中毒を起こすのはチョコレートの「テオブロミン」

犬は甘いものが好きで、また、飼い主が食べているものは犬にとっておいしそうに見えるようです。チョコレートもそのひとつ。

犬にチョコレートを食べさせてはいけない理由は、犬が「チョコレート中毒」を起こすことがあるからです。

チョコレートの材料であるカカオには「テオブロミン」という物質が含まれており、テオブロミンは血管や気管支の拡張作用や、中枢神経を刺激する作用があります。チョコレートやココアには少量の苦みがありますが、その正体がテオブロミンです。
犬はこのテオブロミンを分解することができません。

チョコレート中毒になると嘔吐や下痢などの症状が現れ、脈が速くなって息苦しそうにしたり痙攣したり、最悪の場合は死に至ることも。
中毒を起こす時間は摂取して4~6時間後と言われ、食べてすぐは平気そうでも油断はできません。犬の体外に排出されるまでには時間がかかり、食べてしまえば24時間以上危険な状態が続きます。

チョコレートはちょっと食べても危険?

テオブロミンの致死量は、犬の体重1kgあたり、150~500mgと言われています。個体差があるため数字には開きがありますが、実際に症状が出るのは1kgにつき20mg程度からだそうです。

種類別・チョコレート100gあたりに含まれるテオブロミン量
ミルクチョコレート…270mg
セミスイート(ビター)チョコレート…540mg
製菓用チョコレート…1360mg

市販の板チョコが約50gなので、小型犬なら2/3程度、大型犬なら4枚程度を食べてしまったら、なんらかの症状が出る可能性があると考えてよいでしょう。
ただし、この量はあくまでも目安です。1かけ食べただけ死に至る場合もあります。致死量に達していないから大丈夫と油断しないようにしましょう。

チョコレートに含まれるテオブロミンの量は種類によって違い、カカオの量に比例してテオブロミンの含有量も増えます。美容や健康に効果があると言われ、最近よく見かける「高カカオチョコレート」の場合、上記よりさらにテオブロミンの含有量は上がります。
ちなみに、ホワイトチョコレートにはほとんど含まれていませんが、あげてもよいというわけではないので注意してください。

チョコレートではありませんが、ココアもカカオがたくさん使われている食品。100gあたりのテオブロミン含有量としては、ミルクチョコレートよりも高く、犬は気をつけたい食品です。

猫がチョコレートを食べると……?

猫にとってもチョコレートは危険な食べものです。体重が軽い分、犬よりも少ない摂取量でテオブロミン中毒を起こすことがあります。

チョコレートは猫がおいしそうに感じる匂いではなく、食べたがる子は少ないよう。しかし、犬と同様に飼い主がおいしそうに食べるものは猫も気になります。

また、チョコレートそのものよりも、包み紙や形が気になって遊んでいるうちに食べてしまうということもあるそうです。

ペットを飼っている場合、人間以外にはチョコレートを触れさせないようにしたほうがいいでしょう。

2月は特にチョコレートの誤食が増える!?

ある保険会社の調査によると、犬がチョコレートを食べてしまう事故は2月が最多。どうして2月かといえば、「バレンタイン」が原因でしょう。

1月後半から2月中旬までのバレンタインシーズンは、1年でもっともチョコレートの消費が多い時期です。普段はあまりチョコレートを食べないという人でも、もらったりあげたりでチョコレートが身近な時期ではないでしょうか。
お菓子を作る人の場合、テオブロミン含有量の高い製菓用のチョコレートやココアが手元にある時期でもありますね。

犬の誤飲や誤食は、注意していても飼い主が目を離したすきに起こります。まさかこれは食べないだろうと思っていたものや、ここなら見つけられないだろうと考えていたものを食べてしまうこともありえます。

特に、成長期の子犬や若犬は食欲も好奇心も旺盛なので、十分に注意してください。匂いが出ないように密閉容器で保存したり、手の届かない高い位置の棚にしまうなどの対策が必要です。
アニコム損害保険株式会社「犬のチョコレート中毒は2月が最多!誤飲に注意」

犬がチョコレートを食べちゃった!獣医さん受診のポイント

犬がチョコレートを食べてしまったら、すぐに動物病院を受診しましょう。
食べて間もないなら、処置は吐かせることが中心です。摂取量が多い場合は胃洗浄することもあるようですが、麻酔が必要なので体力のある犬に限られます。

問診の際は、まずどんなチョコレートを、いつ、どのくらい食べたかを獣医に伝えるようにします。
もしも食べてから時間が経ちすぎている場合は、安静にして様子を見ることもあるそうです。

食塩やオキシドールなどを使って飼い主が吐かせる方法もありますが、医療知識がない人が行うのは危険です。やはり獣医に相談することが望ましいでしょう。
いざというときのために24時間連絡できる動物病院を見つけておくと安心ですね。

まとめ

犬は自分の体調を飼い主に伝えることができません。重篤な症状が出なくても、「少量なら大丈夫」と思ってあげたチョコレートで愛犬が体調を崩していることもあるかもしれません。

犬がチョコレートを誤食しないように徹底した管理を行い、もしも食べてしまった場合は速やかに動物病院に相談しましょう。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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