子犬が噛む(甘噛みする)理由とは?

犬はそもそも、噛むことが大好きな動物です。それを念頭に置きつつ、特に子犬期によく噛む理由を探ってみましょう。

噛むことが楽しいから

子犬は遊び盛り。犬は人のように器用に手足を使えない代わりに、口を使って噛むことで遊びを行います。
犬同士が取っ組み合いをしながら噛み合うのも、遊びの一環。気になるものを口に入れてかじってみることで、それはなんなのかを確かめているかもしれません。
噛んでみた感触が気に入れば、それが楽しくてずっと噛み続けることもあります。

人を噛むと人の注意が自分に向くから

飼い主さんの肢に噛んでじゃれついたり、手を噛んだりすると、子犬にとってはうれしい反応が返っている可能性があります。
たとえば、飼い主さんが子犬に目を合わせたり、子犬に触れたり、なにか声をかけたり……。
飼い主さんとしては噛むのをやめるように促しているつもりでも、子犬にとっては噛めば構ってもらえるという学習をしてしまった場合、自分に注意を向けるために噛む頻度はどんどん増えていくでしょう。

歯が痒いから

ちょうど乳歯が生えてくる生後1カ月過ぎから、永久歯に完全に生え変わる生後6カ月頃までは、子犬は歯茎が痒くなって、それを解消しようとなんでもよく噛むようになります。

子犬の噛み癖の直し方・しつけの方法

犬から、趣味とも言える、噛むという行為を取り上げてしまうのはかわいそうなこと。特に子犬のうちは遊びのひとつとして噛むことを行うので、噛んでも良いものを子犬に与えてあげたいものです。
けれども、人の手などを噛む場合は、それは飼い主さんが望まない行動として子犬にしつけてやめさせる必要もあります。

噛んでも良いおもちゃを与える

噛んで遊ぶために作られたおもちゃを、子犬に与えてあげましょう。
さまざまなタイプの噛めるおもちゃがあるので、子犬のお気に入りをぜひいくつか探してあげてください。
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子犬同士や同居犬と遊ばせる

親犬やきょうだい犬と一緒に過ごしているパピー期には、みんなで取っ組み合って噛みながら遊び、相手にダメージを与えずに噛める加減を学んでいきます。
もし噛んだ際に相手に痛い思いをさせてしまったら、「キャンキャーン」という悲鳴ともに遊びがストップしてしまうでしょう。楽しいプレイタイムを続けるためには、相手に痛みを与えない力加減で噛む必要があります。
この遊びを繰り返すうちに、やわらかい力で噛む甘噛みができるようになると同時に、噛みたいという犬の本能的な欲求を満たせます。そうすれば満足して、必要以上になにかを噛むことはなくなるでしょう。
同居犬や、じょうずに噛んで遊べる犬同士で集まったり、犬の幼稚園やしつけ教室に通わせたり、犬同士で噛んで遊べる機会を飼い主さんがつくるのが解決策のひとつです。

噛まれて困るものにはスプレーなどで対処する

子犬にじゃれ噛みをされると困るものには、噛み癖防止スプレーなどを使って対処するのも良いでしょう。
たとえば、家具やカーテンや洋服の裾やスリッパなどです。市販の製品には、子犬が飲み込んでも害がない、果物由来の苦い味の液体が主成分のものなどがあります。
ただし、これらは短時間すると揮発してしまって効果が軽減してしまいます。椅子の脚であれば、噛むと歯がギシギシして不快な思いをするアルミホイルを巻いておく予防法もあります。

人の皮膚に子犬の歯が触れたら不快感を示す

犬同士が遊ぶ際も、お互い、歯が当たることによって不快な思いをしたら遊びが中断されます。
同様に、子犬の歯が人の身体に触れたら「痛い!」などと反応して、飼い主さんは子犬に対してそれは望む行動ではないと意思表示をしましょう。歯が身体に触れた瞬間に声を出すのがポイント。そして、遊びをストップします。
それでもじゃれ噛みをしてくるようであれば、立ち上がって子犬の前から姿を消しても良いでしょう。
たとえ飼い主さんが痛みを感じなくても、子犬の歯が人の身体に触れたら毎回必ず声を出して遊びをやめるようにしてください。これを繰り返すことで、子犬は人の身体には歯を当ててはいけないのだと学習していきます。
間違っても、「やめて~」などと高い声を出したり、手をヒラヒラと子犬の前で舞わせたりしないように。これでは、子犬は飼い主さんも楽しんで遊んでいると勘違いをして、ますます噛む行為をエスカレートさせてしまうからです。

噛まれても子犬を叩いたり叱ったりしない

子犬に噛まれても、子犬を叩いたりマズルをつかんだりして叱らないでください。
犬はまずは相手に威嚇をして、次は噛むことで、恐怖感を与える対象を遠ざけようとする本能があります。
どんな理由があっても、子犬に体罰を与えるのは子犬に恐怖感を抱かせる結果にしかならず、飼い主さんとの良好な信頼関係の構築に悪影響しかおよぼしません。
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子犬の噛み癖(甘噛み)に役立つグッズ・おもちゃ

家具や人の物など噛まれては困る物よりも子犬にとって魅力的なおもちゃやグッズがあれば、困った噛み癖を軽減させられます。

噛むのを楽しめるおもちゃには、硬く編み込まれたロープや、木製や食べても安心な素材で作られた細長い形状のおもちゃなどがあります。
狩猟本能を掻き立てて満たすのは、小動物や鳥を模したぬいぐるみ。これらは、噛みながら破壊するのが楽しいはずなので、中綿の誤飲が心配な子犬のために中綿のないタイプを選べば安心です。飼い主さんの手が入れられるグローブ型のぬいぐるみで、一緒に遊んであげるのもおすすめです。

長く噛めるおやつを与えるのも良いでしょう。ただし、1日の摂取カロリーがオーバーしないように、与える量の調整を。また、人が噛んでも歯形がつかないほど硬いひづめなどは、乳歯か永久歯かにかかわらず歯が折れてしまう危険性もあるので要注意。

子犬が誤飲しないように、おもちゃなどは飲み込めないサイズのものを選び、遊ばせているときはなるべく飼い主さんが目を離さないようにしましょう。

子犬の噛み癖はいつまで続く?

子犬の歯が永久歯に生え揃うのは、多少の個体差はありますが大体生後6カ月頃。
そう考えると、生後半年を過ぎると、歯茎がムズムズして気持ちが悪いのを解消しようとして噛む行為は減るでしょう。
ところが、生後半年といってもまだまだ犬は遊び盛り。エネルギーの発散や遊びとして噛む欲求が減ることは期待できません。子犬のうちは、噛み癖が解消されると思わないでおくのが無難です。

子犬なのだから、噛んでOKな物はどんどん噛んだらいいという、おおらかな気持ちで子犬と接することこそ、子犬のうちに飼い主さんとの良好な関係を築き、子犬にストレスを与えずにのびのびと育てる秘訣とも言えます。

まとめ

子犬のうちは、好奇心や狩猟本能を満たしたり、遊びの一環、歯の痒さを解消するために生涯でもっとも噛む時期だと思ってください。
そのうえで、決して体罰などで怖い思いをさせることなく、噛んではいけないものを教えつつ、噛んでもOKなおもちゃやグッズを与えたり、犬同士で遊ばせたりして、子犬の噛みたいという欲求をきちんと満たしてあげましょう。
 執筆者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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