「アニパル仙台」とは?

「アニパル仙台」とは、宮城県仙台市にある「仙台市動物管理センター」のことです。
「アニパル」という愛称は「アニマル(動物)」と「パル(仲間)」の組み合わせから名付けられ、その言葉のイメージ通り、「人と動物が共に健康に生きていけるまち」を目指し、動物愛護の拠点として動物の保護や管理を行っている施設です

アニパル仙台の業務内容

では、具体的にアニパル仙台ではどのような業務を行っているのでしょうか。犬猫を飼育する飼い主にとって関わりの深い業務内容についてご紹介していきます。

狂犬病予防法に基づく業務

毎年4月の狂犬病予防集合注射の実施など、狂犬病予防法に基づき、犬の登録や予防注射に関する業務を行っています
狂犬病とは人畜共通感染症のひとつで、人間を含めすべてのほ乳類が感染する病気です。狂犬病に感染した動物の唾液にウイルスが含まれており、そういった動物からの咬傷による感染が最も一般的な感染経路です。
狂犬病に感染・発症した場合の致死率はほぼ100%と言われており、日本では狂犬病予防注射が義務付けられています。
日本では、国内での感染が最後に報告されてから60年以上経過しているものの、残念ながら、海外ではまだ狂犬病による死亡者が多数報告されています
飼い犬の登録及び狂犬病予防注射実施状況(アニパル仙台調べ)
アニパル仙台では、(公社)仙台市獣医師会と連携しながら未登録犬をなくすとともに、すべての犬に狂犬病予防注射を受けさせるよう、市内在住の飼い主などに働きかけています。

適正飼養・終生飼養の推進

近年、犬猫を家族の一員として迎え入れる家庭が増えている一方で、不適切な飼養による近隣住民とのトラブルや、飼い主の身勝手な都合での飼育放棄が問題になっています
そのような問題を解決するために、公園や河川敷での巡回指導や飼い主へのマナーアップセミナー、犬のしつけ教室などを開催しています。
また、センターに引き取りの依頼があったとしても、簡単に引き取ることはしていません。飼い主の現在の状況を踏まえたうえで、最期まで飼養するためのアドバイスや、自身で新たな飼い主を探すような指導を行っています

飼い主のいない猫対策

飼い猫の適正飼養を呼びかけるだけなく、飼い主のいない猫への無責任な給餌によるトラブル対策や、むやみな繁殖を防ぐべく、(公社)仙台市獣医師会による飼い主のいない猫の避妊去勢事業への補助事業を実施しています。これらの猫が、全て飼い猫になるのが一番だとは思いますが、せめて、地域の理解を得たうえで「地域猫」としての一代限りの生を全うできるような「地域猫活動」を推進しています。

この他にも、ペットショップ、ペットホテル、ブリーダーなどの「動物取扱業者」に対する指導や、人の生命、身体に危害を加える恐れのある動物(特定動物)を飼育する飼い主への指導なども、アニパル仙台の業務に含まれています。

犬猫の管理・譲渡事業

▲施設内で管理している子猫の様子
アニパル仙台では、さまざまな理由で収容された犬猫を施設に収容・管理するとともに、希望する方への譲渡事業も行っています。

現在の収容・譲渡状況

アニパル仙台に収容されている犬猫の年齢・性別はさまざま。月齢の浅い子犬・子猫から、ある程度年を重ねた老猫・老犬まで収容されています。
犬は収容される頭数が少なく、収容施設に余裕があるため、平成24年度から殺処分せずに済んでいる状況です。また、平成30年に収容されて以来、子犬の収容はありません。
猫の収容数も年々減少しているものの、それでも犬と比べると頭数が多く、へその緒が付いたり、目が開いていなかったりする子猫や、そのままでは苦痛や痛みを緩和することができない、あるいは生涯にわたって後遺症が残るようなケガを負っている場合は、残念ながら殺処分の対象になってしまうそう。
しかし、それでも平成30年度には、約300頭もの犬猫がアニパル仙台から一般のご家庭に譲渡されています

譲渡条件

犬猫の譲渡には一定の条件が設けられています。希望すれば誰でも犬猫を迎えられるというわけではありません。
地域の「模範的な飼い主」になるよう、下記の条件を満たしていない場合は、譲渡を断りすることもあるそうです。

  1. 先住動物の不妊去勢、ワクチン接種を理由なく未実施の場合
  2. 賃貸・集合住宅において「ペット飼育可」が規約等で確認できない場合
  3. 年齢が65歳以上の家族のみで構成されている等、センターが「世話人」(※1)(20歳~64歳以下)の承諾書の提出が必要と判断したが、提出されない場合
  4. センター側が適当でないと判断した場合
※1「世話人」(20歳~64歳以下)の承諾書が提出され、適正に終生飼養できると判断された場合は、譲渡可能としています。

また、譲渡が決まった際には、下記3点を必ず守っていただくことになります。

  • 完全室内飼育をすること
  • 譲渡を受けてから3カ月以内または1歳に達するまでに不妊手術を実施すること
  • 毎年の混合ワクチン接種をすること

残念ながら、アニパル仙台で犬猫を迎えようとする人なかにも「無料だから」「お金がなかったから」という考えの人や、愛護意識が低く「飼えなくなったらまた遺棄すればいい」と考えている人もいるそうです
アニパル仙台で犬猫を迎える場合、たしかに譲渡費用はかかりませんが、その後の飼育費用は飼い主がすべて負担する必要があります。また、やっと幸せを掴めた犬猫だからこそ、なおのことこれからは大切に育てていかなければなりません。
一見厳しいと思う方もいるかもしれませんが、譲渡した犬猫が幸せに寿命を全うするためには、どれひとつ欠かすことができない大切な条件なのではないでしょうか。
犬・猫の保護情報・譲渡情報(仙台市)

これから犬猫を飼う方に伝えたいこと

最後に「これから犬猫を飼う方に伝えたいことは?」と、担当者に伺ったところ、「犬の登録と狂犬病予防注射を受けること、猫は完全室内飼いをすること。そして犬猫ともに繁殖制限することを徹底してほしい」とのお話がありました。

「人と動物が共に健康に生きていけるまち」を目指すために

前述の表でもわかるように、狂犬病注射の接種率は年々減少している傾向にあります。
狂犬病の予防接種は、人を守るための予防接種です。飼い主一人ひとりが自分の問題として自覚を持つとともに、この国の生活を守るため、周囲の人々の命を守るためにも毎年欠かさず接種することが重要です。

また、猫の屋外飼育にはさまざまなリスクやトラブルがつきまといます。猫が交通事故で死んでしまったり、病気にかかってしまったりするだけでなく、近隣住民の敷地内に糞尿をしたり、家屋に侵入したりするなど、他者に迷惑をかけてしまうことにも繋がります。
ひと昔前までは猫の屋外飼育が当たり前だったかもしれませんが、それは過去の話。
猫が健康的な生活を送るためにも、近隣住民とのよりよい関係を築くためにも、猫の完全室内飼いを徹底してください。

そして、去勢・避妊手術の実施も、犬猫を飼ううえで大切なことのひとつです。
「健康な体にメスを入れるなんて、かわいそう」と思う方もいるかもしれませんが、去勢・避妊手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、問題行動の抑制や多くの病気の予防に効果があります
不幸な命を増やさないことはもちろん、犬猫の健康を考えるうえでも、適齢期になったときには去勢・避妊手術を受けさせるようにしましょう。

これらのことが守れる「地域の模範となる飼い主」が増えることで、「人と動物が共に健康に生きていけるまち」の実現により一歩近づけるのではないでしょうか。

アニパル仙台への問い合わせ先

▲施設内の様子
住所:宮城県仙台市宮城野区扇町6-3-3
電話番号:022-258-1626
FAX:022-258-1815
受付時間:土曜、日曜、祝祭日を除く8時30分~17時
※犬猫の譲渡は随時(土曜、日曜、祝祭日を除く10時~16時)受け付けています。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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