あなたの猫は両利き? 右利き? 左利き?

「あなたの猫は何利き?」 と聞かれたらあなたは何と答えますか?

何利きかなんてわからない! という飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。それは、猫じゃらしを目の前で揺らしたり、猫がおもちゃで遊んでいるときに、猫がはじめに手を出すのがその時々でバラバラのことが多いからかもしれません。両利きにも思えますよね。

猫の利き手を知るには、このような単純作業ではなく少し複雑な動作をさせる必要があるみたいですよ。ここで、イギリスの研究グループが行った猫の利き手の実験のエピソードをご紹介しましょう。

瓶の中に入ったエサを取り出す作業で実験した結果……

2009年、イギリス・クイーンズ大学ベルファストの心理学者デボラ・ウェルズ博士とその研究グループが行った猫の利き手に関する研究では興味深い結果が得られたようです。

◇オス・メスそれぞれ21匹、計42匹の猫を対象に次の3つの実験が行われました。
①目の前に置かれた瓶の中に入ったエサを回収させる
②猫の頭の上におもちゃを垂らして捕まえさせる
③ねずみのような動きをするおもちゃを目の前で引っ張って捕まえさせる

このなかで、左右で大きな違いが見られたのが①。なんと、エサを取り出す時に、左手を先に出した猫の9割以上がオス、右手を出した猫の9割以上がメスだったそうです。①と②③で大きな差が出た結果について、ウェルズ博士は①の動きが最も複雑で難易度が高かったことを指摘しています。

簡単な動作で使う手においては利き手は関係なく、より複雑な動きを求められる時にこそ利き手を使う、と考えることもできそうですね。

子猫時にはまだ利き手がはっきりしない?

ただし、生後3カ月や6カ月時の猫で行った実験では、どちらが利き手なのかまだはっきりしない猫も多く、成長する過程で利き手が確定していくのでは、という見解も。

人間なら「子どもの頃は左利きだったけれど矯正されて右利きとなった」というケースも少なくありませんが、猫の場合、矯正という概念が存在するとは考えづらく、猫自身の意思(好む・好まない)にかかわらず決定していくものだと言えるでしょう。

猫は性別で利き手が変わる=ホルモンの影響?

また、利き手と性別の関係については「利き手と性ホルモンに関連性がある」という説もあります。

実は人間も、左利きは男性が圧倒的に多いと言われているんです。これは、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンが利き手を決定するプロセスに大きく影響している可能性があり、猫も同様に考えることができるとか……。母猫の胎内にいるときに、このテストステロンの影響を強く受けることで、左利きになるともいわれています。

性ホルモンの成熟による影響?

子猫の段階ではテストステロンの影響を受けませんが、発情期を迎える段階では性ホルモンが成熟し、オスメスそれぞれの個性があらわれていきます。性による違いがはっきりしはじめる時期と、利き手が判明する時期は一致すると言われています。

「家の猫に実験してみた」動画が話題に

昨年、Youtubeで猫の利き手を調べる実験動画がちょっとした話題に。内容は、猫の前に空のコップを置き、その中に餌を入れてどちらの手を出すか実験するというもの。すでに39万回以上再生されている人気動画です。(2017年7月3日現在)



ウェルズ博士の研究結果を参考にするとオスは左利きでメスは右利きでは? なんて予想もしてしまうのですが、この動画ではメスは左利きでオスは右利きという結果に! 利き手研究はまだまだ尽きることがなさそう……? あなたもぜひご自宅の猫ちゃんにも試してみてはいかがですか?

猫の利き手に関する研究は、まだ継続中

猫の利き手に関する研究は現在も進行中です。出産や妊娠という行為を除き、オス猫もメス猫も自然界で生きていくための必要な行動はさほど変わらないことから、猫には利き手が存在しないとする説もあります。まだまだ、謎が多い猫の利き手。今後の新たな研究成果に期待しましょう。


参考文献:
Lateralized behaviour in the domestic cat, Felis silvestris catus. Animal behavior 2009
The ontogenesis of lateralized behavior in the domestic cat, Felis silvestris catus.Journal of Comparative Psychology 2012