災害に備えて飼い主がやるべきこと

まずは災害への備えとして、飼い主がやらなければならないことを見ていきましょう。

しつけを徹底する

犬を飼っている場合、災害対策として飼い主が徹底しておくべきことは、基本のしつけです。
災害時は誰もが焦り、冷静さを失います。特に人間は理性があるがゆえにパニックに陥ってしまうのです。そんなときになんとか自分のペットに指示を出しても、しつけがなっていなくて逃げ遅れる、なんてことになっては大惨事につながりかねません。
素早く避難を開始するために、せめて飼い主の命令に歯向かわない程度のしつけは必須です。
また、避難所生活を余儀なくされた場合、しつけがなっているペットなら避難所のほかの人たちに迷惑が掛かりにくいというメリットもあります。

家具の配置を見直す

災害対策として家具などの転倒防止などは有名ですが、これはペットに対しても有効です。
ペットのケージやお気に入りの場所付近に倒れやすい本棚などは、なるべく配置しないようにしましょう。
また、モノの落下によるケガを防ぐため、高い棚や台、もしくは室内灯からできるだけ距離をおけるといいですね。

ペット連れ込み可能な避難所と、そこまでの経路確認しておく

ペットを飼っている人にとって、同行避難できるか否かは非常に大きな問題です。
避難所の管理は市区町村ごとなので、役所の代表から各担当に確認しましょう。
そのとき、ただ同行避難ができるかだけでなく、ペットの待遇やペット用防災グッズの有無の確認も忘れずに。

防災訓練に参加する

「天災は忘れたころにやってくる」というように、人々はいざ災害が起こるまで、その脅威に対して無頓着になりがちなもの。
災害への意識を高めるためにも、飼い主は定期的に避難訓練に参加するようにしましょう。避難訓練のなかには、ペットと一緒に参加できるものもあるので、実際に災害が起こった際に適切な対処を行う準備ができるでしょう。

災害に備えておくべき防災グッズ

「備えあれば憂いなし」というように、災害対策として、防災グッズを揃えておくことは非常に重要です。必要なものをリストアップしましたので、参考にしてみてください。

フード、水

災害時は人間用の食糧でさえ供給が難しくなることがあります。最低でも3~5日分、余裕があれば一週間分のペット用フードを貯蓄しておきましょう。
災害のストレスでペットの食欲が減退することがあるので、なるべく普段から食べなれているフードを選ぶことが大切です。
水も人間と共用できるものではありますが、ペット基準で生産されている専用の飲料水のほうが、安心して飲ませることができます。

リード、首輪やハーネス

犬はもちろんですが、猫の場合もリードとハーネスがあると便利です。ずっとキャリーに入れっぱなしではストレスが溜まってしまいます。気分転換に散歩させるときなどあると便利です。また、キャリーから出す際に、飛び出して逃げてしまうというトラブルもリードがあることで防ぐことができます。

ケージ、キャリーバック

キャリーバックは緊急時に急いで移動しなくてはならないときに便利です。
キャリーバッグは頑丈なものも多いため、移動時に何かが落下してきた場合にも、ペットを衝撃から守ることができます。
また、ケージやキャリーバッグは避難所生活において重要なプライベートスペースになります。安心できる空間の有無はペットのストレスに大きく影響してくるので、必ず用意しましょう。使わないときはコンパクトに折りたためる布製のケージもあります。

トイレ用品

災害時は物資の補給がなかなか来ないことが考えられます。ペット用品も例外ではありません。トイレ用品もしっかり用意しておきましょう。避難所は臭いが発生しないように配慮する必要があります。消臭力に優れたものを用意することをおすすめします。また、猫の場合はポータブルトイレが販売されているので、災害用に購入を検討してみてはいかがでしょうか。

迷子札、マイクロチップ

災害が起きて避難する際や、避難所生活のなかでペットとはぐれてしまうことがあります。マイクロチップや迷子札はそういったトラブルのときに非常に便利です。
マイクロチップは、ペットの体に埋めこまれることよってそのペットの身分証明となるものです。保健所などでマイクロチップを読み取ることで、その動物がどこの誰のペットなのか、即座に判別できる仕組みになっています。
マイクロチップさえあれば、確実にペットの情報を特定することができますが、有事の際には読み取り装置がない場合もあります。念のために迷子札も用意しておきましょう。

リュック

ドッグフードや水、食器など、防災グッズはかさばるものが非常に多いです。そこで、大容量のリュックを用意しておくことおすすめめします。
リュックに防災グッズをコンパクトに収納することで両手が空き、大事なペットが入ったキャリーバッグを安定して運ぶことができます。
防災グッズ一式をあらかじめリュックにまとめておけば、スムーズな避難ができるでしょう。

災害が起こったときの過ごし方

続いて、実際に災害が起こった場合、どのように過ごせばいいのかを見ていきます。

同行避難と同伴避難の違い

災害が起こり、ペットと一緒に避難することになった場合「同行避難」か「同伴避難」、自分が避難する形式はどちらなのか、把握しておく必要があります。

「同行避難」とは、災害時に飼い主がペットと同じ避難所で生活を送ることを指しています。
しかし、部屋までつきっきりでいられるかはまた別の問題です。多くの場合、ペットたちは雨風が防げる小屋などで、飼い主たちから離れて避難生活を送ることが多くなります。

それに対し、「同伴避難」は避難所生活を同じ空間で送ることを指します。
確かに同伴避難は飼い主にとっては魅力的ですが、ペットへのアレルギーの存在や騒音問題などの観点から、実施している避難所は多くありません。

避難所での暮らし方

避難所での生活は、普段の生活よりも大幅にプライベートな空間がなくなるため、人間のみならずペットも強くストレスを感じることとなります。
特に同伴避難を実施しているところでは、自分の愛するペットが他人のストレス源になってしまうことも考えられます。
ある程度の臭いや抜け毛はどうしようもないことなので、それらの始末をできる限り行い、周囲の人にも一声かけるなどして配慮と誠意を見せることが大事です。

また、普段は温厚なペットでも災害のストレスから狂暴になったり、吠え出したりしてしまうケースが見受けられます。
少しでも気持ちが安らぐよう、やさしく接してあげてください。つらい状況であるからこそ、飼い主であるあなたが冷静になり、状況を見極めることが重要です。

もしペットが迷子になったら?

災害時にはペットとはぐれてしまうこともあるでしょう。
災害の真っ只なかでは、飼い主も自分自身のことでいっぱいいっぱいになり、ペットの捜索にすべての時間を割けないかもしれません。
この項では、たとえはぐれてしまっても再び会うためにできることを解説します。

マイクロチップ、迷子札であらかじめ対策をしておく

先述した通り、マイクロチップと迷子札の組み合わせは迷子になったペットの捜索に際して非常に優秀です。
費用もおよそ5000円程度とリーズナブルであり、体への悪影響もほぼありません。
東日本大震災では多くのペットたちが飼い主のもとに戻れず犠牲になりました。そんな悲惨な事態を防ぐためにも、マイクロチップと迷子札は装着させるようにしましょう。

ビラで探す

ペットと飼い主の情報を記載したビラを製作するのも、有効な手段です。
災害が起こる前に事前に準備しておけば、ペットが迷子になってもすぐに捜索を開始することができます。
ビラにはなるべく多くの情報や、ペットの特徴が分かりやすい写真を掲載してください。捜索のとき、情報量の多さが一番重要になるので、できるだけ多くの情報を載せましょう。

まとめ

いかがでしたか? 災害は突然やってくる恐ろしいものです。しかしその被害を最小限に抑えるためにできることはいくつもあります。
愛するペットを災害から守るために、飼い主であるあなたに何ができるかを考え、適切に行動することが重要です。そのためにこの記事が少しでも参考になれば幸いです。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。