呼吸のにおいで感知! 低血糖アラート犬

犬の嗅覚は人間の1万倍とも言われ、警察犬や麻薬探知犬などとして働く犬も多いですね。そんな優れた嗅覚を病気の人のために活かす「アラート犬」をご存知でしょうか。

糖尿病患者は血糖値が正常より低下して、「低血糖」になってしまうことがあります。そのとき糖分を補給できなければ、意識障害や昏睡に陥り、命の危険があります。外出中や就寝中など、患者自身が気付かないうちに低血糖になってしまうことも。そんな糖尿病患者に救世主となるかもしれない存在がアラート犬です。

アラート犬は糖尿病患者の呼吸から血糖の状態を嗅ぎ分ける訓練を受け、低血糖になる前に教えます。患者がすでに低血糖に陥っている場合は、冷蔵庫などから糖分を含む飲食物を運んでくるとのこと。患者が意識を失っている場合は吠えてまわりに知らせ、それでも反応がなければあらかじめ用意された機器で救急車を呼ぶこともできるそうです。

今年の5月には、1型糖尿病を患う高校生のアラート犬として働くアルファが、学校のイヤーブック(アルバム)に載ったことがSNSで話題になりました。アラート犬の育成は費用もかかり訓練も困難ですが、糖尿病患者のQOLには高い効果があります。日本にアラート犬はまだいませんが、導入が待たれますね。

世紀の大発見に期待!? 世界に1頭の考古学犬

犬の嗅覚を活かした仕事のうち、まだ世界に1頭しかいない職種があります。
オーストラリアで救助犬として働くミガルーは、ボール遊びが大好きなラブラドールレトリバーのミックス犬。ミガルーが厳しい訓練の結果、嗅覚で探し出すことができるようになったのは、なんと「人骨」です。

遺体を探すことができる犬はいますが、人骨を探せる犬はミガルーが初めて。ミガルーはなんと600年前の人骨を探し当てることができるそうです。考古学的発見はもちろん、過去の戦争で失われた墓地の発見や、迷宮入りした事件の解決にも期待が高まっています。

ちなみに、訓練はミガルーのボールへの情熱を活かし、人骨を見つけたときにのみボールをあげるという方法で行われたそうです。練習に使われた骨は、現地のアボリジニの族長から許可を得て、博物館の収蔵する250年前の人骨が使われました。

犬の嗅覚を活かした仕事としては、ほかに違法コピーされたDVDやシロアリ、トコジラミ、人間のガン、放火などのにおいを探査するものがあるそうです。いったい、犬の鼻はどんなふうににおいを感知しているのでしょう。

チーターの4本足の親友は陽気なわんちゃん

100mを5秒95で駆け抜けた記録がある、地上最速動物のチーター。強そうなイメージがありますが、猛獣のなかでは小柄で、ほかの肉食動物から捕食されることもあり、実は神経質で臆病です。ほかのチーターを含む自分以外の動物に心を開かず、繁殖も困難。さらに動物園のような閉ざされた環境では、満足な運動ができずストレスを溜めてしまいがちです。

そんなチーターの先生として、友達として、選ばれたのが犬でした。生まれたばかりのチーターと子犬を一緒に過ごさせることで、犬から社会性や寛容さ、落ち着きを学ばせる取り組みは30年以上の実績があります。

最近ではメトロ・リッチモンド動物園のチーターの「クンバリ」とラブラドールレトリバーのミックス犬「ケイゴ」や、サンディエゴ動物園のチーター「エメット」と動物シェルターから引き取られた犬の「カレン」の友情が話題になりました。
画像はhttp://metrorichmondzoo.comより

パートタイム勤務? 警察嘱託犬って?

警察犬には、警察が飼って訓練する直轄犬と、試験に合格して認められた非常勤の嘱託犬がいます。実は、警察犬の9割は民間で飼われる嘱託犬です。

警察犬の訓練は1~2年かかり、晴れて試験に合格したあとの出動は地域や犬によって違いますが、年に数十~100回程度。要請があれば、昼夜を問わず出動しなければなりません。手当は地域によって異なりますが、だいたい1時間で3000円程度で、そのほかの飼育費や訓練費は犬の飼い主が負担しています。
出動要請は増加傾向にありますが、警察犬を訓練する指導手の減少や訓練の期間や費用といったコストのため、警察犬になる犬は年々減少しているそうです。

警察犬というとジャーマン・シェパード・ドッグのイメージが強いですが、決まっているわけではないので、試験に受かればどんな犬種でも、もちろんミックス犬も嘱託犬になることは可能です。最近では小型犬の嘱託犬も誕生していて、警察犬として活躍するトイプードルミニチュアダックスチワワなどもいます。

日本警察犬協会

意外と知らないセラピードッグのお仕事

「セラピードッグ」「アニマルセラピー」などの言葉は聞いたことがあるでしょうが、どんな仕事をしているか知らないという人は多いのではないでしょうか。

アニマルセラピーは動物と触れ合うことで心身の不調を軽減することで、古くは古代ローマ時代に負傷した兵士に馬でセラピーを行ったという記録があります。なかでも、犬を使ったセラピーをドッグセラピーと言います。保護犬から選ばれて訓練することもあり、特にセラピードッグに向いている犬種などはありません。

あらゆる動物のなかでも、犬は人間の意志や感情に呼応する「情緒レベル」が高いということで、セラピーによく用いられています。見知らぬ人や場所、音を怖がらないことはもちろん、訓練されたセラピードッグは利用者と歩調を合わせ、アイコンタクトができ、体のどこを触られても嫌がらないように訓練されていて、育成機関は通常で2年以上かかるそうです。
介護や養護の施設、病院、学校などの現場で、セラピードッグはリハビリの促進や痛みの軽減、回復に向かう動機づけと、高い実績を挙げています。

日本動物病院協会

あらゆる生活音を聞き分けてくれる聴導犬

盲導犬や介助犬については知名度が上がっていますが、聴導犬の認知度はまだ低いようです。聴導犬は聴覚障害者をサポートする訓練を受けた犬。メールや電話の着信音や病院や銀行などでの呼び出し、赤ちゃんの泣き声や緊急警報の音など、生活で必要なあらゆる音を聞き分けて知らせます。

盲導犬のように大型である必要がないので、各地で動物愛護センターなどに保護された犬のなかから、見込みのありそうな犬を訓練して聴導犬に育成する試みもあります。訓練は簡単ではなく、日本で働く聴導犬は65頭前後(2016年3月現在)にとどまっています。

ちなみに、聴導犬を訓練する日本聴導犬協会では「聴力お手伝いペット犬」の訓練も行っています。聴力お手伝いペット犬とは、聴導犬のように利用者とどこにでも出かけられるわけではありませんが、家のなかの音3つを覚え、聴覚障害者をサポートする犬です。飼っているペットを訓練することもできるそうですよ。

仕事中は「聴導犬」と書かれた服を着ているので、もしも見かけたら声をかけたり触ったりせず、そっと見守ってくださいね。

日本聴導犬協会

愛と達成感とさみしさを教えてくれるプリズンドッグ

プリズンドッグ・プログラム」は、アメリカでは150カ所以上の刑務所で導入されている更生プログラムです。

プログラムでは、虐待や飼育放棄などによって保護された犬を刑務所で引き取り、囚人が世話としつけを行います。目標は新たな飼い主に引き渡すことで、囚人は犬とペアを組み、24時間一対一で犬と向き合わなくてはなりません。保護された犬は心に傷を負って問題行動を起こすことも多いですが、犬はかけられた愛情に必ず応えてくれるもの。囚人は犬から無償の愛や命の尊さ、忍耐を学び、里親に引き渡したとき達成感とさみしさを学びます。
プリズンドッグ・プログラムを導入したある刑務所では、再犯率がゼロになったというデータがあるそうです。

日本でも2カ所でこういったプログラムを導入されています。

ヒューマニン財団

まとめ

いかがでしたでしょうか。世界では犬の特性を生かした仕事で活躍している犬がたくさんいるんですね。

「うちの犬は絶対無理……」と思う飼い主もいるかもしれませんが、犬は人間が及ばないほどの能力を持っていることがあります。もしかして、仕事や役割をあげると、愛犬がさらに輝くかもしれませんよ!

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