栄養価が高いのに、犬には危険なブドウ

ブドウによる中毒が報告され始めたのは比較的最近のことです。日本での発症例は多くなく、そのため飼い主のなかには犬にブドウが危険なことをまだ知らない人も多いようです。

夏から秋にかけてはブドウが旬の季節。おいしく価格も手ごろになるので、家庭でも食べる機会が増えますよね。ヨーロッパでは「畑のミルク」と呼ばれるほど栄養価の高い食品でもあります。

そんなブドウを食べているとき愛犬がそばにいたら、「果物だし栄養もあるしいいか」と、つい分けてあげてしまいそう……。しかも、猫と違って犬の舌は甘みを感じることができるので、おねだりされる可能性もあります。
犬がもしブドウを食べてしまったら、どんな症状が現れるのでしょうか。

犬がブドウを食べるとどんなことが起こる?

犬がブドウを食べて中毒を起こすと、食べて2~3時間後から腹痛や嘔吐、下痢を繰り返すようになります。最悪の場合は2~3日で急性腎不全を起こし、死に至ることも……。もともと腎臓に疾患のある犬なら、さらに危険性が増すでしょう。

中毒を起こす量としては、個体差があるものの犬の体重1kgあたり32gが目安と言われています。
通常売られている巨峰が1粒15g前後。体重3kgの小型犬だと、6粒以上食べると中毒を起こすことになります。巨峰1房の粒が30~35粒なので、体重50kgの大型犬なら3房くらい食べる計算ですね。

いくらなんでも、そんな量を犬が一気に食べるとは考えにくいですね。そのあいだ、飼い主がまったく気付かないということもなさそうです。

さらに危険性が増す食べ方がある!?

中毒を起こす目安量は多いですが、少量なら大丈夫という保証はありません。ブドウを1粒食べただけで中毒を起こすことも十分ありえます。食いしん坊の犬だと、ペロっと大量の食品を食べてしまうこともありますよね。

さらに、ブドウを食べるとなぜ犬が中毒を起こすのか、原因が特定されていないのです。農薬や殺虫剤、カビなどの汚染が疑われていますが、今のところは身よりも皮のほうが危険性が高いようだと言われているのみです。

また、ブドウを乾燥させたレーズンは成分が凝縮されているため、危険性も増します。小さくなって食べやすく、お菓子やパンなどに加工されることも多いので、犬が食べてしまわないように徹底管理してください。

レーズンが中毒を起こす目安量は、体重1kgにつき11~30g程度。レーズン1粒あたり0.6gなので、こちらも目安量まで食べてしまうことはあまりなさそうですが、あくまで目安なので注意が必要です。

もし犬がブドウを食べてしまったら?

犬がブドウやレーズンを食べてしまった場合、動物病院に連絡して獣医師の指示を仰ぎましょう。いつ・どのくらい食べたのか、できるだけ詳しく伝えてください。症状が現れるまでには2~3時間ありますが、それまで犬の様子を見ずに吐き出させたほうがいいケースもあります。

大量にブドウやレーズンを食べた場合はすぐに病院に連れて行ってください。万が一急性腎不全に陥った場合は、一刻も早く治療しなければ命を落とすこともあります。中毒から回復しても、腎臓は一度ダメージを受けると機能が戻りません。食べてすぐは平気そうでも、2~3日は犬の様子をしっかり観察しましょう。

まとめ

人間にとってはおいしく栄養価の高いブドウですが、犬が食べた場合は中毒を起こす可能性があります。安易に食べさせることがないようにするだけでなく、犬がうっかり食べることがないようにしっかり管理してください。もしも食べてしまったらすぐ病院に連絡しましょう。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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