猫にとって「かつおぶし」は毒なの!?

猫の好物というイメージが強いかつおぶし。しかし、猫にかつおぶしをあげすぎるとあまりよくないとも言われています。

「猫に鰹節」ということわざがありますが、意味をご存知でしょうか。「水を得た魚」のような意味かと思っていたら、「油断できない状態を招く」「危険な状況である」という意味なんですね。かつおぶしを猫の近くに置くと、すぐに食べられてしまうという様子からできたことわざですが、実際、猫の近くにかつおぶしがある状態は、猫にとっても危険な状況かもしれません。

実は、かつおぶしには食べ過ぎると猫の健康を害する成分が含まれています。

チョコレートやネギ類などの猫に毒となる食物とかつおぶしは少し異なる存在で、一口でも食べると猫が病気になったり、体調を崩すというものではありません。間違っても猫がかつおぶしを食べないように……と神経質になりすぎる必要はないですが、おやつにお皿いっぱいのかつおぶしを食べさせていいかというと、それは別問題。
特に、人間用のかつおぶしを日常的に猫に与えるのは控えないと、愛猫の体に大変なことが起こるかもしれませんよ。

猫にかつおぶしを与えてはいけない理由とは

かつおぶしのあげすぎはよくないと言われる理由。それは、かつおぶしにはミネラルがたくさん含まれているためです。「ミネラルが多い」というと健康によさそうな気がしますが、何事も「過ぎたるはなお及ばざるが如し」。

特に、猫はミネラルの消化吸収能力が高いわけではありませんし、市販のキャットフードには猫が必要とするミネラルの適正量が含まれています。
そのため、通常のエサに加えてかつおぶしを与えると、愛猫の体はミネラル過剰な状態。ミネラル過剰な状態が続けば、結果的に病気を招く原因になることがあります。

ミネラルが過剰だと猫の体にどんなことが起こる?

尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができる病気です。尿路結石を起こす要因と言われるのが、尿の酸性・アルカリ性のバランスが崩れてしまうこと。ミネラル過剰な状態は、尿のバランスを崩し、結石をつくりやすい状態になります。

もともと尿路結石は、猫の病気のなかでも比較的かかりやすいもの。発症すると頻尿や血尿、おしっこが出ないなどの症状があり、進行すると腎不全になり、尿毒症や腎機能の低下などの症状が出ます。

尿路結石は再発しやすい病気。愛猫を危険にさらさないために飼い主ができるのは、「猫が欲しがるから」「あげないとかわいそうだから」という感情に流されることなく、かつおぶしが猫の体に与える影響を考えることです。

リスクを承知したうえで猫にかつおぶしを食べさせるかどうか考えることをおすすめします。
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猫にかつおぶしを与える場合の適正な量とは

あげすぎると悪影響があるからといって、かつおぶしが猫の好物であることに変わりはありません。食べさせてあげたい飼い主も多いですよね。では、どのくらいなら猫にかつおぶしあげても大丈夫なのでしょうか。

結果を言えば、毎日大量に与えなければあまり問題はないでしょう。かつおぶしは香りが強いので、フードにトッピングとしてひとつまみほど載せると猫の食欲を刺激してくれます。食欲がないときなどに活用したいですね。
与える場合は人間用のかつおぶしではなく、猫用の塩分の少ないかつおぶしを与えましょう。

また、嗜好の問題は別として、生涯に一度も猫がかつおぶしを食べなくても猫の健康的には何の問題もありません。寝た子を起こすより、猫にかつおぶしの味を覚えさせないという手もあります。ちなみに、日本では猫は「魚大好き」のイメージがありますが、真偽は別として、各国の猫好きに猫の好物を聞いたところ、インドでは「カレー」、イタリアでは「パスタ」という回答だったそうですよ。
「所変われば品変わる」と言いますから、「猫にかつおぶしをあげないなんてかわいそう」とは考えないでくださいね。

まとめ

慣用句になるほど猫が大好きと思われてきたかつおぶしですが、食べさせ過ぎると病気を招く危険性があります。「知らぬが仏」と言いますから、猫にかつおぶしの味を覚えさせないというのも手段です。

とはいえ、かつおぶしは「百害あって一利なし」というほどのものではありません。猫の食欲がないときなどは役立ちますし、飼い主が適正量を守ってあげれば深刻にならなくても大丈夫。あげるときはほかのフードの香りづけ程度にちょっぴりにしてくださいね。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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