なぜ犬は車酔いするの?

犬が車酔いを起こすメカニズムは人間と同じです。
車の揺れや振動が内耳の三半規管や前庭を刺激することで、自律神経や平衡感覚の乱れを引き起こします。

また、過去に車酔いを経験したことのある犬は、次に車に乗った途端に吐いてしまうこともあります。犬のなかで「車=嫌なこと」と覚えると精神的ストレスによって、車酔いの症状が出てしまうこともあるようです。

ほかには、車内のニオイも車酔いの原因となりえます。ガソリンの臭いやたばこの臭い、人間にとっていい匂いである車内の芳香剤も、人間よりはるかに嗅覚の優れた犬にとっては刺激が強すぎるのです。
車に犬を乗せるときは、揺れだけでなく、ニオイにも注意が必要です。

犬の車酔いにみられる症状

車酔いの初期症状としては、吠える、そわそわと落ち着きがないといった不安症状が見られます。
次第に大量のよだれを垂らす、頻繁にあくびをする、震えるといった様子が見られ、やがて頭を下げてグッタリしてしまったり嘔吐したりといった症状が見られます。

犬の車酔い対策・予防法

酔い止めの薬を飲む以外にも効果的な対策はあります。

まず出発前の予防としてできることは、出発前の2~3時間前に食事をとらせることです。
空腹すぎても満腹すぎても吐き気の原因になります。出発時には胃の中に食べ物が残っていないくらいの状態がベストです。
水分補給も出発の1時間前までに済ませましょう。

また、乗車前に散歩などの軽い運動をしておけば、車内で寝てくれることで車酔いのリスクは下げられます。

犬の車酔いはメンタル要素も大きく関わってきます。
車に乗ると楽しいことがあるということを覚えさせるためにも、近所の公園などに車に乗せて行くのも効果的です。

また、ツボ押しも車酔いの症状を抑える効果があります。

・内関(ないかん)
前足首から肘に向かって2寸(犬の指1本分を1寸とします)の場所にあるツボで、吐き気、胃の不快感を抑える効果があります。
自律神経の調節やストレスの緩和にも効くので、車酔いの初期症状が見られたらこのツボを軽くマッサージしてあげるといいでしょう。

・築賓(ちくひん)
内くるぶしから上に5寸のところにあります。
解毒のツボと言われていますが、胃腸の不調とも関わりのあるツボなので吐き気を抑える効果があります。
そのため、内関と並んで乗り物酔いに効くツボと言われています。犬が嘔吐してしまった場合、マッサージしてあげることで吐き気を抑えてあげるといいでしょう。

また、鹿児島大学の論文では「耳尖」という耳たぶの先端にあるツボに「円皮鍼」という小さい針のついたシールを貼ることで、乗り物酔い症状を緩和することができたとの報告もあります。

もし犬が車酔いで吐いてしまったら?

対策をしていても犬が車内で吐いてしまったら、慌てず騒がず、まずは冷静に吐いた物を処理してください。
大声を出したり、うろたえたりすると、犬がますます不安になるためです。
もしものときに冷静に対処するためにも、普段からペットシーツやビニール袋などを用意しておくといいでしょう。

また、運転中は犬をクレートなどに入れておき、あらかじめ下にシーツを引いておくと、いざというときでも安心です。
車内でクレートやケージに入れておけば、流れる景色による酔いや運転による体の揺れを抑えられるだけでなく、せまい空間のほうが犬も落ち着いて過ごせます。

停車して犬を散歩させられるタイミングがあれば、外の空気を吸わせてあげるのも気分転換になり効果的です。

犬とドライブするときの注意点

新鮮な空気を吸わせるのは、犬の車酔い症状の緩和になります。
ただし、窓を全開にして犬に顔を出させるといった行為は、道路交通法違反になってしまうので要注意です(道路交通法 第4章 第1節 運転者の義務(安全運転の義務)第70条)。
また、運転中の車内で自由にさせる、運転手の膝の上に乗せるといった行為。これも実は交通法違反になります(道路交通法第55条 2項)。

どちらも車酔いに苦しむ愛犬のための行為かもしれません。
しかし、窓から突然飛び出してしまったり、運転の妨げになったりすれば、せっかくのドライブも台無しになってしまいます。
そのようなことにならないためにも、運転中には愛犬をクレートに入れたり動き回れないようリードでつないだりするなど、運転マナーやルールを守ってドライブを楽しみましょう。

まとめ

犬の車酔いについていかがでしたでしょうか?
人間も同様ですが、それまで酔ったことのない犬でも、その日の体調や気候、道路状況などによって車酔いを起こしてしまうこともあります。正しい知識と予防、そして何よりも安全運転を心がけ、楽しい愛犬とのドライブを満喫してください。
 執筆者プロフィール
獣医師 / ペットサロンBEANS
酪農学園大学獣医学科卒業、後に日本獣医中医学院にて中医学を学び獣医中医師の資格を取得。

ペットスペース&アニマルクリックまりも様にて臨床経験を積ませていただきながら経営のノウハウを学ばせていただき、2017年2月、調布市にペットサロンBEANSを開業。

ペットホテルとペットの鍼灸治療を行っています。また、週に2日はまりも様にて代診を行っております。
鍼灸という身体に負担の少ない治療法でペットや飼い主さんの手助けができればと思っています。

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