おとなの猫を飼うとどんなメリットがあるの?

日本ではペットに「小ささ」「幼さ」を求める傾向があります。そのため、猫を飼い始める人は成猫より子猫を希望していることが多いようです。
確かに、小さくてふわふわな子猫のかわいらしさは格別ですね。成猫を飼うなら、愛くるしい子猫の時期を見逃してしまうことになります。

しかし、猫の寿命は長ければ20年以上。そのうち子猫の期間は、たったの1年ほどです。その期間のために「成猫を飼う」という選択肢を捨てるのは、いささかもったいないのでは。

では、成猫から飼い始めることには、どんなメリットがあるのでしょうか。
〇性格がわかっている
環境によって多少変化しますが、猫の性格はだいたい1~2歳くらいで完成されます。
家を空ける時間が長い人なら、いつも飼い主と一緒にいたいタイプの猫とは暮らせません。逆に猫とのスキンシップを楽しみたい人は、触られるのが嫌いな猫とは合いませんね。
成猫の場合は猫の性格がわかっているので、飼い主のライフスタイルや希望に合わせて選ぶことができます。

〇抵抗力や免疫力が強い
子猫の時期は、気をつけなければいけない病気がたくさん。FIPや内部寄生虫などはワクチン接種で予防できませんし、体力のない子猫は下痢や嘔吐ですぐに衰弱してしまいます。日々の健康管理に気が抜けません。
その点、成猫は免疫力や抵抗力が強く、丈夫です。成猫でも健康管理は必要ですが、子猫に比べ、医療費は少なく済む可能性が高いです。

〇留守番できる
健康面で不安定なうえ、やんちゃな子猫を留守番させるのは不安ですね。さみしい思いをさせるでしょうし、子猫の好奇心が思わぬ事故につながる恐れもあります。
猫は基本的に単独行動を好む生きもの。性格にもよりますが、成猫ならエサや飲み水の供給ができれば、2日程度の留守番は可能といわれています。

〇トイレの失敗をしない
猫はきれい好きで、本能的に砂の上で排泄をします。成猫はトイレの場所さえ把握すれば、習性としてそこで排泄してくれるでしょう。
子猫も基本的にトイレを覚えていますが、子猫ゆえの勘違いや習慣の違いから粗相することも少なくありません。
※ただし、トイレが汚れている場合など、抗議行動として成猫でも粗相することがあります。

〇落ち着いている
子猫は好奇心旺盛でやんちゃ。猫は薄明薄暮性で夕方や明け方に活動的になるため、人間と活動時間が異なります。一緒に暮らすうちに人間の活動時間になじみますが、子猫のうちは明け方や夕方に走りまわることも。
さらに、歯の生え変わりの時期はむずがゆくていろいろなものを噛み、初めて目にするさまざまなものにちょっかいを出します。
1~2歳ころには落ち着きますが、子猫時代のあまりのパワフルさに疲弊してしまう飼い主もいるようです。

最大のメリットは「手がかからない」こと

成猫から飼う最大のメリットは、「手がかからない」ことではないでしょうか。猫を飼うのが初めての人や、家を空けることが多い家庭では、子猫の世話はできないという理由で成猫を希望することがあるそうです。

そのほか、アレルギーや病歴などの健康状態が把握できているため、飼うときの注意点が明確なこと、譲渡(購入)費用が子猫と比べ少ないことなどがメリットとして挙げられます。

成猫を飼うことのデメリット

成猫を飼うことに、もちろんデメリットもあります。考えておいてほしいデメリットを挙げてみます。

〇子猫時代が見られない
子猫は本当にかわいらしく、猫好きでなくとも見ているだけで癒されます。振り回されるのは大変ですが、そんな苦労も問題ないくらいに子猫は愛らしいですね。
成猫が子猫に戻ることは絶対にできませんから、その点はさみしく感じるかもしれません。

〇なじむのに時間がかかる
「ネオフォビア」といい、猫は新しいものに拒否反応を表す傾向があります。
子猫のうちは好奇心旺盛なため、新しいものも比較的受け入れますが、成猫になると時間がかかります。新たな飼い主や部屋にあまり反応を見せないことも。なかなか慣れないのは、本能のためだということを覚えておいてください。

〇脱走することがある(外飼いされていた猫の場合)
最近は猫の飼い方として完全室内飼いが推奨されています。しかし、今まで外で飼われていた、もしくは家と外を自由に行き来していた猫は、家に閉じ込められるとストレスを感じることがあります。ちょっとした隙間から脱走してしまうことがあるので、対策が必要です。

〇老猫の場合は通院は介護が必要な可能性
子猫は体調を崩しやすいですが、老猫も病気リスクが高く動物病院のお世話になる機会は増えるでしょう。飼い始めた成猫の年齢によっては、すぐに高齢期に入って病院通いや介護をしなければならない可能性があります。
費用面はもとより、世話をする時間が工面できるか考えておかなけれななりません。

〇去勢・避妊手術をしても性的行動を止められない
去勢や避妊手術の目的は、望まない妊娠の予防のほか、発情期の問題行動や生殖器関連の病気予防です。
発情期がくると、猫は一晩中大きな声で鳴き続けたり、異性を求めて無理やりにでも外に出ようとしたり、家じゅうにマーキングすることもあります。一度でも発情期を迎えた猫は、去勢・避妊手術を受けさせたとしても問題行動が収まらないことがあります。

なつかないのは「成猫だから」ではなく……

このほか、名前を自分で決められない、保護猫の譲渡の場合は手順が煩雑などといったこともデメリットとして考えられます。

「なつかない」ことを成猫を飼うデメリットに挙げる人は多いです。しかし、猫はもともと干渉されたり群れたりが苦手な動物。猫種やその猫の性格で多少違いはありますが、ほどよく距離感があるのが猫との暮らしです。

あまり飼い主に甘えなくても、それは「成猫から飼い始めた」からではなく、「猫とはそういうもの」だからという可能性があります。そっけなく見えるおとなの猫でも、心の中では飼い主に大きな信頼を寄せていますよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。成猫を飼うメリット・デメリットをまとめてみました。

かわいい子猫時代を一緒に過ごせないのはさみしいことですが、飼う人のライフスタイルや希望の飼い方によっては、成猫のほうが向いていることもあります。
子猫でも成猫でも、飼ったらどのような生活になるのかシミュレーションし、最後まで面倒を見る覚悟を持って迎えてくださいね。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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