健康的な猫が1日に飲む水の量

猫は祖先が砂漠で生活していたせいか、少ない水分でも生きていける体になっています。一日に猫が必要とする水分量は体重1kgあたり50ml程度です。犬の必要水分量は体重1kgあたり100ml程度なので、比べるとずいぶん少ないですね。
しかも、フードなどに含まれた水分でも補えるため、実際に飲む量としてはかなり少量でしょう。それでも水を飲まず、飼い主をやきもきさせる猫が多いのも事実ですが。

しかし、そんな猫が急にたくさん水を飲み始めたらどうでしょう。「これで安心だ」と考えてもいいのでしょうか?

水をよく飲むことから考えられる猫の病気

猫はそもそも水をあまり飲まないので、大量に水を飲んでいるときは要注意。なんらかの病気のサインである可能性があります。

水を飲む量が増加したときに考えられる病気
・慢性腎不全
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症(クッシング症候群)
・子宮蓄膿症

これらの病気の症状は数々ですが、代表的なものに「多飲多尿」があります。食欲不振や元気の消失、食べているのにやせてきたなどの症状とともに多飲多尿があれば、すぐに動物病院で検査を受けましょう。特に猫は腎臓疾患が多く、慢性腎不全は高齢猫の死因第一位と言われるほど。一刻も早い対処が求められます。

考えられる病気は上記だけではありませんが、猫がたくさん水を飲むようになったときは疑ってみてください。
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病気以外で猫が水をたくさん飲む原因

いつもと違う食事のとき、塩分量が多かったとき、刺激物を食べたとき、猫は水をたくさん飲むことがあります。病気ではありませんが、塩分の摂り過ぎは腎臓に負担をかけるので注意してくださいね。
また、夏場は体温調整のために普段より水を飲む量が増えますが、これも問題ありません。

ウェットフードからドライフードに変えたとき、フードに含まれる水分量が少なくなるので水をたくさん飲むことがあります。このときも心配いりませんが、逆にドライフードに変えたのに飲む量が変わらないと、水分不足の危険性があります。アレルギーなどの兼ね合いも含め、フードを変えたあとは猫の様子に注意してください。

ストレスで自律神経が乱れているときも水をたくさん飲む傾向があります。病気ではありませんが、この場合は猫のストレス源を探って対処してあげましょう。

くれぐれも、飲み水の制限はしないでくださいね。
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猫がどれくらい水を飲んでいるか知りたい

猫にとって、水は飲みすぎても飲まなすぎても問題です。健康のバロメーターでもあるので、愛猫が飲んだ水の量は知りたいですよね。1カ月に1回程度は、猫の飲水量を計るといいとされています。増えたり減ったりした場合は体調の変化があるかもしれません。

計り方は、軽量カップなどで200ml程度水を計り、猫の水用の皿・ボウルに入れます。このとき、別の皿に同じ量の水を入れ、猫が飲めないようにして置いておいてください。蒸発した分を計るためです。裏返したザルをかぶせておくなど、工夫してください。
一日経ったら蒸発用の皿の水量を計り、どのくらい蒸発したか調べます。猫の皿に残った水から減った量を割り出し、そこから蒸発した分を引けば猫が一日に飲んだ量がわかります。

計算しやすいように皿はひとつにしましょう。猫が時間がたった水を飲まない場合は、半日ごとに計ってもいいでしょう。多頭飼いだと難しいかもしれませんが、猫の飲み水の量を把握すると、病気の早期発見につながります。フードの水分量を考慮することを忘れないでくださいね。

まとめ

猫はあまり水分を必要としないため、水を飲みすぎる場合は何らかの病気が疑われます。もしも病気の兆候が見られたら早期に動物病院で治療を受けましょう。
特に高齢猫の病気で多飲多尿の症状が出るものが多いので、7歳以上になったら猫の飲水量を把握しておくことが大切です。愛猫に長い間健康に過ごしてもらうため、水を飲む量に注意してみてください。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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