タイニープードルの基礎知識

タイニープードルの歴史は浅く、知られるようになったのはここ10年ほどと言われています。誕生のきっかけはトイプードルの繁殖の際に、スタンダードなサイズより小さな子犬が生まれたことなのだそう。現在、タイニープードルは犬種として正式には認められておらず、分類上では「トイプードル」に分けられています。

タイニープードルのサイズとは?

タイニープードルと判断される目安になるのが成犬時のサイズ。JKC(ジャパンケネルクラブ)では、トイプードルのスタンダードなサイズは体高24~28cmとされています。タイニープードルの明確な基準はなく、ブリーダーの判断によりますが、多くは成犬時の体の大きさが体高23cm前後、体重が2~3kgになるとタイニープードルとして見なされるようです。
※血統書上はトイプードルです。

ただし、子犬のタイニープードルは、あくまでも「成犬時にティーカッププードルのサイズになると予想される」子犬になります。トイプードルの繁殖をきっかけに生まれたタイニープードルは、まだ小型化が安定しておらず、タイニープードルだと思って購入しても実際育てていくうちにトイプードルサイズに成長してしまった、ということもよくあるようです。

◇タイニープードルのサイズにこだわりたい時は
タイニーのサイズにこだわりたいという場合は、血統を確認することである程度確実性を高めることはできます。隔世遺伝の影響も考慮すると、親犬だけでなく祖父母の犬までさかのぼれると良いでしょう。
血統が小さくとも、成長には個体差があるため、あくまでも目安です。そこでもうひとつ見ておきたいのが子犬の「顔のパーツ」。顔のパーツは成長や栄養状態に左右されない部分ですのでチェックしてみましょう。子犬の時点で全体的に小づくりな顔であればタイニーになる可能性が高いと言えます。

・顔そのものが小さい
・耳、鼻、口が小さい
・マズルが小さい
・耳の付け根がすこし上に寄っている
注意点
その小ささが人気のタイニープードルですが、健康状態の見極めは必須です。小ささにこだわりすぎると健全性を見失うおそれがあるからです。ごく一部ではありますが、じゅうぶんなえさを与えず、未熟児に育てた子犬を「タイニープードル」として販売する悪質なブリーダーも存在します。体高、体重だけで判断せず、実際に子犬を抱き上げて、肉付きや健康状態は良好か確認するようにしましょう。
参考/子犬のサイズ予想
下記は一般的な体重予想の計算式ですが、おおよその体重を測る目安になります。気になる子犬がいたら当てはめてみましょう。
・2カ月時の体重×3~3.5=成犬時の体重
・3カ月時の体重×2~2.5=成犬時の体重

明るく賢く、利発な性格

タイニープードルの性格は基本的にトイプードルと同じです。陽気で活発、フレンドリーな性格なので、理想的な家庭犬と言えるでしょう。学習能力も高いのでしつけやすく、きわめて飼いやすい犬種といえます。
ただし、犬は小型であればあるほど精神的にも未熟な傾向があるため、トイプードルより幼く甘えん坊な性格になることもあります。

タイニープードルの毛色のバリエーション

タイニープードルの毛色は実に様々。個体差があるため、あくまでも傾向になりますが、毛色によって性格に違いがあるのも面白いところです。

レッド
一番人気のカラーですが、同じレッドでも濃淡があります。人に懐きやすいフレンドリーな性格です。
ブラック
飼い主さんに従順で、落ち着いた性格をしています。皮膚が強く、がっしりとした骨格を持っています。
ブラウン
陽気でマイペースな性格です。希少性が高い色で、人気があります。
ホワイト
明るく賢い性格でしつけやすい毛色です。少し皮膚が弱く、体臭が弱い傾向があります。
アプリコット
性格は少しナイーブで、人見知りする子犬も多いと言われる毛色です。皮膚が弱く赤くなりやすい傾向が。
シルバー
甘えん坊で恥ずかしがり屋な面を持っています。

タイニープードルの子犬を迎えよう

タイニープードルの子犬選び。何に気をつけて選ぶべきかお悩みの方もいるのでは? まずは値段から見ていきましょう。

タイニープードルの価格帯、相場

トイプードルと比べてもその小ささから人気が高く、値段も高くなりがちなタイニープードル。ペットショップやブリーダーの値段は15~45万円が相場です。その決定には年齢、毛色、血統など様々な要素があり、それらによって値段は大きく変動します。特に、レッドなど人気の毛色や体が小さな個体は高くなる傾向があります。

どこから購入する?

ペットショップで購入する、という方も多いと思いますが、最近はブリーダーから直接購入する方も増えています。ブリーダーから購入するメリットは、ペットショップよりも安い傾向にあること。ペットショップはその流通経路から手数料が上乗せされますが、ブリーダーから直接購入すると目安で5~10万円ほど安くなります。

また、飼育のプロである優良なブリーダーのもとで育った子犬は問題行動も少なく、体も健康です。購入後も飼い方のアドバイスなどを受けることができるため、飼い主さんにも子犬にとってもメリットが多いものです。ただし、ごく一部ではありますが、なかには金銭目的の悪質なブリーダーもいます。まずは実際に足を運んでみて、飼育環境や親犬の様子を確認し、その入手先が信用できるか否かをチェックするようにしましょう。特に専門的な知識が高いトイプードル専門のブリーダーがおすすめです。

その他には里親になる方法もあります。保健所や里親募集団体、里親募集サイトなど里子を探す方法は多様にあり、探すのは難しいことではなくなりました。ただし、タイニープードルは人気が高いため、条件によってはなかなか見つからないこともあります。

子犬購入以外にかかる初期費用

飼いはじめの時期、子犬の購入以外にどのくらいの予算を見ておくとよいでしょうか。

◇飼う前に準備したい必要最低限のグッズ(約2~3万円)
・トイレグッズ…トイレトレー、ペットシーツなど
・フード(えさ)…ドッグフード、おやつなど
・食器…フード用と水用にふたつ準備しましょう。
・サークル…室内で子犬を囲うために必要です。屋根がある「ケージ」もあります。
・クレート…子犬の家(寝床)になります。ハンドル付きなら持ち運びもできるので便利です。
・お手入れグッズ…ブラシ、コーム、爪切りなど
・おもちゃ…子犬とコミュニケーションをとる時に役立ちます。
他にも、飼育に役立つグッズは多々ありますが、順を追って揃えていきましょう。首輪やリードなど慣れさせる期間が必要なものは早いうちに準備すると良いでしょう。


◇子犬の飼いはじめに必要なこと(約2~3万円)
・畜犬登録…登録費用3,000円程度(※自治体によって異なる)
・狂犬病予防注射…3,000円~4,000円前後
・健康診断…3,000円~(※診断内容によって変動する)
・混合ワクチン接種…7,000~9,000円程度

タイニープードルの飼い方

子犬が来る前に家の中をチェックしよう

新たな環境に飛び込む子犬は不安でいっぱいです。子犬が安心できるように、初日までに生活環境を整えておきましょう。

・子犬が落ち着いて眠ることのできる居場所を確保しましょう。
・クレートとトイレの場所を隣り合わせにくっつけましょう。トイレがすぐ近くにあるので、子犬がトイレの場所を覚えやすくなります。
・床に危険物がないかチェックし、子犬が足をひっかけるような物は片付けましょう。電気コード、スリッパ、など。目隠ししても良いでしょう。
・ゴミ箱…生ゴミの臭いは子犬を引き寄せるため、近くに置かないようにしましょう。
・灰皿…灰皿をひっくり返すと火災の原因に。子犬のいる部屋には置かないよう気をつけましょう。
◇骨折・脱臼対策ば万全に!
元気で身軽なタイニープードルですが、その一方骨が細いため、骨折や脱臼になりやすい犬種です。ケガのリスクを減らすために、住環境対策は万全にしておきましょう。

・フローリングなどすべりやすい場所で遊ばせない。フローリングの部屋には滑りにくいフロアマットを引く。
・犬が飛び降りそうな、高低差のあるものの近くに連れていかない(ソファ、階段、ベッド、テーブルなど)。

健康な体をつくる食事とは

タイニープードルの理想の食事はトイプードル専用のドッグフードです。そもそもはトイプードルに分類されるタイニープードル。トイプードルに必要な栄養素がバランスよく配合されている専用ドッグフードはタイニープードルにも適しているのです。

◇ドッグフードを買う前に
事前にペットショップやブリーダーに食事について問い合わせておきましょう。
・どんな食事を
・一日何回
・どの程度の量を与えていたか

急に食事内容を変えると下痢などを起こしてしまうこともあるため、初日から新しいフードを与えるのは禁物です。そのため、前の環境と同じものを食べさせることからはじめます。そのフードで問題なさそうであれば、同じものを与え続けて良いでしょう。

もし、喜んで食べないようであったり、体が不調な場合は新しいフードに変えてみるのもひとつの方法です。その場合は、犬が家に慣れ始める2~4週目頃から切り替えをスタートします。既存のフードに新しいフードを少しずつ混ぜて段階的に食事内容を切り変えていきましょう。
◇子犬期の食事 生後3~6カ月
1日3~4回にわけて少量ずつ
・高カロリーで栄養豊富、さらに健康的な骨をつくるために必要なカルシウムを多く含んだ食事が理想です。子犬(パピー)用ドッグフードなら、栄養バランスが優れているだけでなく消化器が未発達な子犬でも消化しやすいのでおすすめです。

◇成犬期の食事 生後7カ月~
1日2回
・タイニープードルは小さな体から小食の傾向があります。適正体重をキープできるよう栄養価にすぐれた食事を心がけましょう。
※タイニープードルの場合、生後6カ月を過ぎると体重が安定します。6~7カ月頃の体重を目安とし、体重が増減するとしても1割の範囲をキープできるようにしましょう。

◇老犬期の食事 生後7、8年以降から
1日3~4回にわけて少量ずつ
・タイニープードルの老化は7~8歳頃からはじまると言われています。人間と同じように、老いると食欲や消化機能が落ちるため、低脂肪で消化のしやすい食事が適しています。一般的には老犬のドッグフードを選べば間違いありません。子犬期のように食事回数を増やし、1回の食事量を減らして与えると無理なく食事ができます。

※ただし、個体差があるので7歳になっても運動量が変わらないようであれば無理に老犬用の食事に切り替えず、今までと同じ食事内容にしましょう。運動量が同じにもかかわらず老犬用のフードを与えると、筋肉量や体重の低下を招く可能性があるためです。

そして運動量が減った、疲れやすくなったなど、体の衰えが見えるようになったら老犬用のフードに切り替えましょう。
◇食べさせてはいけない! 犬に与えると危険な食べ物をチェックしよう
私たちが普段食べている食べ物の中には、犬にとって有害なものも多々あります。食べ物によっては死亡につながる原因になることもあるので、基本は市販のドッグフードを食べさせ、犬専用の食事外の食べ物を与える場合は、食材に細心の注意を払うようにしましょう。また「目を離したすきにうっかり犬が食べてしまった!」というトラブルも避けたいものです。テーブルの上に食べ物は放置しないように日頃から注意しましょう。

<食べさせてはいけない食べもの 一例>
・チョコレート、ココア
・タマネギ、ネギ、ニラ
・アボカド
・牛乳
・コーヒー
・ナッツ
・香辛料
・お菓子類など

タイニープードルのお手入れで知っておきたいこと

◇シャンプー
・2週間に1回
ブラッシングで落としきれない汚れを落とし、被毛と皮膚を清潔にします。子犬は皮膚が弱く敏感なため、シャンプーを5~10倍に薄めて使いましょう。
◇爪切り
・1カ月に1回程度
爪が伸びすぎると、爪が邪魔をして歩き方が不安定になるので危険です。こまめに爪の伸び具合をチェックして、伸びていたら爪切りをするようにしましょう。

◇耳そうじ
・2週間に1回程度
タイニープードルは垂れ耳なので耳の中が蒸れやすい犬種です。定期的な耳掃除で清潔な状態を保つようにしましょう。また、耳の中にも毛が生えているのも特徴。そのままにしておくと耳垢など汚れが絡まって雑菌が繁殖しやすくなるため適度に毛を抜いてから掃除すると良いでしょう。

◇目のまわりのお手入れ
・できれば毎日
タイニープードルは涙やけ(流涙症)になりやすい犬種です。目やにや汚れがついていないか毎日チェックし、汚れがついていたら、コットンでこまめにふきとるよう習慣をつけましょう。

◇歯磨き
・できれば毎日
犬は虫歯になりにくい生き物ですが、その一方で歯周病にかかりやすいので予防が必要です。効果的な予防策はなんといっても歯磨き。歯磨きをせずに歯垢を放置しておくと歯石となり、歯周病の原因になるからです。歯垢が歯石になるまでの時間はおよそ48時間と言われているため、歯石をつくらないためには毎日の歯磨きが理想的なのです。

部分トリミング
・必要に応じて(1カ月に1回程度が目安)
テディベアカットなど全身のカットはトリミングサロンにお願いしたとしても、足の裏やお尻まわり、目のまわりの毛は伸ばしすぎると歩行に影響が出たり不衛生になるため、気づいたら自宅でカットすることをおすすめします。
※トリミングサロンに通っている場合は無理に自宅でカットせず、必要に応じてで構いません。

かわいいカットスタイルを楽しむために

タイニープードルの楽しみといえば、「テディベア風」など多彩に楽しめるデザインカットではないでしょうか。モコモコの毛質はアレンジの自由度が高く、カット次第で雰囲気をがらりと変えることができるのが魅力です。ただし、子犬のうちに大胆なカットを施すとそのあと思うように仕上がらないことも……。

毛質は子犬の時期で決まると言われており、モコモコの毛質をつくるためには子犬期のこまめなカット&育毛が必須なのです。生まれた頃は細かった毛質も、カットを重ねることでコシのある毛質へと変化していきます。

◇生後1年までは育毛強化期間
生後1年までのタイニープードルの毛は細く柔らかいため、デザインカットを施しても上手く形づくれず、ふにゃふにゃと潰れてしまう可能性があります。カットを繰り返すことでしっかりとした毛が生えるようになるため、1カ月に1回程度トリミングを行いましょう。さらに毎日ブラッシングで地肌の血行を促すと美しい毛が生える土壌を整えることができます。

◇生後1年~
子犬期に育毛を続けることでハリのある毛になり、毛量も増えるのでアレンジしやすい毛質になります。1歳を過ぎたら4~6週を目安にトリミングしましょう。基本はトリミングサロンでのカットをおすすめします。

タイニープードルのしつけ

子犬のしつけに大切なステップが「社会化」。これは人間と暮らす環境に慣れさせ、恐怖感をなくし落ち着いて行動させることを指します。犬の社会性を身に付けるために有効となるのが散歩です。
◇散歩
・毎日 1回20~30分程度×1~2回
散歩は本来、運動が目的ではあるものの、様々な景色や人、他の生き物に出会えるため社会化には理想的なトレーニングになります。できれば毎日散歩に連れていきましょう。ただし、生後半年頃までは骨格が完成していないため、散歩は軽めにします。目安としては1回10~15分程度からはじめましょう。

・散歩のタイミング
散歩に連れ出せるタイミングは、感染症予防に必要なワクチン接種が終わり、獣医から許可が下りたあと。それまでは極力外出は控えましょう。
◇甘噛み
歯が生え変わる子犬の時期は、歯茎がムズムズするため飼い主さんの手を甘噛みしたり、家具をかじったりするようになります。そのままにしておくと、成長したときに噛み癖がついてしまうためこの時期にしっかりしつけをしておきましょう。

また、歯の生え変わり時期以外に犬が噛む理由は、噛む対象物に対し、恐怖や不安を感じていることがほとんどです。社会化されていないとよく起こる行動ですが、周りの迷惑にもなるため早めのしつけが必要です。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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