

人間だって慣れない環境や緊張する場面では食欲が落ちるもの、犬も同じです。できるだけ変化を減らすためにも引っ越し先では以前と変わらないフードをあげ、おやつは控えめにしましょう。

ただし、食欲不振の原因がストレスとは限りませんから、症状が続くようであれば動物病院の受診をおすすめします。

嘔吐や下痢

ストレスから、嘔吐や下痢をしてしまうことがあります。脱水症状などを起こす心配がありますから、続くようであれば動物病院に連れて行きましょう。
とくに元気がない、嘔吐と下痢を併発している、などの場合は早めに獣医師に相談するべきです。嘔吐や下痢の回数、状態などをメモしたり、便や吐しゃ物を持参したり撮影したりする、といったことも診察に役立ちます。

分離不安

引っ越しを機に、「飼い主が外出から戻ってこないのではないか」という心配から分離不安を起こす子もいます。飼い主の姿が見えなくなるとパニックを起こし、自分の足を噛むなどの自傷行為をおこなうケースもあるのです。
まずは「留守番していても飼い主は帰ってくる」という安心感を与えるために、短い留守番から慣れさせることも大切です。

新居に早く慣れさせるには

隠れるシベリアンハスキー
さまざまなサインでストレスを教えてくれる犬たち。飼い主としてもできることは精一杯してあげたいものですよね。新居に慣れてくれるように次のような点に配慮してあげましょう。

サークルやトイレトレーを以前と同じ配置にする

新居周辺の環境は変えられませんが、家のなかの環境は飼い主が整えられます。サークルやトイレなどの場所は以前の家と同じ配置にすると、愛犬の戸惑いも少なくなり、徐々に落ち着いて過ごせるようになります。

使い慣れたベッドやおもちゃを置く

「せっかく新居に引っ越すのだから、犬のベッドやおもちゃを新品に買い替えたい」と考える方もいると思います。しかし愛犬が新しい環境に慣れるまでは、少し待ってあげたほうがいいでしょう。
犬は人間よりも嗅覚が鋭く、匂いの変化に敏感です。犬にとって慣れ親しんだ匂いに囲まれて過ごすことは、安心感につながるものなのです。引っ越ししてしばらくの間は、愛犬が使い慣れたものをそばに置いてあげるといいですよ。

いつも以上にスキンシップや声がけをする

新居で留守番などが続くと、犬は不安を感じます。飼い主は、引っ越したあともこれまでと変わらない生活が続くことを態度で示すことが大切です。
またおもちゃをつかって遊んだり、なでたりして、「引っ越してから嬉しいことが増えた」と愛犬に思わせるといいでしょう。犬のストレス軽減に最も効果的な方法です。

散歩に出かける

「はじめての土地で不安だから」と散歩を控えると、犬はストレスが発散できず逆効果になることがあります。最初は車通りの少ない道や自然の多い道などを選んで、少しずつ新しい散歩コースに慣れさせます。お散歩好きな子なら、すぐに楽しみを見つけてくれるはずです。

愛犬との引っ越しで気を付けたいこと

車にクレート事乗せられる犬
引っ越し当日の愛犬の移動や引っ越し直後の手続きに関しては、いくつか注意すべきことがあります。自分の引っ越し作業に追われて失念することのないようにしましょう。
事前に準備しておくべきことや引っ越し後にするべきことは、「することリスト」として、しっかりメモしておくことをおすすめします。

脱走対策

引っ越し当日、普段とは違う人の動きに犬はパニックを起こしがちです。移動中や引っ越し業者の行き来に紛れて、逃げ出してしまうことも考えられます。ケージや玄関の開閉に注意することはもちろん、マイクロチップと迷子札の情報を改めて確認してください。「もしも」に備えておくことが大切です。

移動中の注意点

車や電車、飛行機にはじめて乗る子も多いのではないでしょうか。移動用にケージやキャリーケースを使う場合は、あらかじめ慣れさせておく必要があります。また、乗り物酔いが心配であれば、事前に動物病院に相談に行って酔い止めを処方してもらうといいでしょう。
  • 車の場合
車酔いを避けるため、移動直前にはフードを与えない、または量を減らすなどの対策をしましょう。ただし空腹すぎても調子が悪くなるため、与えるタイミングに気を付けてください。乗車2時間前までには、食事を済ませておくと安心です。

長距離移動する場合は車内の温度管理に気を付けましょう。犬を乗せている場所にも冷房や暖房が効いているか、また効きすぎてはいないか、必ず確認してください。
運転には休憩を挟み、犬の様子が落ち着いていればリードにつなげて外に出し、空気を吸わせたり、水分補給をさせたりしてください。
  • 電車の場合
乗客のなかには、犬が苦手な人やアレルギーを持つ人がいます。ケージから犬に顔出しをさせたり、ケージに手を入れて遊んであげたりするべきではありません。周りの乗客に配慮し、マナーを守って乗車しましょう。

ケージはできるだけ水平な場所に置いてください。ただし、電車の足元は暖房が直接吹く場所もあるので、置き場所は一度手をかざして確認してください。
  • 飛行機の場合
利用する航空会社の規定に合わせ、ケージなどを準備しましょう。

気圧の変化や熱中症などの予防から、夏の利用には注意が必要です。パグなどの鼻が短い短頭種は熱中症を起こしやすいため、航空会社によっては搭乗できない場合もあります。

畜犬登録変更届をする

引っ越したら、ペットの登録住所変更手続きが必要です。
同じ市区町村内で引っ越しをした場合は、役所あるいは保健所に届け出ます(一部地域では電子申請で変更が可能な場合もあります)。
別の市区町村へ引っ越した場合は、新住所のある役所あるいは保健所で手続きが必要です。登録事項変更届、旧住所地での鑑札、注射済票(注射済の場合)を持っていくと、新しい鑑札と交換してもらえます。

まとめ

階段を駆け下りる犬
いかがでしたか? 新居での生活には、飼い主自身も慣れるのに時間がかかりますよね。
愛犬に夜鳴きや粗相などがあっても強く叱らず、愛犬の不安な気持ちも汲んであげてくださいね。まずは1カ月、のんびりと様子を見守りましょう。
飼い主が楽しそうに生活をしていれば、愛犬も少しずつ緊張がほどけていくものです。
きっとそのうちに新しい生活を一緒に楽しめるようになりますよ。
 執筆者プロフィール
フリーランスの編集者・ライター
教育や動物、地域情報などを中心に取材・執筆を行う
保健所から引き取った愛犬「ソルト」が大好き

サイトURL:https://yukidog-office.com/index.html
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