預かりボランティアとは?

犬と猫
飼い主のいない犬/猫を、新しい飼い主さんが決まるまで自宅で預かり、お世話をすること/人を、預かりボランティアといいます。
預かる場所は個人宅で、仮の家族として預かりっ子の飼育をします。
預かるのは基本的に成犬・成猫であることが多く、新しい飼い主さんが決まるまでの間ともに生活をし、一般的な家庭犬/猫の暮らしを経験させてあげるのが役割です。

ミルクボランティア

生まれたばかりの哺乳が必要な子犬・子猫を、固形フードを自力で食べられるようになる2カ月齢くらいまで預かるボランティアです。
野犬の子犬や野良猫の産んだ子猫が多く収容される保健所や動物愛護センターが、殺処分を少しでも減少させるために始めた事業で、現在多くの自治体がミルクボランティア制度を設けています。

預かりボランティアで預かる犬猫はどんな子たち?

収容されている犬
預かりボランティアが預かるのは、飼い主さんがいない犬猫たちです。「飼い主がいない」というのは具体的にどのような状況なのでしょう。

各地の保健所や動物愛護センターに収容され、飼い主さんのお迎えがなかった犬猫たち

野良らしき犬や猫、野犬が生んだ子犬たち、野良猫から生まれた子猫、迷子らしき犬や猫……。
全国の保健所や動物愛護センターには毎日、多くの犬猫が収容されます。
行政は期限をもうけ、ホームページなどで収容動物の個々の情報を公開し、所有者を探します。
しかし理解しがたいことではありますが、間違いなくどこかで飼われていたと想像できる犬猫でも飼い主さんが現れないケースは多くあります。

期間内に所有者が現れなかった場合には、その犬猫には飼い主(所有者)はいないものとみなされます。

預かりボランティアが預かる犬猫の多くは、このように公示期限が切れることで誰のものでもなくなってしまい、殺処分対象となった犬猫たちです。

個人が手放すケース

飼い主の事情で飼い続けることが難しくなり手放される子たち、飼い主の入院や死亡で家にとり残されていた犬猫たち、または多頭飼育崩壊など。
いずれの場合も所有者本人が所有権を放棄し、飼い主がいない状態にする必要があります。
成犬・成猫の場合は、心的外傷やストレスを抱えた子や犬でもお散歩を知らない子、人慣れしていない子も多くいます。

預かりボランティアと保護主の違いは?

犬と猫

保護主/保護団体とは

飼い主がいない犬猫を新しい飼い主さんへつなぐ活動は、作業分担してわれることがよくあります。保護と預かりを別々のボランティアスタッフによって行われるのもこのケースです。

保護主/保護団体とは、犬猫を保護した人または団体のことであり、保護犬猫に対する責任と権利を持っています。
保健所や動物愛護センターから引き受ける場合も同じで、引き受けた人物/団体は保護主となり、保護犬猫の所有権を持つことになります。

行政発行の書類上では、当該犬猫は引き受けた保護主/保護団体へ「譲渡」(「仮譲渡」または「一時譲渡」など)されたかたちとなります。
実際に新しい飼い主さんへ譲渡することになった場合は、保護主/保護団体があらためて新しい持ち主となる飼い主さんへ「譲渡手続き」をとり、所有権を渡します。同時に行政へも報告をします。

預かりっ子にかかる医療費などの必要経費は、保護主/団体が負担する場合が多く、新しい家族が決まるまで責任を持つ保護責任者ということになります。

預かりボランティアとは

預かりボランティアは、預かっている子に新しい飼い主さんが見つかるまで、仮の家族としてお世話をするボランティアです。
保護をしたボランティアスタッフが、そのまま預かりを行うケースももちろんありますが、別の人物が行う場合は、区別のために「保護主/保護団体」と「預かりボランティア」と明確にします。

預かりボランティアは命を預かる大変な役割ですが、所有権はありません。
そのため保護主/団体に犬猫の返還を求められた場合には、応じなければなりません。また、保護主/団体の多くは、できる限り預かりボランティアの気持ちを配慮してくれますが、新しいご家族をだれにするかの決定権は、所有権を持つ保護主側にあります。

所属する自治体や団体により多少の違いはありますが、フードやトイレシートなど日々の消耗品は預かりボランティアが負担するのが一般的です。

ミルクボランティアの場合

子犬子猫の保護主は、ミルクボランティア制度を設けている保健所や動物愛護センターとなります。
ミルクや哺乳瓶、トイレシートなどは支給してもらえるところが多いようです。

預かりボランティアになるには?

花のにおいを嗅ぐ子犬

登録先、所属先を決める

預かりボランティアになるには、まずだれの/どこの犬猫を預かるのかお手伝いをする保護主/保護団体を選ばなくてはなりません。
個人で保護活動を行っている方々は多くいますが、「預かり」だけをお手伝いするのであればどこかに所属する必要があります。

保健所や動物愛護センターが募集している預かりであれば、行政の登録ボランティアとなります。
保護団体が募集している預かりであれば、その団体に所属するか、団体のお手伝いスタッフということになります。
ミルクボランティアは行政の譲渡推進事業であることが多いので、各保健所や自治体に登録しているスタッフということになります。

所属先選びに迷ったら

保護団体には、得意としていることや力をいれている活動がそれぞれにあり、特色を持っています。活動内容や方針に賛同できる団体に問い合わせることをおすすめします。

たとえば犬の団体ですとひとつの犬種の特化したブリードレスキュー団体があります。「愛犬と同じ犬種だけでも助けることができたら」という思いで集まった人々が活動しています。現在、国内には10以上の単犬種保護団体が存在します。

犬種は関係なく行政に登録し、「収容された地域の犬」を中心に保護をする、地域に根付いた活動をしている団体もあります。

猫団体もさまざまで、収容された猫を中心に救護する団体、TNR活動に力をいれている団体、犬猫どちらも扱う団体などがあります。

ボランティアは自宅預かりとなるため、預かり頭数や、先住ペットがいる場合はその相性も、考慮してもらえます。
犬の場合ですと依頼されるのはたいてい1頭、どんなに多くても2~3頭です。

散歩が不要な猫の場合は多頭飼いのケースも多いようですが、一時期とはいえ、保護する側が数を抱え負担を覚えるようでは本末転倒な話になりかねません。預かりボランティアには無理をさせない、慎重な団体のほうが信頼できるといえるでしょう。

しかしそれは同時に、多くの団体が常に預かりボランティア不足の状態にあるということです。
地域の動物愛護センター、応援している団体、気になる団体などが募集をしていたら、思い切って問い合わせてみてはいかがでしょうか。

条件

なんらかの事情で手放された犬猫たち、繁殖遺棄らしき子たち、生まれたときから野良生活を送ってきたであろう犬猫たちなど、預かりボランティアが預かるのは人慣れしていない成犬成猫が多くを占めます。

そのためペットを飼うのがはじめてという方には難しく、犬猫それぞれの飼育経験者であることが求められます。また、健康管理や脱走防止対策については自分の犬猫以上に、徹底して取り組む心構えが必要です。
他には
  • 面談、環境調査(自宅訪問)が可能な方
  • 保護主へまめな連絡が可能な方
  • ご支援者、里親さん候補へ向けて、預かりっ子の日々の様子などをSNSで発信できる方
などが求められます。

ミルクボランティアの場合は、2~3時間おきの哺乳と排泄補助が必要なためお留守番がないお家が条件になります。

まとめ

抱き上げられるダックス
私(筆者)は、保護団体と行政ボランティアのどちらにも登録しており、保護主側と預かりボランティア、どちらも経験しています。

たしかに預かりボランティアには所有権がないため、犬猫の移動や譲渡はルールにのっとり、保護主側の方針に従わなければなりません。

しかし一人では難しい活動も、仲間と分担することで可能になるというメリットがあります。また、幸せのお手伝いができたときの喜びは、仲間と一緒であればひとしおだと感じています。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

ハグーについて

ハグー」は、なんらかの事情から飼えなくなってしまったペットや飼い主がいない動物と、里親になりたい人をつなぐ里親マッチングサイトです。
ハグー」では、犬や猫、小動物など、さまざまなペットの里親募集情報が寄せられています。
新たにペットの飼育や購入をお考え方は、ぜひ「ハグー」で里親になるという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

※ハグーに移動します