猫を飼うのは犬より手間いらずって本当?

犬と比べ、猫は飼うのに手間がかからないイメージを持つ人は多いです。日中留守にしている家庭は犬より猫がおすすめといわれることがありますし、飼育費用も犬より安いといわれます。
しかし、本当にそうでしょうか。

猫を飼う前は楽しみな気持ちが膨らみますが、猫を迎えたら、家族として15年以上ともに過ごすことになります。
「かわいい!」というだけで安易に飼い始め、「思ってたのと違う!」などということになれば、猫も家族も不幸になってしまう可能性があります。

猫はわりと面倒な動物で、決して飼うのに手間いらずではありません。それでも飼いたいかどうか、幸せにできるか、十分に検討してから猫を迎えてください。

1 「猫ファースト」になる覚悟はあるか

猫は単独行動する生物なので、人に合わせるということはほとんどしません。猫には飼われている意識はなく、自分のテリトリーに飼い主がいるという感覚です。

ある程度人間に合わせてくれる猫もいるようですが、「したいことをして、したくないことはしない」のが猫です。早朝や深夜に起こされる、何かしているときに邪魔されるなんて当たり前。
どんなに高級な革ソファでも爪とぎしますし、飼い主が急いでいるときでもヒザに乗って甘えます。

叱ったとしても、「なんかわからんけどあの人怒ってるわ」くらいで、反省することはありません。理由がわからないまま叱られたことで飼い主を嫌ってしまうことも……。
甘やかし放題はよくありませんが、触ってほしくないものは隠す、やってほしいことは誘導するなど、基本的に飼い主が先回りして行動しましょう。

猫はフードやグッズが気に入らなければ見向きもしません。フードが気に入らなくてハンストしたり、トイレが嫌で排泄を我慢して病気になったり、猫はなかなか根性の座った気まぐれです。
第一は猫が健康に過ごせること。気に入ってもらえるように工夫しなければなりませんし、気に入ってもらえるように工夫したことが無駄になることを覚悟しましょう。

性格が悪いわけではなく、猫はそういう生き物なのです。そんな猫をわざわざ家に迎え入れるからには、飼い主が合わせるのが当然です。

2 猫の生涯にわたって飼う費用が用意できるか

アニコムが発表している「家庭どうぶつ白書2021」によると、1年間で猫の飼育にかかる費用は、平均で164,835円です。
猫の平均寿命は14.3歳なので、単純に計算すると、生涯にかかる経費は約236万円ほどにものぼります。

ブリーダーやペットショップから迎える場合は、このほかに猫本体の代金がかかります。価格は5万円程度から100万円を越えるものまでさまざま
保護団体などから譲渡してもらう場合も、それまでの飼育費用やワクチン代を請求される場合があります。

猫を飼い始める場合、猫本体の代金のほかに初期費用として3万円程度は考えておきましょう。
内訳としては、健康診断とワクチン接種、飼育グッズの購入などです。
義務ではありませんが、病気の予防や早期発見、飼い方の注意を理解するためにも、健康診断と予防接種は必須といっていいでしょう。
その後も健康診断は年に1回のペース、ワクチン接種は動物病院で相談しつつ受けさせてください。フードや猫砂などの消耗品、キャリーケースや猫トイレ、食器、ブラシなども準備します。

フードや猫砂、爪とぎなどは消耗品なので、猫が生きている限り買い続けます
猫1頭につき、費用はだいたい月に5000円程度。飽きたり療法食になったり、フードはもちろん猫砂も「一生これ」と決めることはできず、試行錯誤することになるでしょう。
おもちゃ、おやつはどんどん買ってあげたくなって、オーバーしてしまうことも珍しくありません。

このほか、不妊手術を受けさせるなら1~3万程度、予期せぬ病気やケガの治療費、トリミングなどのお手入れ費用、温度管理の電気代なども掛かる場合もあります。
アニコム家庭どうぶつ白書2021

3 猫にかけられる時間が十分にあるか

「猫ファースト」を実践する覚悟があっても、現実としてそのための時間はありますか?

猫はきれい好きなので、トイレが汚れていると嫌がって排泄しないことがあります。毛づくろいで飲み込んだ毛玉を排出するため、日常的に吐きます。
抜け毛も多く、猫と暮らし始めると掃除の時間は飛躍的に増えるでしょう。

飼い主への執着が少なく、「留守番ができる」といわれている猫。しかし、できればさせないほうがいいことは事実です。
さみしい・退屈なんてことは大きな問題ではなく、そのあいだ、健康上の問題や事故があったときに対処できないことがポイントです。

猫は人間でいうと3歳児くらいの知能を持っているとされていますが、3歳児を留守番させたらどうでしょう。想像もできないようなイタズラをしたり、それが命にかかわるような重大なことだったり、考えると恐ろしいですね。

猫は具合が悪くても態度に出さず我慢する傾向があります。飼い主が日々観察して見分けなければなりません。具合が悪そうだと気付けば病院に連れて行かなくてはならず、看病しなければならないこともあります。

また、猫の寿命は年々延びていて、介護が必要なケースが増えています。そのとき、対応する時間はありますか?

4 引っ越しできなくても大丈夫か

賃貸住宅の場合、ペット可の物件は多くありません。あっても賃料が割高だったり、退去の際に敷金が戻ってこなかったり、猫を飼っている人にとって部屋探しはなかなか難題のようです。
また、猫は環境の変化が苦手。繊細なタイプの猫なら家具の配置が換わっただけでも体調を崩すことがあります。できるだけ引っ越しは避けたいものですね。

ペット可物件以外で猫を飼うことはおすすめしません。倫理的にいけませんが、鳴き声で近所トラブルになることや、退去の際に高額の請求があることもあります。

ペット不可物件に住んでいて、どうしても猫が飼いたい場合は、まず引っ越しが必要です。しばらく引っ越しできなくなることを見越して、慎重に探しましょう。
最近では「猫付き物件」「猫付きシェアハウス」などもあるそうですよ。

まとめ

一度猫を飼い始めたら、少なくとも10年程度は一緒に暮らすことになるでしょう。そのあいだ、飼い主のライフステージも猫のライフステージも変化します。

飼い主が病気になったら、猫アレルギーを発症したら、事前にどんなに検討しても予想外の出来事は起こるでしょう。何より大事なのは、何があっても猫を幸せにするという覚悟です。しっかり準備して、幸せな猫ライフを送ってくださいね。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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