子犬は要注意!低血糖の原因

疲れているチワワの子犬
子犬はなぜ低血糖になってしまうのでしょうか。
成長期の子犬は、たくさんのエネルギーを必要とします。しかし子犬の胃は驚くほど小さく、一回の食事ではほんの少しの量しか食べることができません。そのため一日に必要なエネルギーをとるためには、食事を何回かに分けて食べさせることが大切なのです。
低血糖になる心配が大きいのは、ごはんをしっかり食べない子犬です。特にチワワパピヨンなどの超小型犬に多い「食の細い子犬」は、ほんの一食食べなかっただけでも、低血糖になってしまうこともあります。また、遊びに夢中になりすぎる子犬も要注意です。せっかくごはんを食べても、それ以上にカロリーを消費してしまうからです。
その他に低血糖になりやすい状況として、なんらかの大きなストレスがかかったことで食欲が落ちた場合や、下痢や嘔吐、発熱などで体調をくずした場合も考えられます。

子犬の低血糖、気づきやすい症状

寝ているコーギーの子犬
「低血糖」とは、体の中の血糖値が通常より低くなっている状態のことを指します。血糖値は、血液中のエネルギー量を測ったものです。つまり「低血糖」とは、体の中のエネルギーが不足していることを表します。
成長期にある子犬は、毎日かなり多くのエネルギーを必要としています。そのためもともと食が細い子犬や、体調をくずして食欲が落ちている子犬には、十分注意する必要があります。
もし子犬が低血糖になってしまっている、または低血糖になりかけている場合は、いち早く変化に気づき、血糖値を上げるよう対応しないと命にかかわることもあります。ここでは、低血糖を疑う特徴的な様子をいくつかお伝えします。普段の様子と比べてみることが大切です。
  • いつもよりぼんやりしていて、元気がないように見える。
  • 歩かせてみると、ふらふらしているように見える。
  • 嘔吐する(何回も続く場合もある)
  • 脱力してへたりこむ。ぐったりしている。
  • 体が小刻みに震える。
  • 意識がはっきりせず、呼びかけても反応が見られない(昏睡状態)。
    最後に挙げた昏睡状態ですが、実際にどのような状態になっているのか、ぐっすり眠っている熟睡との違いはあるのか、想像するのは難しいかと思います。簡単に言えば、熟睡しているときは、呼びかけたり体をゆすったりすればパッと目を覚まします。でも昏睡状態のときは、呼びかけても体をゆすっても反応がなく、目を覚ますことはありません。そのような状態の場合は、至急動物病院に連れて行かなくてはなりません。

    子犬の低血糖の治療

    抱きかかえられる子犬
    もし子犬が低血糖になってしまったら、どのように対応すればよいのでしょうか。
    「あれ?おかしいな?」と思ったときに、自宅でできる応急処置は、砂糖水を飲ませることです。砂糖水の濃さとしては、味見をしてうっすら甘いと感じる程度で大丈夫です(5%くらい)。低血糖の状態では、お皿にいれて近くに置いても自分から飲めない場合が多いので、小さなスポイトや小さなスプーンを使って少しずつ口に入れてあげたり、自分の指先につけて歯ぐきや唇の内側に塗ったりして与えてください。もし、手元に砂糖がなければ、市販のスポーツドリンク(人間用)を水で少し薄めて飲ませてもいいいです。
    ここで「ハチミツを与えてもよいか」と聞かれることもあります。ハチミツはたしかに糖度が高いのですが、腸内環境が未成熟な子犬に与えると「ボツリヌス症」を引き起こすことがあります。これは人間の場合にも言えることで、国立感染症研究所や厚生労働省では1歳未満の乳幼児にハチミツを与えないよう、注意喚起を行っています。同様に子犬にハチミツを与えることも私はおすすめしません。

    ハチミツは1歳未満の乳児には食べさせないように指導する必要がある。

    出典:【NID 国立感染症研究所】ボツリヌス症とは
    応急処置で砂糖水を飲ませても元気にならなかった場合は、至急動物病院に連れて行ってください。かかりつけの動物病院が遠かったら、近くの動物病院へ。低血糖の状態のままにしておくと命にかかわりますので、とにかく受診を急ぐ必要があります。動物病院では緊急事態と伝えてなるべく早く診察を受けてください。点滴や注射を使って低血糖の状態から救いだしてもらいましょう。その子の状態によっては、数日入院が必要な場合も考えられますが、その子が健やかに育つためにしっかりと治療を受け、退院後に低血糖を繰り返さないよう、生活面でのアドバイスも受けるといいでしょう。
    自宅で砂糖水を飲ませることで元気を取り戻した場合は、急いで動物病院に向かう必要はありません。しかしその場合もフードの量や与え方、生活のリズムなど改善が必要な可能性もあるので、やはり近いうちに動物病院に相談することをおすすめします。

    子犬の低血糖、予防するには

    元気なトイプードルの子犬
    子犬を低血糖にさせないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
    一番大切なことは、子犬にしっかりとごはんを食べさせることです。成長のために多くのエネルギーを必要とする子犬のドッグフードは、そもそも一粒に含まれるカロリーが高めに作られています。パッケージには月齢と体重に見あった食事量が表示されていますので、その表示を参考に適正な量のフードを与えてください。完全手作りごはんの場合は、少し大変ですが、カロリー計算、栄養バランスの面をしっかり勉強してから与えるようにしてください。
    犬の本来の習性として子犬が離乳期になると、母犬は自分が一旦食べたごはんを吐き戻して食べさせます。子犬にとって食べやすく、消化しやすくするためです。そのため固いままのドライフードを与えられると、子犬は上手に食べられないことが多いです。はじめのうちは、ドライフードをぬるま湯でふやかしてから与えると食べやすくなります。子犬が育っていくにつれて、ふやかす時間を少しずつ短くして歯応えを残すようにするといいと思います。ふやかしたドライフードだけでは喜んで食べない子犬には、犬用の粉ミルクなどをトッピングして与える方法もありますが、トッピングだけで満腹にならないよう注意してください。
    また前述したとおり、子犬は小さな体ですから、一度にたくさんの量を食べることはできません。子犬のうちは、一日分のフードを3~4回に分けて与えることが理想です。

    小さな子犬のうちは長時間続けて遊ばせないことも大切です。人とのふれあいや遊びは子犬の成長のために欠かせないことです。ぜひ遊んであげてほしいのですが、子犬はエネルギーを体に保っておけないので、はしゃぎ回るとすぐにエネルギー不足になってしまいます。体力は子犬それぞれで違うので、「一日何分までなら大丈夫」と決めることはできませんが、遊びたい気持ちをグッとこらえて、体を休ませる時間もしっかり確保してください。さらに夏場や真冬は、室温の管理にも気を配ってください。犬も暑さ寒さは体にこたえます。

    最後に、子犬が下痢や嘔吐などで体調をくずした場合には、なるべく早めに動物病院に連れて行ってください。だいたい生後6カ月齢までは、成長のスピードが特に速い時期です。この期間はなにごとも早め早めの対応が肝心です。小型犬では生後6カ月齢過ぎても体重が1kgに満たない子犬もいます。体調管理に注意しながら大事に育てていく必要があるのです。

    まとめ

    跳ね回るスピッツ
    かわいい愛犬を低血糖にさせないためには、子犬のうちは少しこまやかな配慮が必要なことがわかりましたね。もちろん、なんの心配もなく育っていく子犬もたくさんいます。しかし食の細い子やはしゃぎすぎてしまう子など、ちょっと心配な子犬も、飼い主さんのサポートがあればつらい思いをすることなく、成長することができるのです。みなさまの愛犬が、すくすくと健やかに育ちますよう、心より願っています。
     執筆者プロフィール
    北海道大学獣医学部卒業。

    5年ほど動物病院に勤務したあと退職し、現在は小6・小3・年長の娘三人の子育てに専念しています。
    動物中心だった毎日から子ども中心の生活に変わりましたが、子どもがいるからこその経験が増え、視野も広がり、いろいろな観点で物事を見られるようになりました。
    それもひとつの「スキル」と前向きに考えて、活かしていきたいです。

    長年、動物と一緒に暮らしてきましたが、昨年14歳の愛猫を病気で亡くし、今は新しい出会いを待っているところです。
    我が家には代わりに猫グッズやもふもふしたものが、どんどん増えて……一家そろって癒しを求めているようです。

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