犬が首をかしげる理由①音が気になる

聞きなれない音を不思議に思っている

犬は初めて聞く音、聞きなれない音が耳に入ってきたときに、不思議に思い、首をかしげるといわれています。
犬の「不思議に思う」は、「不安に思う」感覚に近く、危険を回避しようとする本能的なものが大きいようです。好奇心以上に不安から、聞きなれない音の正体を探ろうと、一生懸命に考え、聞いている姿なのかもしれません。

音がどこから聞こえるのか考えている

犬は私たち人間より遥か遠くの音が聞き取ることができます。人間のおおよそ4倍を聴覚があるそうですが、音源を感知する音源定位能力は、それほど優れたものではないといわれています。
そのため、聞きなれない音や気になる音が聞こえてきたときは、首をかしげて左右の耳の位置を変え、音源を探ろうとしているのだという考えです。
あのかわいらしいしぐさは、集音アンテナを調節するように耳を動かしている姿だというのです。とても興味深いですね。

音(言葉)の意味を考えている

飼い主さんの声が普段の調子と違うと感じたり、よく知る言葉だけれどいつもと違う状況で聞いたりすると、首をかしげることが多いようです。これは、聞こえた音の違いや変化に反応し、自分に関係のあることなのか、自分にとって重要な何かが起こるのか、音の意味を考えているからだといわれています。

例えば「お散歩」や「おやつ」など、犬がよく理解している言葉であるのに首をかしげることがあります。
これは聞きなれている言葉が普段とは違う場面で発せられたと感じ、自分に話しかけているのか、「お散歩に行くの?」「おやつがもらえるの?」などと言葉の意味を考えているというものです。
飼い主さんから発せられる次の言葉を、集中力を高め待っている状態ですので、この瞬間をしつけのチャンスだとする考えもあります。

愛犬が首をかしげるかわいい姿を見せたら、「おすわり」や「まて」などの指示を出してみるのもいいかもしれません。
普段の状況でのしつけより、早く習得するといわれています。

犬が首をかしげる理由②視点を変える

犬についての多くの著書を発表しているスタンリー・コーレン博士は、首をかしげるしぐさについて、「犬は自分のマズル(鼻から口にかけての部分)が邪魔で見えない景色を、首をかしげ視点を変えて見ようとしている」と述べています。

飼い主さんの話を、首をかしげながら一生懸命に聞いている犬の姿を多く目にしたコーレン博士は、飼い主の感情を表情から読み取るために、首を動かし視点を変えているという、新たな考えを示しました。

これは何だろうと考えている

初めて見るもの、見慣れないもの、虫や光など予想できない動きをするものなどを見たときには、あらゆる角度から観察しようと、首をかしげるしぐさになるといわれています。
飼い主さんがいつもと違う服装やヘアスタイルをしていると気付いたとき、テレビに映し出されたものに反応したときなどもそうです。
懐中電灯などの光を壁にあてて動かしてみせると、同じ理由から、首をかしげるしぐさを見せてくれるかもしれません。

犬が首をかしげる理由その③喜ばせたい

愛犬が首をかしげるのを見たら、多くの飼い主さんが思わず「かわいい!」と大きな反応をしてしまうのではないでしょうか。
繰り返されることで覚え、しぐさとともに喜ぶ飼い主さんの姿が犬の記憶に残っていれば「あのときのように喜んでもらいたい」という理由で、首をかしげるしぐさをするといわれています。
これは、非常に学習能力の高い犬の行動で、おすわりやお手と同じ、コミュニケーションにひとつとなっていると考えられます。

首をかしげる理由が、「音が気になる」と「視点を変える」だけであれば、対象物を聞きなれたり見なれたり危険なものではないと理解すれば、そのうちにしなくなるはずです。
あなたの愛犬がもし、すっかり聞きなれているはずの言葉に反応しているのであれば、喜ばせたいという気持ちからの行動の可能性があるのではないでしょうか。

かわいいと褒めながらおやつを与えていたことがあれば、おねだりの意味で首をかしげているのかもしれません。
犬が首をかしげる姿はなんともかわいらしく、その理由も非常に興味深いものです。
しかし、反応の対象がないにもかかわらず首を頻繁にかしげていたり、耳をしきりに振ったりする場合は、なんらかの病気の症状かもしれません。また、ずっとかしげたままであるならば、深刻な状態の可能性もあります。

可能性のある病気と代表的な症状

耳の病気
外耳炎や中耳炎、耳ダニなど、耳の病気の可能性があります。
外耳炎とは、耳の穴から鼓膜までの外耳道に炎症が起きる状態です。犬の耳の病気で最も多い病です。
鼓膜からさらに奥へと炎症が進むと、中耳炎という状態になります。外耳炎は耳に不快感、中耳炎は強い痛みがあることから、首をかしげるようなしぐさをするかもしれません。
中耳炎からさらに炎症が進むと、内耳炎を発症します。内耳には三半規管があるため、発症するとまっすぐ立てず、姿勢が傾いてしまうという症状があらわれます。


前庭障害
内耳炎と非常によく似た症状があらわれる「前庭障害」という病気があります。
前庭とは、内耳にある三半規管とつながっている器官のことで、体の平衡感覚をコントロールする役割を担っています。
前庭神経や脳に異常が起こると、首のかたむき、捻転斜頸(ねんてんしゃけい)、ふらつき、旋回運動、眼振、まっすぐ歩けなくなるなどの症状があらわれます。これらの症状が突然現れる「突発性前庭疾患」もあります。
首をかしげるだけではない行動がみられた場合には、かかりつけ医に相談しましょう。

まとめ

首をかしげるしぐさには、さまざまな理由や気持ちが隠されている可能性をご紹介しました。納得したもの、当てはまるものはありましたか? 不安からのものであれば、原因を一緒に考え解決してあげるのも方法です。愛犬のコミュニケーションであれば、応えてあげましょう。
かわいいしぐさを、愛犬の状態と心理を考えてみるきっかけとすれば、ますますよい関係を築きあげられることでしょう。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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