子犬が下痢を起こす原因について

子犬の下痢は、食事が原因のもの、生活環境や精神的なストレスが原因で起こるもの、病気が原因になっているものに大別できます。

食事の量が多すぎる

子犬に与える食事の量が多い場合、消化不良を起こして子犬が軟便や下痢になることがあります。
また、子犬の消化機能はまだ十分に発達していないため、1日トータルの給与量が適正であったとしても、1度に食べる量が多いと消化不良を起こしてしまいます。

急に餌を変えた

子犬が食べなれた餌から急に新しい餌に変えると、消化器が新しい成分にうまく対応できずに下痢になることがあります。

食事内容が体質に合っていない

食物アレルギーを持つ犬もいます。
子犬が食べているフードが、子犬の体に合っていなかった場合はアレルギー反応が下痢という症状で現れることもあります。

誤飲や誤食

おもちゃや電源コードなどを誤飲してしまい、下痢になるケースも少なくありません。
また、ポインセチア、アイビー、モンステラなどの中毒症状を招く植物や、ブドウやレーズン、玉ねぎやねぎ類、チョコレートなど、犬が中毒を起こす食べ物を口にしてしまうと下痢になります。

睡眠不足や疲れやストレスがある

子犬は成犬よりも長い睡眠時間を必要とします。
子犬がかわいいからと、家族がかまってばかりで睡眠時間が足りなくなって疲れが溜まると、下痢になる可能性があります。人間同様に、精神的なストレスが原因で下痢を生じることもあります。

冷える場所で過ごしている

体温の調節機能が成犬に比べて苦手な子犬のために、冬場や夏の冷房をつける時期は注意が必要です。
お腹が冷えてしまって下痢を起こしているのかもしれません。

感染症にかかっている

犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパー感染症、犬コロナウイルス感染症にかかると、子犬では下痢の症状が現れます。
犬回虫、糞線虫、瓜実条虫、鉤虫、コクシジウム、ジアルジアなどの内部寄生虫による感染によっても下痢を生じることが知られています。

熱中症になった

熱中症の症状のひとつに、下痢と血便が挙げられます。体温の上昇によって胃腸の粘膜がただれるために下痢や嘔吐が生じるのです。
ただし、下痢や血便が見られるほどの熱中症は、症状としてはかなり進行している状態です。

家庭でできる子犬の下痢の対処法

子犬が精神的なストレスから下痢になっていないかどうか、まずは見直してみてください。
ひとりでいる時間が長すぎて不安が大きくなっていないか、恐怖を感じるものがそばにないか、自由な行動範囲が狭すぎる場所で長時間過ごさせていないかなどが見直すポイントです。
まずは、ストレスを軽減させてあげる必要があります。

家族がかまいすぎたり、睡眠不足にさせたりしないようにする

遊ぶことと寝ることが仕事とも言える子犬は、家族が遊んであげるとエンドレスで遊んでしまうことでしょう。
家族がかまいすぎて睡眠が不足すると、疲労が蓄積して下痢になることがあるので、いくら子犬がかわいいからと言って、かまいすぎたりせず、安心できる場所でたっぷり寝かせてあげるようにしましょう。

快適な生活環境を整える

犬は人間と違って内臓が地面に近く、とくに低いところにたまりやすい冷気の影響を受けやすいもの。
腹部の冷えが下痢を招くケースもあるので、子犬が眠る場所や子犬が過ごす場所には毛布などを用意して、なるべく冷えないように心がけて。
夏は冷房の直風が子犬の寝床に当たらないように工夫するなど、冷房の設定温度に気遣うのも大切です。

食事の内容や給与回数や量を見直す

頻回ではない下痢など、食事に原因があると考えられる下痢には、まず、食事の給与量を1割ほど減らし、1日2回に分けて与えていたとしたら3回に、3回に分けていたとしたら4回にといった具合に、小分けにして与えてみましょう。

餌の種類を変えるときは1週間かけて

ドッグフードの種類を変えたことで下痢を起こす子犬には、1週間ほどかけてこれまでのドッグフードから新しいドッグフードへ切り替えていってください。
初日は2割、その翌日は3割、さらに翌日は4割……といった具合に、少しずつ新しいフードを混ぜながら切り替えるのです。

誤飲や誤食をしないように予防する

犬が食べると中毒症状を起こす食材は与えないようにしましょう。
また、口にすると危険な植物もあるので、事前に調べたうえで犬が届かない場所に飾るなど注意が必要です。

子犬がこんな下痢をしたら病院へ!

子犬はもともと体力がないので下痢をするとすぐ弱ってしまいます。
また成犬よりも体が小さいので脱水症状にも陥りやすいため、頻度の高い下痢は要注意! 数時間のうちに何度も下痢を繰り返すようであれば、すぐに動物病院へ。
そのほか、以下のような症状を伴う場合も受診を急ぐ目安になります。

血液の混じった便が出る場合

激しい下痢と嘔吐に続いて、血液の混じった粘血液便が出るようになるのが、犬パルボウイルス感染症。
治療が遅れると2日以内に子犬の約9割が死亡する危険性の高い病気なので早期受診が大切です。コロナウイルス感染症も、軟便から下痢へと進行して、犬パルボウイルスとの混合感染で重症になるので注意が必要です。

熱中症が進行しても、血便が見られます。
熱中症での下痢や血便は、症状が悪化している証拠なので、一刻も早く病院に向かってください。内部寄生虫では、犬鞭虫や鉤虫に感染すると血の混じった下痢便をするようになります。

嘔吐を伴う場合

激しい下痢と嘔吐が見られるのが、犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパー、犬コロナウイルス感染症です。
感染症は早期治療が重要になるので、すぐ受診しましょう。
下痢が頻回ではなくても、嘔吐を伴う場合、誤飲や誤食をしてしまった可能性があるので、早めの受診をおすすめします。
熱中症が進んだ場合も、嘔吐と下痢が見られます。熱中症は命に関わるので、体を触って熱っぽかったり呼吸が荒かったりしたら急いで受診を!

元気がない場合

感染症にかかると、下痢にくわえて元気の消失が見られます。ウイルス感染症の場合、病院で早期の治療を開始しましょう。
糞線虫やコクシジウムやジアルジアなど内部寄生虫に感染しても、小腸で栄養を吸収できなくなるために体重が減少したり発育不全になったりして元気がなくなってきます。
なるべく早く病院で検査をして、内部寄生虫が発見された場合は駆虫薬によって駆虫をしてください。

まとめ

下痢の頻度が少なく、子犬が元気そうであれば、この記事を参考に子犬の生活環境や食事などを見直して様子を見てみてください。
もし下痢が続いたり頻回になったり、子犬の元気も失われてくるようであれば、すぐに病院へ。早期に原因を突き止めて、子犬を苦しみや命の危険から救ってあげましょう。
 執筆者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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