犬に目薬を入れるのは難しい?

目のケガや病気によって動物病院で処方されたり、涙やけの防止や目やにの改善など、犬に目薬を使う機会は多いです。犬の目に毛やゴミが入ったときなども、飼い主が指で取るより目薬で流してしまうほうが安全ですね。
犬用の目薬はペットショップやインターネットのショップでも手軽に購入することができ、身近なケアグッズのひとつです。

しかし、愛犬のことを思って目薬を差そうとしても、当の犬のほうは嫌がってなかなかおとなしくしてくれない、などということはないでしょうか。

飲み薬のようにフードやおやつに混ぜて与えられないし、塗り薬のように体を押さえて塗布するのも難しい、しかも、「もしも目に傷を付けたら」と考えると、犬に目薬に使うことに抵抗を感じる飼い主も多いようです。

犬は目薬の何が嫌なの?

では、なぜ犬は目薬を嫌がるのでしょうか。

犬に目薬を差すことに慣れていない飼い主がやってしまいがちなのが、正面から目薬を入れることです。アイコンタクトの訓練などをしていない限り、犬は正面から目を見つめられるのが苦手。犬に限らず、たいていの動物にとって、じっと目を見ることは敵意を表すことであり、挑発行為です

飼い主に見つめられることで、犬は緊張します。気の強い犬なら怒って攻撃的になることすらあるでしょう。
さらに、犬は目薬がなんだかわかりません。人間だって、よくわからないものが目に迫ってくれば抵抗しますよね。

また、冷所保存の目薬でなければ、差す前に手のひらなどで軽く温めてあげるのも有効。人間の目薬は清涼感のあるものも好まれていますが、急に目に冷たいものが当たるなんて、犬にとっては恐怖です。

犬の顔を固定しようとアゴをぎゅっとつかむのもいけません。マズルは犬にとってとても敏感な場所なので、たいていは触られるのもあまり好きではないようです。

これで完璧・犬の目薬の差し方

①犬にオスワリさせ、飼い主は犬の背中側にまわる。
②後ろから手をまわして犬のアゴを軽くおさえ、上を向かせる。
③犬の顔が動かないように固定したら、もう片方の手で目薬を持ち、小指側を犬の頭に置く。
④犬の目尻から目薬を垂らす。
⑤しばらく上を向いた状態をキープ。
⑥終わったらおやつをあげて、褒める。


犬から目薬の容器が見えないように、目尻から指すのがコツです。両ひざの間に犬の体を入れ、軽く挟むようにするといいでしょう。きちんとマテができる犬なら、アゴを押さえている手におやつを持ち、犬の関心をそちらに向けるのも手です。

差し終えたら目薬の先をティッシュなどで軽く拭きます。犬の目のまわりに流れ出た目薬も、やさしく拭き取っておきましょう。

人間用の目薬は使っちゃダメ?

手元に犬用の目薬がないとき、「人間用ならあるのに……」と思うことがありますよね。人間用の目薬は犬に使ってもいいのでしょうか。

人間用の目薬は疲れ目用、アレルギー用、充血用など、種類が豊富です。それぞれの目薬にはさまざまな薬効成分が配合されていて、犬にとってそれらの成分は強すぎることが多く、安易に人間用の目薬を使うことはおすすめできません。

しかし、人間用がすべてダメなのかと言えばそうではなく、「人工涙液」「生理食塩水」などの、薬効成分が含まれていない目薬なら大丈夫。子ども用や赤ちゃん用の目薬なら、薬効成分が少なく低刺激なので、犬にも使えることが多いようです。
薬効成分がないともの足りなく感じるかもしれませんが、犬の目の乾燥対策やゴミを洗い流すためなら十分ですよ。

人間と犬が目のケアに共通で使えるものに「ホウ酸」があります。人間の目の洗浄に用いられることがあり、犬も涙やけの防止などで使いますね。
使うときは薬局などでホウ酸を購入し、精製水などに溶かして「ホウ酸水」を作りますが、犬に使う場合、必ず濃度は2%以下にしてください。

まとめ

病気やケガ、充血やかゆみなど、犬に目薬を差す場面は意外とたくさんあります。しかし、犬は正面から見つめられたりのぞき込まれたりするのが苦手で、正攻法だと目薬を嫌がることも。目薬を入れるコツを知って、愛犬に負担をかけずに目薬を使いましょう。

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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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