犬に「待て」を覚えさせる必要性

「待て」を使う場面は、ごはんの前や写真を撮るときなどを思い浮かべるかと思います。
なかには「ちょっとかわいそうかな……」と感じながらも、毎日食事の前に「待て」をさせている方もいらっしゃるかもしれません。
食事の前の「待て」は、どちらかというと「おあずけ」の意味合いが強いので、本来の「待て」のトレーニングも一緒にすることをおすすめします。

「待て」ができると……

・犬の身の安全を守れます
信号待ちのときや道路を横断する前に「待て」ができれば飛び出してしまう心配がありません。
散歩で拾い食いをしそうになったときも役に立ちます。また、ハウスから出る前に「待て」ができれば飛び出しを防げます。

・犬の「感情の器」を大きくできます
「待て」は動きたい、何かしたいという気持ちを我慢するトレーニングにもなります。
感情のまま動くことが多い犬の場合は、自分の気持ちよりも指示や状況を受け入れることができるようになり、わがままやかんしゃくを起こしにくくなります。
また、「待て」は興奮している犬を落ち着かせる効果もあるので、犬が自分で歯止めが効かなくなって暴走してしまうのを防ぎやすくなります。

「待て」は生活のなかで役に立つ場面がたくさんあるので、お家に迎えて犬が環境に慣れたら教え始めてもいいでしょう。成犬でも教えることはできます。

犬に「待て」を覚えさせる方法

「待て」の指示を出してから「よし」などの解除の指示があるまで待つ、ということを教えます。

「待て」のトレーニングに必要なもの

・ご褒美:犬が大好きなおやつ、またはいつも食べているカリカリフード
トレーニングで与えた量がわかるようにしておき、その日の食事の量を調整してください。

「待て」の教え方

1)犬の正面にしゃがみます。

2)ご褒美を一粒手の平に乗せます。

3)お座りをしている犬の目線が少し上がる位置まで手の平を下げて「待て」の指示をします。犬が顔を上げることで体重が後ろに移動して立ち上がりにくくなるため、待てをしやすい姿勢を作っています。
4)「よし」と解除の指示を出して、手の平を口の高さへ持っていき、ご褒美をあげて褒めます。
「待て」から「よし」までの間隔は、最初は1秒、できたら3秒、次は5秒……と伸ばしていきます。

5)動きそうになったら、手の平の位置をより高くして「待て」と指示しなおします。動いてしまうとご褒美がもらえないことを教えます。

・お尻が上がる前に「よし」と解除する
失敗させないことが一番のポイントですので、最初のうちは特に注意して、動き出すまえに解除をしていきましょう。

・手を犬の方に近づけない
手の平は上下にしか動かさないようにしてください。「待て」と言いながら犬の方へ近づけると、ご褒美を食べていいのかがわからず混乱してしまいます。また、待てている間は手を動かさないようにしてください。

<次のステップ>
・ご褒美を持たずに指示を出す
30秒ほど「待て」を理解できるようになったら、ご褒美を持たずに「待て」と指示をして待たせてみましょう。手の平を犬の方に向けて、手の指示(ハンドシグナル)を同時に教えてもいいでしょう。
「よし」の合図でご褒美をあげて褒めてあげましょう。
このパターンも最初は1秒、できたら3秒、次は5秒……と伸ばしていきます。

<応用ステップ>
・待つ位置を変えてみる
お散歩の場面でも「待て」ができるように、犬と歩いているときの位置でもトレーニングしてみましょう。
今度は犬の横に立って「待て」の指示を出します。このパターンの場合も徐々に待つ時間を伸ばしていきます。

犬に「待て」を覚えさせるコツ

動きがない無いなので、犬もあまり好きではないトレーニングの部類になります。
いかに楽しく、犬にやる気を出させるかがポイントになります。犬に失敗させないように、犬の様子をよく見てトレーニングをすすめることが大切です。

欲張りすぎない

犬の集中力は5~10分と言われています。
「待て」のトレーニングはとくに集中するので疲れます。犬が飽きたり集中が切れて失敗してしまう前にトレーニングを終えるか、気分転換に遊んだりしましょう。
成功して褒められることがトレーニングの理想の終わり方です。

犬も人も楽しく

人の方がつい夢中になって、指示の声が大きくなったり、表情が真剣になったりしてしまいがちです。
犬は人の声や表情の変化を敏感に感じとり、委縮してしまうことがあるので、意識して声と表情を柔らかくしてみましょう。

「待て」の指示語は、「待て」「stay」などありますが、どれでもいいので家族で統一しましょう。解除の言葉(「よし」など)も統一しましょう。
また、「待て」よりも「待って」のほうが声も表情も柔らかくしやすいのでおすすめです。

「待て」が上手にできたときにはたくさん褒めてあげましょう。「待てができるなんて、なんて天才なの!」くらいに大げさでいいのです。
ご褒美にたっぷり遊んであげてインターバルを取るのも一つの方法です。トレーニングの時間より、インターバルや終わったあとの遊びの時間のほうが長いくらいでもいいと思います。

また、ずっと「待て」の時間を伸ばし続けていくのではなく、ある程度の時間待てたら、次は短い時間をはさむなどメリハリをつけてみてください。

うまくいかないときは一段階前に戻る

なかなかうまくいかない場合、一段階前に戻ってやり直してください。
また、ご褒美のおやつを変えてみる、場所を変えてみるとうまくいくかもしれません。

まとめ

初めは家の中でトレーニングして、ある程度できるようになったら今度は外でもやってみましょう。
家と外では環境が違います。犬の緊張度も変わるので、外での「待て」の方が何倍も難しいです。
ですが、「待て」が効力を発揮するのはたいてい外ですので、外で「待て」がしっかりできるように日々トレーニングしましょう。
 執筆者プロフィール
ドッグアドバイザー / 愛犬との暮らしをトータルサポート clover(クローバー)代表
大学法律学部卒業後、8年間SEとして働く。
好きなイヌの仕事をしたいと思い立ちドッグアドバイザーの認定を受け、トレーナー養成スクールスタッフ、ペット系コンサルティング会社取締役を経て独立。

「犬との生活2.0」を掲げ、横浜市を中心にセミナー・イベント・レッスンを通じ”犬を迎える前からシニア期まで犬と飼い主に寄り添うトータルサポート”を展開。
人の心身を健康にして犬の幸せにつなげる活動に力を入れた結果、人の心理へアプローチする「スマートしつけ」「数秘カウンセリング」といった手法も取り入れている。

座右の銘:つらいときこそ楽しい笑顔

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