子猫を保護する前に確認するべきこと

捨て猫だと思って保護した子猫が、実は親猫とはぐれた野良猫だったり、飼い主の家から脱走した飼い猫だったりするケースがあります。

子猫を見つけたら、保護する前にまず周囲の状況を確認しておきましょう。
親猫とはぐれただけであれば、近くに親猫がいる可能性があります。子猫がいた場所の周辺を注意深く観察してみましょう。

また、脱走の場合は飼い主が探しているケースが大半です。子猫を保護したことを警察と愛護センターに届け出ておくと、のちのち飼い主が見つかる場合もあります。
子猫を拾ったときは最寄りの警察に「拾得物届出」を提出してください。届けを出してから3カ月経っても飼い主が現れなければ、保護した人が正式に子猫の飼い主となります。

子猫を保護したらやるべきこと ①保温

生まれたての子猫は、自分で体温調整することができません。子猫を家に連れ帰ってきたら、まず体を温めてあげましょう。

もしすでに猫を飼っている場合は、必ず先住猫から隔離した場所で保温してください。捨て猫はノミ・ダニや猫風邪、ウイルスなどを持っている可能性が高いため、先住猫に寄生虫や病気をうつさないよう配慮が必要なのです。

子猫を保温する際は、生後1~2週のあいだは30~34度、3週目以降は24~27度程度が目安です。
保温の際には、飼育箱(小さめの段ボールなどでも代用可)の中に柔らかい毛布などを敷いたものを用意します。
子猫の体が冷えないよう、冬場はペットヒーターやホッカイロで子猫を温めます。また、段ボールの周辺に濡れタオルを置くことで、乾燥を防ぐこともできます。

親猫の体温(約37~38度)を超える高温に触れたままでいると、子猫が低温やけどを起こす恐れがあります。ペットヒーターやカイロを使用する場合は、子猫の体に直接熱風や熱源が触れないように注意しましょう。

子猫が汚れているからといって、すぐに洗うのはNG。捨てられて衰弱している子猫をシャンプーすることは、小さな体に大きな負担を強いることになります。
子猫が元気になるまでは、濡れタオルで体を優しく拭く程度に留めておきましょう。

子猫を保護したらやるべきこと ②動物病院での検査

屋外にいた子猫には、ノミやダニがついてしまっている場合がほとんどです。さらに、命にかかわる怖い病気やケガが潜んでいる場合もあります。
子猫の様子が落ち着いたら、早めに最寄りの動物病院に連れてきましょう。

動物病院でかかる費用は、8,000~15,000円程度が目安です。

<捨て猫の検査・診察費相場>
・初診料1,000円~3,000円
・血液検査 8,000円
・便検査 500円~1,000円
・混合ワクチン接種 4,000円~8,000円
・ノミダニの駆除 2,000円

上記は目安ですので、検査費や治療費はかかる病院や検査内容により前後します。「思っていたよりも高額だった!」ということも考えられるため、あらかじめ動物病院に費用の目安を確認しておくと安心です。

検査の結果、病気やケガが見つかった場合は、投薬や手術など、適切な治療を行う必要があります。
いずれにせよ拾った子猫を飼う場合は、ある程度のお金が必要になることを覚悟しておくべきでしょう。

子猫を保護したらやるべきこと ③餌を与える

次に考えるべきは、子猫の食事です。

生後まもなく~1カ月程度までは授乳期に当たります。授乳期の子猫には、人間用の牛乳ではなく子猫用のミルクを用意しましょう。

与えるミルクの分量や回数は、子猫の体重や月齢によって細かく変わります。猫用ミルクのパッケージに詳しい記載がありますので、適量を与えるようにしましょう。

仰向けの状態だとミルクが気管に入る危険があるため、子猫を腹ばいの体勢にして飲ませます。ミルクを与えるときは、子猫用の哺乳瓶を使用してください。もし用意できなければシリンジや細めのスポイトでも代用できますが、少々コツが必要です。
小さなうちは一度に大量のミルクを飲むことができないため、1日数回少量ずつ、根気よく飲ませてあげます。

生後1ヶ月ごろになると、離乳食への移行期です。シリンダーやスポイトを使った授乳から、お皿のミルクを飲ませる方法に切り替えていきます。
いきなりお皿から直接なめることは子猫にとって難しいため、まずは指につけたミルクをなめさせる、次にスプーンですくいとってなめる……といったように、ミルクを飲む練習は段階的に進めましょう。

お皿から上手にミルクを飲めるようになる頃には、離乳食を与えて大丈夫です。
市販の猫用離乳食が便利ですが、高栄養価の缶詰をペースト状にしたものでも代用できます。

生後2ヶ月頃からはウェットフードやドライフードへ切り替えていきます。
子猫のうちは一度に食べられる分量が少ないため、少量でも必要な栄養がしっかりとれる「子猫用・高栄養価タイプ」のキャットフードを選びましょう。

子猫を保護したらやるべきこと ④トイレのケア

子猫を育てるためには、トイレのケアも非常に大切です。
生後まもない子猫には、自分で排泄する力がありません。母猫が子猫のお尻をなめて排泄を促すように、人間の手でサポートしてあげる必要があります。

子猫の排泄サポートは、ミルクを与える前後に行います。
ぬるま湯で湿らせた脱脂綿やティッシュ、トイレットペーパーなどで、子猫の陰部や肛門の周辺をトントンと優しく刺激してください。子猫の皮膚は非常に柔らかく傷つきやすいため、なかなか排泄しないからといって擦りすぎないようにしましょう。

子猫が成長し自力で排泄できるようになったら、トイレのしつけをスタートします。
トイレ用の小さな箱に猫砂やペットシートを敷いたものをいくつか用意します。箱の高さは、子猫が自分で入れる高さ(10cm前後)のものを選びましょう。

トイレは子猫の寝床のそばや遊び場に設置します。
寝起きや食事のあとなどに子猫をトイレまで誘導し、場所を覚えさせます。最初のうちは、トイレの中で局部を刺激し、排泄を促してください。
汚れた猫砂やペットシートは都度交換する必要がありますが、すべてキレイに掃除してしまうと子猫がトイレの場所を覚えることができません。
猫砂は汚れた部分のみ交換するし、トイレに排泄物の臭いが残るようにしましょう。
子猫がトイレの場所を覚え、排泄に失敗しなくなればしつけは完了です。

子猫を保護したらやるべきこと ⑤里親探し

住居や家族の問題により保護した子猫を飼えないときは、できるだけ早めに里親探しをしましょう。子猫の里親探しには、いくつか方法があります。

①動物愛護相談センターや動物保護団体に相談する
専門の民間団体やボランティアに相談する方法があります。また、行政機関でも民間と協力して殺処分を減らす活動を行うところも増えています。お住まいの地域の情報を調べてみましょう。

②地元のコミュニティ誌やフリーペーパー紙面上で募集をかける
読者からの投書欄などで、子猫の譲渡を呼びかけます。無料掲載できるものもあるため、お住まいの地域で配布されている情報誌を当たってみるといいでしょう。

③近所や知人に声をかける
猫を飼ってくれそうな隣人や知人がいる場合は、引き取ってもらえないか声をかけてみるのも一つの手です。声掛けの際は、拾ったときの様子や子猫の健康状態をしっかりと伝えることが大切です。

④里親募集サイトやSNSで募集をかける
インターネットには、子猫の里親募集サービスを提供しているサイトが多数存在します。里親募集サイトを使用するときには、利用条件は整備されているか、譲渡実績は十分か、掲載情報は信用できるものかといった重要なポイントを、見極めてから決めると安心です。
また、里親譲渡の記事をサイトに掲載する際は、子猫の外見上の特徴、健康状態、トイレのしつけの状況、去勢・避妊手術の有無なども記載しておきましょう。

まとめ

子猫を保護したときにやるべき5つのことについて解説しました。
急に子猫を拾ったときでも、慌てず一つ一つ対処することが大切です。

また、自分で子猫を飼えない場合には、里親探しの情報サイトが便利です。
サイトには子猫の譲渡に関する詳しい情報もたくさん掲載されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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