エリザベスカラーって何?つける意味は?

エリザベスカラーは、ケガや手術のあとの傷、皮膚の炎症などを猫がなめたり噛んだりしないように保護する道具です。

16世紀から17世紀にかけて、ヨーロッパ諸国ではレースやフリルで飾った丸い「ひだ襟」が流行していいました。イングランドの女王・エリザベス1世もひだ襟を愛好したひとりで、肖像画からもその様子がわかります。
エリザベスカラーの名称は、このエリザベス1世のひだ襟と似ていることから名づけられました。

英語圏では「Cone of shame(不名誉な円錐)」と呼ばれているようです。不思議な名前ですが、つけられたときの猫の表情を思い出すと納得できてしまいますね。

ケガを負ったり皮膚病にかかったりすると、猫は一生懸命その場所をなめます。早く治すためになめているという説もありますが、「気になるからなめる」というのが正解のよう。
猫のざらざらした舌でなめると傷が広がってしまったり、「舐性皮膚炎」という病気につながる場合があります。さらに、外用の薬をなめとってしまうことの影響も心配です。

エリザベスカラーのストレスを軽減する4つの方法

エリザベスカラーをつけられると、猫は大なり小なりストレスを感じます。

首に違和感があるし視界は悪いし、狭い隙間は通れず、毛づくろいもいつものようにできません。たいていの猫はエリザベスカラーが嫌いです。飼い主としては猫がかわいそうになりますが、動物病院でつけるように指示されているときは外すわけにはいきませんよね。

では、猫のストレスを軽減するために飼い主はどのようなことができるでしょうか。

①水を飲みやすく、フードを食べやすく

猫が今までどおりに食べたり飲んだりしようと思っても、エリザベスカラーが引っかかってうまくいかないことがあります。その際は器を工夫してみてください。

水やフードのボウルに届かない場合は、足つきのボウルや深さのあるボウルを試してみてください。台の上に置いて高さを出すのもおすすめです。
エリザベスカラーに当たって皿が滑ってしまうときは、滑り止めシートを下に敷くか、重さのある陶器などのボウルを試してみましょう。直径の大きいものより小さい皿のほうがエリザベスカラーは引っかかりにくいようです。

②柔らかいもの・小さいものに交換する

エリザベスカラーが大きすぎて邪魔なことはよくあります。オーダーメイドでない限り、猫の体にぴったりというのはなかなか難しいのかもしれませんね。

市販のエリザベスカラーはたくさんの種類があります。平らな布製や枕になるもの、視界を遮らない透明のものなどさまざま。愛猫に応じて選んでみるのもいいのではないでしょうか。

また、エリザベスカラーを自作する飼い主もいます。少し前にはカップ麺の空き容器で作られたエリザベスカラーが話題になりました。クリアファイルを切ってガムテープで止めたり、赤ちゃん用のシャンプーハットで代用したりといったアイディアもあるようです。

ちなみに、「派手な色は猫の目に悪い」という意見がありますが、猫の目は人間と同じように色を理解しているわけではありません。反射するものでなければ、色はあまり気にしなくても大丈夫です。

柔らかいものや小さいものに変更したら、猫の様子をみて、カラーの役割をきちんと果たしているか確認しましょう。

③グルーミングしてあげよう

猫は普段自分で毛づくろいをしていますが、エリザベスカラーをつけているときはそうもいきません。
この期間は飼い主がまめにケアしましょう。

傷口に障らない程度にブラッシングし、お尻などはぬるま湯で浸したガーゼやペット用のウェットティッシュなどで拭きます。
かゆいところに届かずイライラすることもあるので、積極的に耳の裏やカラーをつけている首などをかいてあげるのもいいですね。

④術後服を着せる

エリザベスカラーをつける目的は傷口を保護することなので、「術後服」を着せるという手もあります。

術後服は、手術後の患部を保護したり、猫が過剰になめるのを防いだりするための服です。猫は服を着る習慣がありませんが、エリザベスカラーをつけるよりは快適に過ごせるとして、使用する飼い主が増えています。

包帯やガーゼを貼っただけではすぐにずれてしまいますが、術後服ならしっかり傷口を保護してくれます。難点は、術後服の上から噛む場合があることと、去勢後のオスは使えない場合があること。また、猫によってはエリザベスカラーと同じくらいストレスに感じることもあります。

エリザベスカラーをつけない病院もある?

エリザベスカラーを使用する病院と使用しない病院があります。メスや縫合糸の性能、手術技術が向上したことで、避妊・去勢手術をしてもエリザベスカラーをつけずに退院することができるようになってきました。

ただし、エリザベスカラーをつけるからといって一概に技術が低い病院だとは言えません。エリザベスカラーをつけるかつけないかは、獣医師の方針や猫の性格、体調にも関係するでしょう。

安易に「エリザベスカラーをつけないからいい病院」と考えず、獣医師に手術の方法やなぜエリザベスカラーをつけるのかを、納得できるまで説明してもらってください。

まとめ

猫にとってエリザベスカラーをつけた状態は、あまり気持ちのいいものではありません。しかし、猫が健康に安全に過ごすためには、つけなければならないときもあります。猫が快適に過ごせるよう、飼い主が配慮してあげましょう。

早く愛猫の傷や皮膚炎がよくなるといいですね。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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