犬と猫の習性・性質の違い

まず、犬と猫の同居を考えたときに、知っておくべきそれぞれの習性の違いについて触れていきます。犬と猫はまったく性質が異なる動物のため、両者の特徴をしっかりと把握したうえで、向き合ってあげることが大切です。

縄張り意識

犬と猫はともに縄張り意識が強い動物ですが、縄張りに対する認識には違いがあります。
犬は群れで生活する習性があるため、家全体を縄張りと捉え、そこで暮らす家族を「仲間」と認識します。
一方で、猫は寝床やくつろげる場所など、室内で飼育されていても自分だけの縄張りをつくる動物です。たとえ家族であっても、自分の縄張りに侵入されることは、決して好ましいことではありません。
このような習性の違いから、犬が猫にとっての縄張りに入ってしまい、ケンカに発展することがあります。

生活習慣

猫は早朝と夕方に活発になる薄明薄暮性です。犬が寝ている時間帯に猫が走ったり鳴き出したりすれば、犬にストレスを与えてしまう恐れがあります。このような生活習慣の違いを踏まえて、犬と猫の生活スペースを定めなければいけません。

スキンシップ

犬はスキンシップを好むのに対し、猫は信頼する相手であっても、気乗りしないときに無理に触られるのを嫌がります。愛情を注ぎたくてついつい増えてしまうスキンシップですが、犬と猫を同じ感覚で接してしまうと、猫はストレスを感じるかもしれません。

臭い

臭いの違いも顕著に表れます。犬と猫を比較すると、猫のほうが臭わないという意見が多いようです。
臭いが少ない理由として、猫はきれい好きで、毛づくろいをしっかりと行うためとされています。
一方で、毛づくろいの習慣をあまり持たない犬には定期的にシャンプーしたり、トリミングしたりする必要があります。ただし、犬のトリミング代は猫と比べて割高です。犬を飼うときにはお手入れによる費用がかさむこと覚えておきましょう。

犬と猫を同居させるために必要なもの

この項では、犬と猫を同居させるときの必須アイテムを紹介します。

ケージ

ケージがあれば、犬猫両方のパーソナルスペースを確保できます。特に縄張り意識の強い犬と猫にとって、「自分だけの場所」という存在があることが重要です。
また、飼い主の留守中などどうしても面倒を見ることができないときに、犬猫同士がじゃれあってケガをしてしまう場合があります。そんなときケージでそれぞれのスペースを確保すれば、事故によるケガのトラブルを防ぐことができるでしょう。

それぞれの食器やおもちゃ

ペットと遊ぶときやごはんを与えるときは、犬と猫それぞれの食器とおもちゃが必要です。
食器やおもちゃを共同にすると、独占欲からくるストレスに苛まれてしまいます。また、犬が猫のごはんを食べてしまったり、逆に食べられてしまったりすることがありますが、これは必要な栄養素の違いから健康面に被害を与える可能性があります。
無用なトラブルを防ぐためにも、食器やおもちゃなどのグッズはそれぞれ専用のものを与えるようにしましょう。

犬と猫を同居させる方法

続いて、実際に犬と猫を同居させる方法、コツを2つのケースに分けて紹介します。

犬が先住で、あとから猫を迎え入れる場合

先に犬を飼っている場合は、猫を生後2~9週の「社会化期」と呼ばれる時期に飼い始めるといいでしょう。この時期の子猫は物事の変化に柔軟であり、先住している犬の存在も受け入れやすいからです。
ただし、子猫期に迎え入れる場合、犬との体格差によるトラブルが発生するリスクがあります。ただじゃれているだけでも子猫がケガをしてしまう恐れがあるので、猫が成長し、環境に馴染むまではなるべく目を離さないようにしましょう。

また、先述したとおり犬は縄張り意識が強く、嫉妬深い傾向があります。
ごはんを与えるときは犬を優先して、犬の心のケアも忘れず行ってください。ついついあとに入ってきた子猫の世話に比重をおきがちになってしまいますが、犬猫ともに同じく愛情を注ぐことがいい同居環境に繋がっていきます。

猫が先住であとから犬を迎え入れる場合

猫が社会化期を終えている場合は、猫からすぐに歩み寄るのは難しいかもしれません。
まず犬がもつ上下関係の習性を利用し、徐々に距離を縮めてください。具体的には、犬の目の前で猫にごはんやおやつを与え、「猫はこの家において、自分より立場が上である」ということを教えましょう。
犬は従順な生き物なので、のちのちの2匹の関係性によい影響を与えてくれはずです。
もともと単独行動を好む猫にとって、別の生き物と生活をともにするのは簡単ではありません。よい環境づくりのためにも、犬のしつけは注力して行いましょう。

犬と猫を同居させる際の注意点

最後に、主に犬と猫を同居させる際の注意点について解説します。

爪をしっかり整える

犬と猫の同居の魅力の一つとして、2匹が仲睦まじくコミュニケーションをとっている姿が見られる、ということがあります。種類の異なるかわいい動物たちが戯れるようにしてコミュニケーションをとっている姿はなんともほほえましいものです。
しかしそのじゃれあいは、時にトラブルを招いてしまうことも。
もし犬と猫の爪が尖ったままであれば、もう一方の体を傷つけてしまうことがあります。引っかき傷で済めばまだましですが、眼球などに傷がつけば取り返しがつかなくなる危険性も考えられます。
最悪の事態を避けるために、日頃から犬猫両方の爪のケアは忘れず行ってください。ご自身でのお手入れが難しければ、動物病院やトリミングサロンなどで整えてもらいましょう。

ストレス解消のために策を講じる

犬と猫の縄張り意識や生活時間帯の違いなどから、ストレスがたまり、時には喧嘩をしてしまうこともあるでしょう。
犬の場合、散歩などの運動を一緒にしてあげることでストレス解消になります。
ドッグランなどの犬専用のレジャー施設に連れて行ってあげることも、犬にとって気分転換につながります。

猫に散歩不向きですが、室内で運動できるようキャットタワーの設置や、家具を利用して簡易的な高台を作り、上下運動できる空間をつくるのがおすすめです。
「猫は高いところが好き」という生来の特徴にマッチしているだけでなく、犬と喧嘩したときの逃げ場所になるのがいいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
犬と猫両方との同居は魅力的で、あなたの毎日に刺激と癒しを与えてくれるでしょう。しかし、犬と猫それぞれの特性を理解し、彼らがのびのびとできる環境を整える努力をしなければ、その生活はペットにとって幸せなものではなくなるかもしれません。
自分にとってもペットにとっても幸せな暮らしが過ごせるよう、入念な下調べを徹底しましょう。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。